こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME
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2002年09月27日(金) 温度差




今日は彼に逢うのを予定していた日・・・。
でも、朝から同居人は早く帰宅できるか解からないと言う。
昨晩は彼が何時もの様にメッセを繋げてくれていたのに、
私はリビングで今日の為にパックをしていて、すっかりメッセに気がつかなかった・・・。
又タイミングを逃して大失敗・・・。
彼は毎日毎日、メッセを繋いでくれているのに・・・・。
それでも、彼は不機嫌にはならない。
私が就職をして、疲れているのだろうと配慮してくれる。



朝は少し寝坊で大慌てで家族を送り出す。
私も御弁当を急いで詰める。
そんな慌しい中でも、電話の子機を離せない・・・・。
恒例の彼との朝の会話は一日の始まりを力強いものにしてくれる。
昨日、考えていた土・日の予定の事を彼に話す。

「土・日は忙しいの?土曜は私も仕事が休みだし・・・。
日曜は久しぶりに同居人が休みだから・・・
ゆっくり逢えると思ったんだけど・・・。」

彼は少し考え込んでいる様子・・・。
最近は仕事も詰まって来てしまったし、休日は御父さんの世話もあるから、
ナカナカ思うように時間が取れないらしい。
「そうか・・・余り無理しなくてもいいよ・・。」
優柔不断でどっちつかずの態度の彼に、痺れをきらして私がそう答えてあげる。
「でも・・・今日は同居人・・・帰りが遅いって・・・」
そう話すと、「え?じゃ〜今日逢えなかったら又来週まで逢えないの?」
そうやって悲しい声を出した・・・。
御互い予定が立たないから、又仕事から帰ってきたら連絡を取り合おうと言って、
受話器を置く・・・・。




会社に着くと単調な仕事が山積みで、又頭痛がして来た・・・。
今までと違って数字ばかり見ているので、そのせいなのかも知れない。
毎日、PCの画面と睨めっこ・・・。
今までの生活と何ら変るものは無いのだけれど、
会社で仕事・・・そう思うと、休み時間も要らないと思えるのは
きっと今までよりも『責任重大』という荷が圧し掛かって来るからだろう。

「最初はストレスが溜まるだろうけれど・・・頑張って」

時々、彼が横に居て囁いている様に聞こえる・・・。
でも、今日はそんな声も遠くに漂っているだけだった・・・。
きっと、いつものパターンだと今日も土・日も逢えないんだろう。
『逢える』と解って居なければ、普通に居られたものを・・・。
逢えるのに・・障害があって逢え無い、そう思うと、
又何かを破壊したい気持ちにさえなってしまう・・・。






自宅に戻ると、もう外は暗闇・・・。
御飯を作るのも億劫になるほど首はグッタリ・・・。
これから、時間調節をして彼に逢うのも、もうどうでも良くなってしまった・・・。
一応、同居人に連絡を取ってみるものの・・・。
帰りはやはり遅いらしい・・。
「やっぱり帰ってくるの遅いみたい。
御互いに仕事で疲れてるし風邪気味だし・・・又別の機会にしよう・・・」

本当は逢いたかったけれど・・・状況に応じて気持ちを入れ替えないと、
又些細な事から喧嘩に勃発してしまいそうで、本心を抑える事で精一杯・・・。
「ズキズキ頭痛してる・・風邪完全に治ってないのかな?
逢いたいけど・・・調子悪くて・・・
来週のすみれの予定は?まだわからないかな?
もう少し仕事やってます」

もう少し残念そうなメールが返って来るかと思ったら、
どうやら彼は風邪が治っていないらしい。
忙しいから逢えない、体調が悪いから逢えない・・・・、
何より時間が無いから逢えない・・・。
本当に逢おうと思えば、都合をつけて幾らでも予定を立てられそうな物の、
最近は本当に忙しくて、頭の回転もついて行ってない様子の彼・・・。
「体調が悪いなら仕方ないか・・・
一生、逢えない訳じゃないんだし・・・・」

そうやって、私も御座形の答えを出す。
「風邪を早く治して、今日はゆっくり休んでね・・・」
私がメールを出すと、スケジュールが詰まり過ぎの土・日予定と、
今日は遅くなっても良いから待ってる・・・の返事。
でも、何時まで待てば逢えるのかも解からないのに、
風邪気味の彼を待たせておくのは悪いと思い、
断りの返事を入れようとした時、玄関のドアが開いた。








「すぐ行くよ! !」

そう返事をしてくれて車を飛ばして来てくれた彼は、
シャワーも浴びていないのに、私にキスをして丁寧に服を脱がせた。
湯船に入って逢えなかった日の事を笑い飛ばしながら話をしたかったのに、
私も・・・もう、そんな事はどうでも良かった・・・。
久しぶりの彼の臭い・・・懐かしさと安堵感が戻ってきて、
又、少し一緒に居られない寂しさと切なさに襲われる。
逢う前は嬉しいのに、逢ってしまうと繋いだ手を離す時の事ばかり考えてしまう私。

「すみれも・・・疲れているでしょ?」

今週は彼もデスクワークばかりで疲れている筈なのに、
今日も私の体調を気遣う彼だった。
つい何時間前までの苛立ちが嘘の様に引いて行く・・・。
彼とベットの中で色々な事を話すと、
ここが二人の家で、眠る前にこうやってアレコレと話して、
くっついて・・・そして朝まで一緒に眠る錯覚にさえ陥ってしまいそうになる。
それだけ彼と居る事で安心している自分が居る。
そして、何時も何時も、もっと時間を共有したい、もっと一緒に居たい、
もっと・・もっと・・・。
そう言って彼を困らせる・・・。
でも、今週は勝手が違った。
私は朝から仕事に行き、真剣な面持ちで仕事に取り組まなければいけなかったし、
覚えなくてはいけない事が山ほどあって、家に戻ると家事と育児に奮闘して、
疲労を否める筈も無く、深夜まで起きている事が不可能だった。
眠っている間は彼の事を考えなくても済むし、朝起きだして急いで出勤しなくては
いけなく、仕事は仕事で集中力を伴って、そして帰宅するだけ・・・。
だから、実質彼の事を考えたりする時間は極端に少なくなった。

「メッセ・・・しない間の何日間は何をしていたの?」

彼は、ずれてしまった布団を私の肩に掛けながら、そっと聞く・・・。
「僕と話をしていない間・・・誰かとチャットしてるの?
浮気・・・してても僕には解からないから・・・・。」

彼はゆっくりとした口調で、私の目をじっと見詰ながら話す。
きっと・・・一気に私の環境が変わった事に不安を隠せない・・・そんな様子だった。





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「・・・だったら、どうするの?」
私は悪戯っぽく含み笑いを隠しながら聞いた。
「また・・・そんな事を言うんだから・・・」
彼はそう言いながら、まだ私の瞳の中を覗き込んでいた。
私を子供の様に抱かかえて彼が寝息を立て始めたので、
このまま帰らなくても良いのかな?明け方まで一緒に居られるのかな?
そう思って安心したのか、私も何時の間にかウトウトしていた。
「すみれ・・・もう少ししたら帰らなきゃ・・・」
彼がそう言って起こされた時にはもう随分眠っていた様な気がしたが、
そんなに時間は経っていなかった。
彼が身支度を整えて居る間、又虚しさが何処からかやって来て、
私はポツンとベットに佇んでいた。
バスルームから戻ってきた彼が「どうしたの?」
と心配そうに聞くので「何だか少し疲れたの・・・」
そう言いながら寂びしさを誤魔化したけれど、鼻がツーンっとなって、
今にも泣き出しそうだったので体勢を変えて、彼に顔が見えないようにした。
部屋を後にする前に、来週の彼の予定を聞くと、
又、ハードスケジュールだった。
御父さんは一時的に退院出来たけれど、来週又入院をして手術する事になっている。
「やっぱり・・・来週の週末じゃないと逢えないね・・・」
彼はそう言って優しく私の頭を撫でた。


帰り道の車、わたしの家が見えてくると「もうチョットだけ・・・」
私の気持ちを悟ったのか、彼がいつもの駐車場に車を止めてくれた。
私達はそこで2時間も話し込んだ。
今まで苦労して仕事で実力を身につけた事、新しく取り組む大きな仕事の事、
税金還付の事、私達が初めて出逢った時の事・・話は留まる事を知らない・・・・。
初めて彼を見たのは、この駐車場でだった・・・。
二人で・・、「もう一年も経ったんだね・・・」そう言って考え深く遠くを見ていた。
「寒くない?大丈夫?」
彼は話をしている間も、ずっとそう言いながら私を気遣ってくれる。
9月も下旬になり、ここは思い切り寒くなった・・・。
今日も私の足はずっと冷たい・・・。

「あのね・・・人間ってね、気温が一度下がるだけで
人肌恋しくなるんだって・・・。
だから、マイナス何度になる頃には年末年始の集まりを抜かしても、
パーティーや宴会が多くなるらしいよ・・・。
前に読んだ本にそう書いてた・・・・。
それより・・わたしが生まれた日から推測して・・・
私の両親は解りやすい頃にHしたんだな〜と思って・・
予定日より遅かったらしいから、
絶対クリスマスかお正月だよね?」

彼は笑いながら話を聞いていたが、私は今でも彼が恋しくて切ないのに、
これ以上、寒くならない事を何処かで祈っていた・・・。
そして、彼の心と私の心・・・埋まらない温度差にも切なくなった。



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