こんなに好きでもいいですか? すみれ 【MAIL】【HOME
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2002年08月21日(水) 月光

昨晩は疲れているから、眠ってしまうと思っていたのに。
彼は午前2時頃になってメッセに現れた。
そろそろ、満月の時期だから一緒に御月見をしたいね・・・なんて事を話す。
でも、月見の前に色々話す事も溜まっている。
「話し合いをして、御互いに納得行く頃には又時間が足りなくなっちゃう・・・。」
「話もして、お月見もして、別々の家に着く頃はもう朝方だね・・・・。」
「睡眠時間が足りないよ・・・・。」
そんな事を話して居ると、彼から・・・・・。

「明日、お昼から又出張に行かなくっちゃ・・・・。
多分、泊まりだから・・・・・・・」

明日の予定を聞かされる・・・。
御盆休みの前から数えて、何日間逢っていないのだろう・・・・。
一週間は確実だ。
お正月だって、こんなに逢わない事は無かった。
お正月でも・・彼が気をきかせて逢いに来てくれた・・・。
逢えない日は何時もメッセしていたからか、
今のような心痛は半減されていた様にも思う。
でも、仕事だから致し方ない。
前に喧嘩の時、彼にこんな事を言われた。

「すみれのせいで、仕事が疎かになった。」

とても、ショックだった・・・・。
仕事を疎かにしている人は私自身、好きじゃない。
責任や成果を課せられるというのは辛い所だけど、
それなりの人材だから、そういう物が着いて回るのだと思う。
誰も認めていなかったら、責任も成果も何も期待されないで、
窓際に押しやられるだけ・・・・・。
彼にはそんな風になって欲しくない。
「仕事のできない男」なんて周りから見られたくない。
彼は好きな仕事をしているし、出来れば沢山、頑張って欲しいと思ってる。
この厳しい世の中で、好きな会社や好きな仕事に就ける人なんて、
僅かばかりだから、尚更そう思う。
「仕事が疎かになった」と言われて、私は沢山、反論した。
自分がしなくてはいけない事の順序を履き違えているじゃない?とも言った。
彼は反省していたけれど、私にとっては今まで彼に言われた言葉の中で、
一番、ショックだった。

「気をつけて行って来てね。」

寂しい気持ちを、ひた隠しにして、メッセを閉じる。



昨日のメッセでの会話が、素っ気無かったからか・・・、
彼も逢えないのが寂しいと思っているからか・・・、
今朝の電話では御互い、ベタベタした会話になってしまった。
私の声はハスキーで彼に言わせるとゾクゾクするんだそうだ・・・。
自分では嫌いな声・・・・・。
友達に久しぶりに電話すると、何時も風邪をひいたのか?と聞かれる。
歌を歌っている時にボイストレーニングもしなかったのと、
インフルエンザで扁桃腺に腫れを起こしているのにも拘らず、
自重しなかったのが原因で、声を嗄らしてしまった。
それから、余り褒められた事など無かったのに、
彼に言わせると、それも好きという感情の一因に成り得るのだそうだ・・・。
全くもって彼は可笑しな人だ。
どうして、こんな厄介な女なんて好きになるのだろう・・・。
今日は話が尽きなくて、一時間以上も会社に行くのが遅くなってしまった。
私と話をしている途中、人目を気にしないと歩けない事になってしまった様子。
私も煽られて同じような気持ち・・・・。
でも・・・許されるのならば、彼の頭の中の脳細胞を見てみたいと願う。
私の声で、そんな気持ちになるなんて・・・やっぱり可笑しな人だ。



今日は又、午後から雨。
残暑と言うものの、今年は全然、暑くなかったように思う。
今日はとても冷たい風が吹いている。
この雨が霙になって、雪になる日もそう遠くは無いだろう。
今年もこんなに冷たい足で大丈夫なのだろうか・・・。
早く暖房が入らないと、又足が氷のようになってしまう・・・・。
彼と午後からメッセが繋がる。
今日の出張は取り止め、でも、明日に延びただけだった。
忙しいのは良い事だけれど、御父さんの事もあるし、仕事も多忙で、
家に帰ってもキチンと休めているのだろうか・・・・。
それだけが・・・・とても心配だ。

「今日は・・・すっごく逢いたかった・・・ずっと逢っていなかったし・・・」
「でもね・・・なんか・・・すごく体がだるいの・・・」
「でも・・・すみれは前に・・・それでも逢ってくれていたね」

思ったとおり、彼は体調が悪いらしかった。
御盆明け、体はまだハードワークには慣れていないのに仕事は山積みで、
新しく遣らなければいけない事もあったのに、
仕事始めの日から、言い争いをして、帰る時間を遅くしてしまった・・・。
今になって、申し訳ないと思う・・・・。

「 明日は駄目だけど、明後日は逢いたいな・・・」

キチンと今日は帰してあげなくっちゃ・・・。
ゆっくり体を休めて・・・・。
そう思ったのに、私は又余計な事を言ってしまう・・・。

「旦那・・・今日8時に帰ってくるって言ってたよ・・・」

私のせいで精神的にも身体的にも、疲れているだろう・・・申し訳ない・・
そう思う反面。
早く逢いたい、一緒に居たい、その想いの方が遥かに強くて・・・・。
それを聞いても、彼が私に逢いに来なければ、又憂鬱になるのを知っていた。
そして、それを聞いて彼が私に逢いに来ない筈が無い事も知っていた。
何て嫌らしい性格なんだろう・・・・。

「今日を逃すと・・・また来週まで逢えなくなるかも・・・」
「時には無理したい時だってあるんだよ。」

そう言って、彼が私に逢いに来た。
同居人がこんなに早く帰宅することなんて稀だった。
彼とも何処かへ行きたかったけれど、
きっと又話して居る途中に私が泣き出しそうだったので、
何時もの様にドライブへ行く事になった。



雨は上がったけれど、空には大きな雲が掛かっていて月は見えなかった。
雲の下を何機かの飛行機が横切る光だけが見える。
何処からの最終便だろう・・・・。
雪が降ったら、あの飛行機の姿も見えなくなる筈・・・。
車を止めて、彼が私の膝に頭をつけて横になる。
「疲れているんだろうな・・・・。」
「やっぱり、ゆっくり休ませてあげれば良かった・・・。」
久しぶりに逢った彼の頭を優しく撫でながら想う。
彼がキスすると私の体は否がおう無く反応してしまう。
どうしてだろう・・・・。
本当に・・・・。
彼との行為は優しさや愛しさがイッパイで、涙さえ出てくる・・・・。
前に一緒に笑った事もあった・・・・。
そんな事をして、笑った事なんて今まで一度も無かったから、
「どうして、この人との生活に手が届かないのだろう・・・・」
と思って、顔に手を当てて泣いてしまった。
そんな気持ちだったと・・・・彼は知っているのだろうか・・・・。
彼を知って、私は沢山泣く様になった。
その反面、同居人の前では決して泣く事は無くなった。
元々、泣き上戸だったから学生の時も仕事をしている時も
悔しい事があると直ぐに泣いていた。
慰めて貰いたいんじゃなくて、誰かに悔しさを共鳴して欲しかったのかもしれない。
同居人に殴られても涙も見せなくなった私・・・・・・。
今や、私にとって『涙を見せる』という行為は本当に気を許した人の前でしか、
出来なくなってしまった行為なのかもしれない。
大人になって許容範囲が異様に狭くなった今は改めて思う。


彼が徐に「話を・・・しないとね・・・」と言って、
私はドキッとしてしまった。
彼が別れを切り出すんじゃないかと思った。
「すみれは・・・どんな風に考えているの?」
この前、放置した事を誤って、私にそんな風に聞いてきた。
私は・・・考えている事を全部、話した。

「問題は色々あるけれど・・・、
『好き』という気持ちがあるから付き合っているんでしょ?
『好き』という気持ちは・・・基本であって、
好きだからこそ一緒に居たいと思ってる。
その気持ちを私自身、捨てる事は出来ないし・・・。
何の目標も持たない付き合いなんて・・・
何時か気持ちが擦違ってしまったら・・・別れて行くだけだと思う。
気持ちが変わるかどうかは解らないけれど・・・。
私が貴方の事を好きなうちは・・・
やっぱり出来たら一緒に居たいと思い続けると思う・・・。
もし、この気持ちを受け入れて貰えなかったら・・・。
今すぐ別れる事は不可能かもしれないけれど、
何時か我慢出来なくなって・・・・、
その時が・・・・終わりなのかもしれない・・・・。」






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「でもね・・・すみれは今すぐ僕と一緒に居たいと思ってるんでしょ?」

「だから・・今すぐ一緒には居られないから・・・」

「すみれを・・・自由にさせてあげたほうが良いのかな?って
思ってきたけど・・それも・・・出来なかった・・・・。」


今まで色々な事があって、今すぐ一緒になんて居られないのは、
自覚してきたつもりだった。
でも、私が前に何時も何時も一緒に居たいと言って来たからか、
彼も、このどうにも出来ない現実を何度も恨んだらしい・・・。
彼も私と同じ気持ちだったとは今まで気がつかなかった・・・。
御互い一緒に居られない事で、私が自分からgiveupするまで、
付き合いを続けて行きたいと思っていた事。
ただ、やはり子供の事を考えると、どうしても今、一緒に居られない事。
そして、もうすぐ自我がハッキリ目覚める私の子供の事。
私達は色々、話した・・・。
何時も私が一方的に溜息をついて、どうにもならない事を悲観的に話す。
それは今日も変わらない事だったけれど、





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今日の彼は違った・・・。
前向きな意見を繰り返し言っていた・・・。
少し・・・気持ちが楽になった・・・。
問題が起こる度、私がむきになって彼を責めたりして来たからか、
今日の様に意志の疎通が出来ない事が何度もあった。
自業自得だけれど・・・・、
その度に暗い海へ小さなボートに乗せられて放り出された気持ちになる。
今は・・・横に彼の乗ったボートが見えて来た感じだ。
見えなかった月が薄っすらと見えて来た様にも思う。
でも・・・私達にはまだ、ボートを漕ぐオールは持たされていないけれど・・・。

「ごめんね・・・今まで言いたい事を上手く伝えられなくて・・・・」

帰りの車の中で私の手を強く握りながら、彼が言った。
空には本当に月が見えて来た・・・・・・。
黙って二人で月の光に照らされながら、笑った・・・。





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