こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME
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2002年09月21日(土) 月のうさぎ

彼は今日、御父さんの所へ泊まりに行く予定。
私も仕事の予定で、声も聞けないと思っていた。
それが、予定変更になり、私は終日フリーの身になった。
フリーと言っても、細々した物を全て終らせて就職した訳でも無く、
まだまだ、残っている物を終らせないと手が空く事など無いのだが、
今日も又思考能力が全く追いつかずに投げ出してしまった・・・・。

「これじゃ〜駄目だよな〜」

カレンダーの締切日は何時だったか確認してみても、
やはり頭が着いていかなかった・・・。


友人からの御誘いで、何時間か無心になってテレビ画面を楽しんだ後、
夕方、帰宅してみると、頭の中が好きな曲でイッパイになっていた。
聞きたかった音源が家の中にある筈だ、と探してみても、
何処にどう仕舞ったのか訳が解らず、
何時か頭の中でリフレインしているフレーズが消えてくれるのを
祈るばかり・・・・。


諦めてPCの前へ再び戻ると、彼からのメールが届いていた。
もう1時間も前に来ていた物だったのに、私は又、気づかずに居たみたいだった。

「仕事お疲れ様〜。昨夜はやっぱり疲れて寝ちゃった・・・
すみれは起きてたのかな?今日の仕事はどうだった?
頭痛はまだしてるのかな?
僕はいま実家に向かっているよ」

昨日は御互い、ぐっすり眠ってしまって予定していたメッセも出来ずじまい・・。
彼にも今日は仕事だと言っていたので、
わざわざ「お疲れ様」の言葉を送ってくれた、
「もう、遅いかな?」
そう思いながらも、彼の携帯へダイヤルする。

「あのね〜今・・屋根の上に居るの・・・」

話を聞くと御父さんの家のアンテナの調子が悪く、修理の最中らしかった。
「大丈夫?」とは聞いたものの、私の話す話の内容が面白くないらしく、
色々と意地悪な質問を投げ掛けられた・・・・。
きっと・・・友人の家で見ていたビデオの内容が嫌な物だったのかもしれない。
私はどうにか、こうにかして、口論に発展しないように問題からすり抜けた・・。
それなのに、話題は又悪循環の物へドンドン流れてしまって、
何故か彼の家族の話になってしまった・・・。

「どうして・・・御父さんが、そんなに具合悪いのに、
貴方の家の人は何もしないの?」

今回、彼の御父さんが体調を悪くし、入院したりリハビリをしたりしている最中に
彼の口から、彼の家族が御父さんの世話を手伝っているなどと、
一言も聞かされていなかった私は彼に聞いてみた。
彼は私の意見を全て聞いてくれた後に、ゆっくりと言った・・・・。

「昼間に様子を見に来たりして、色々遣ってるみたいだよ・・・・・」

私はそんな事を一言も聞かされていなかったので、
「しまった・・・聞くんじゃなかった・・・・」
そう思った・・。
時々、彼の優しさに甘えてしまって、まるで私は彼の家族の一員になったような、
そんな錯覚さえ起こしてしまう・・・・・。
「そうだよね〜人んちの事だもんね・・・。
私には全然、関係ないし・・・知〜らないっっ・・・・。」

又、そうやって彼を突き放してしまった・・・。
彼が私の意見を聞いて・・・自分の家の人の事を話す時・・・。
時々、庇護しているみたいに話す時がある・・・・。
私に、よく言う家族の愚痴とは全然、掛け離れた答えが返って来る・・・。
そんな時、私は少しの誤差も見逃さない・・・人への許容範囲が極端に足りない。
そして、又・・・「あの時はこう言ってたのに・・・・」と思ってしまう・・・。
悪い癖だとは思っていても、どうやって良い方向へ考えればいいのかも解からない・・。


「流石に見晴らしがいいよ〜。夕焼けが綺麗! !
ここに住めたら幸せだろうな〜」


彼が無理に話題を変えてくれる・・・。
「そこから落ちないようにね・・・。」
そう言って電話を切る。
この前、彼に逢った時・・・・。

「家庭は・・・僕の全てじゃないから・・・・・」

彼は私にそう言った・・・・。
好きな仕事、好きな趣味、好きな家族、好きな人・・・・。
好きな物は多様で、その一つ一つから自分が成り立っているのだと言う。

「どれ一つも欠けさせたくない物」

口には出さずに居たが、私は彼がそう言っているように感じて、
又、少し気が重くなった。


夜になって子供を寝かしつける為、ベットに入って
昔、彼が言っていた事を思い出した。





40歳にもなって、こんな台詞っっ。笑↑エンピツ投票ボタン

こっちはMy追加のボタンです。



「幸せうさぎって知らない?
あのね・・・何でも「幸せ〜」って言うのが癖なの・・・。
御飯を食べても・・・幸せ。
サッカーをしていても幸せ。
好きな本を読んでも、好きな仕事をしても、
何でも幸せだと思うんだ・・・僕もそう思う。」

きっと、私が何時も何時も自分の事を「不幸だ」「面白くない」と言っているのを
聞いて、わざわざ、そんな事を言うのだろう・・・と聞いていたが、
私は思うところがあって、彼に問うた・・・・。

「じゃ〜、御飯を食べ終った後は?
サッカーの試合が終った後は?
好きな本を読み終わった後は?
好きな仕事を退職した後は?
物事には絶対終わりがあって、それを考えたら色々怖くなるし、
幸せなんて一概に言えない時だってあるょ・・・・。」

結論が出ないうちに、時間が無くなってしまい、
この話は私達の間では二度と話題に登る事が無かった・・・。



「幸せうさぎかぁ〜・・・・・・。」

私は寝返りを打ちながら彼の事を考え続けた・・・・。
私にとっての、彼への想いは・・・幸せうさぎなんて物では無く・・・。
まるで・・・月のうさぎの様だ・・・・。
昇り始めは、手が届きそうな所にあるのに、
時間が経つとドンドン高くなって手も届かなくなってしまう・・・。
雲隠れして月が見えなくなると、うさぎも一緒に消えてしまう。
朧げに見えるうさぎ・・・・。
輪郭がハッキリしない・・・・。
時々、斜めに見えたり、逆さまに見えたり・・・・。
自分の首を傾けないと、うさぎが居るかどうかも解からない・・・。
それでも・・・月にうさぎが居ないと寂しい・・・。
闇夜の道すがら、見上げる月にうさぎが居ると安堵感が戻って来る・・・。
雨上がりの晴れた夜空にポッカリ浮ぶ月と・・・その中のうさぎ・・・。
自分が月の中のうさぎを拝めた事に感謝さえしたくなる・・・。
「この月から今日も貴方の事見ているょ・・・・。」
そう言って貰える様で・・嬉しくなって・・・一人じゃないんだ、と思える・・。
でも・・・実際、あんなに近く見える月は、歩いて辿り着くまで果てしない年月を要する。
生きているうちに月に行く事なんて、きっと不可能だろう・・・・。
それでも、私は月の中のうさぎを探す・・・・。
うさぎに逢える事なんて無い筈なのに・・・・。
一生懸命に目を凝らしながら探す・・・・・。


起き出したら、もう午前3時半・・・・。

「PCの内蔵モデムが認識しなくて ネットができない・・・。涙
何度トライしてもダメなんだ・・・
せっかく心置きなくメッセできると思ったのに・・・ごめんね」

彼からメールが1件・・・。
仲秋の名月を眺めるのも彼の事もスッカリ忘れて、
私はグッスリ眠り込んでしまった夜の事・・・・。


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