2008年11月09日(日) |
081109_日展〜日本の文化的底力 |
だいぶ寒くなりました。小雨が降りそうで天気が悪いので今日も自転車はなし。替わりに電車で日展を見てきました。
日展は今年が第40回目だそうですが、東京で見るのは初めてです。会場は乃木坂の国立新美術館で、地下鉄ならば雨に当たらずに直接入館することが出来ますよ。
この展覧会は、海外経験で国としての美術振興の重要性を痛切に感じていた牧野伸顕が文部大臣になった明治40年に、第1回文部省美術展覧会(略して文展)として開催されたのが嚆矢です。
「我が国も公設の展覧会を開き、文明国として世界に誇れるような芸術文化を育成しようではないか」牧野は日本の美術の水準をもっと高めたいという夢を抱いていました。
この夢が実現するのが明治39年です。文部大臣になった牧野はかねてより念願の公設展開催を決め、明治40年に第1回文部省美術展覧会(略して文展)が盛大に開催されました。
この流れは「帝展」「新文展」「日展」と名前を変えながら日本の美術界をリードする展覧会として歴史を刻んでいます。そして100年目を迎える昨年から、会場を黒川紀章設計の国立新美術館に移して行われることとなりました。まさに日本を代表する美術展覧会です。
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展覧会は質の高い作品が多数出品されていて見応えは充分。いや素晴らしいものです。
出品ジャンルは、洋画、日本画、工芸、書という4分野で、版画も洋画に分類されて出品されています。歌手のジュディ・オングさんの多色刷り版画も入選していましたが上手だったなあ。
これが日本国民の美術文化の最高峰かと思うと実に嬉しくなります。これだけの美術作品を文化として味わえる国の力なんですねえ。
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私が愛読する「新世紀のビッグブラザーblog」の昨日の記事は「世界で最もイノベーティブな国は」というものでした。
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/19852656.html
ここで言う「最もイノベーティブな国」とは、アメリカのビジネススクールでの調査結果で、「世界で最も迅速に革新的な製品が普及している国」という意味で言っているもの。
つまり、次々に新しい技術を取り入れた製品が登場してはそれを難なく受け入れている国ということになります。そして世界で最もイノベーティブな国が日本だというのです。
新しい機能の自動車、デジカメ、携帯電話、ウォシュレットなどなど、日本人が生活改善をしようとするときの知恵と製品化力、さらにそれを1億人以上もの人口を有しながらすんなりと受け入れる国民性は、世界でも特殊な地位にあるようです。他の上位国はアメリカを除けば、北欧などの人口の少ない国が多いのです。
しかし実はそれを支えているのも、国中に巡らされたインフラの力であることが大事なこと。ウォシュレットなどは、飲めるだけのきれいな水質の水道だからこそ実現可能な技術なのですから。
世界中が金融恐慌や経済破綻に苦しんでいますが、日展といい、イノベーティブな国ランキングといい、日本の底力をまざまざと見せつけられるものでした。既存のメディアは、こういう明るい話をあまり伝えてくれずに、不安ばかりを煽るようで困りものです。
ちなみに、国立新美術館三階のポール・ボキューズのレストランも満席でした。 {/silver/}
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