こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME】
- 2002年09月25日(水) 逢えない恋人
最近は本当に深夜になって起き出す事が不可能になった。
元々、余り深い眠りにつけなくて、眠剤を貰っていた時期もあるのに、
一気に気温が低くなって部屋の中の空気が冷たい。
集中暖房が入るまで、もう少し・・・。
それまでは我慢しようと思うのだけれど、
子供を寝かしつけるまでベットに入っていると、
暖かいのか子供の体が湯たんぽ代わりになって、何時の間にか私もウトウトして、
そのまま熟睡してしまう。
今日も起き出したら、もう空が白々していた。
「すみれ・・ 寝てるかな?
仕事の疲れ・・・子供のぬくもりで、
きっと気持ちよさそうに寝ているんだろうな・・・。
明日も仕事、ハードになりそうなので・・・
明日も逢えそうにないね。
たぶん・・・週末なら大丈夫だと思うけど・・・。
旦那はまた帰り遅いのかな?
暫く逢っていないような気がするね・・・。
気がするだけじゃなく、逢ってないんだね・・・。
それじゃ・・・ゆっくり休んでね・・・おやすみ」
彼が何時にオフラインを残したのか、リメールを返せ無い程、私は疲れていたのか、
そのまま又ベットに舞い戻ってしまった。
秋晴れの今日は少し暖かかった様な気がする。
彼も「こんな日はデスクワークじゃなくて、
何処か出張だったら良かったのに・・・・」と高くなる雲を恨めしそう。
「又、前に百合を見に行ったみたいに
天気が良い日は何処かにいけたら良いのにね」
「ホントに・・・・・・ね」
彼も同調してくれるものの、これからの時期はそんな事も出来ないのを、
御互いによく解っている。
私も仕事を始めてしまったし、今までの様に時間を遣り繰りして彼とランチを
する事なんて絶対不可能になってしまった。
彼も年末近くになるまでは年間で一番大きなプロジェクトを抱えている。
去年は、私に逢う為に仕事の時間を裂いてくれたけれど、
今年の仕事の成果が解るのは、来年になってから・・・。
その時になって、又同じ事を言われるんじゃないか、と私は少し恐怖心を覚え始めて
いるのかもしれない。
去年、彼が手掛けた仕事は私が見ても、何だか失敗のようだった・・・。
スポンサー欄の空欄が目立って、その前の年に出来上がった物と比べると、
それは一目瞭然だった。
「君がミスをするなんて・・・珍しいな・・・最近、可笑しいよ」
幾ら役職を貰っているとは言え、直属の上司からそう言われて、
彼はきっと悔しかったんだろう・・・。
仕事にはプライドも持っているし、今の会社に入ったのもヘッドハンターされてだから、
きっと今まで自分のミスを、こんな風に指摘された事など無かったのかもしれない。
私も・・・結婚前の仕事は本当に好きで、一生懸命遣っていたから、
彼の悔しさはよく解る・・・。
でも、それを人のせいにするのはどうかと思い、反論した。
「ごめんね・・・あんな事を言うなんて、
僕もどうにかして居たんだと思う」
後から、彼が謝ってはくれたものの、好きだった仕事の話や苦労をした話を彼にも
して来たのに、その軽率な一言は私はとても大きな痛手に感じた。
仕事は仕事として捉えて欲しい旨話して来たのに、解って貰えなかったと思うと、
今でも悲しくなる。
「仕事のしすぎかな?
頭痛がして、寒くて・・・。風邪ひいたかな〜?
まだ会社だけど・・・早く仕事終わらせたいのに、
まだまだ終らなそう・・・。
すみれも疲れたでしょ?頭痛は大丈夫?旦那は何時に帰宅だろう?」
仕事から帰宅して彼にメールをすると、すかさず返事が来た・・・。
彼が帰るまでメールは何件か遣り取りしたけれど、
自分の体より、逢えない事を申訳無さそうに伝えるメールばかり・・・。
帰りの車の中でも少しだけ話して、風邪だったら仕事にも支障をきたすから、
薬を飲んで早く休んでと私が言うのも聞いてか聞かないか、
「ホントに暫く逢ってないね」
そんな悲しそうな声を出す。
せめて、一緒に居られたら、逢うとか逢わないとか・・・。
そんな話で悲しくなる事なんて無いのにね・・と思って居たけれど、
「本当に仕事・・・休めないんだから、早く寝なきゃね・・・・」
そう言って受話器越しにオヤスミのキスをした。