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■ 転出の朝
子供の小学校入学の事があるので、早く住民票を移動させて、入学の手続きをしなくてはいけない。 金曜に市役所で転出届を出して、土曜に実家に帰った。
クルマで帰省するので、宅急便では運び辛いそうな荷物を運ぼうと、午前中、荷造りをした。 途中、何度も涙が出て、作業出来なかった。
何が悲しいのか? 夫への未練か? これからの生活への不安か?
頭の半分で自問自答しながら、かなり派手に泣いた。
夫はずっとリビングテーブルに座ったままで微塵も動かなかった。 多分、私の目が赤く腫れぼったくなっているのに気付いているだろうに、何も言わず、何もしなかった。
何かを言われても困るし、何もして欲しくもなかったけど、何もない事が寂しいような気がした。
2階の子供部屋の買ったばかりの学習机に座り、私はまた泣いた。
新しい机を娘はとても喜んだ。
いずれ離婚となってもこの机は娘がもらえるだろうが、この机の置き場はもうここではないのだ。 見晴らしの良い子供部屋の窓際に立って、涙が流れ出た。
窓からの眺めが娘にどんな楽しい空想をもたらすのかと、あまり好きではない我が家で唯一私のお気に入りだった部屋。 ごめんね、と娘に申し訳ない気持で一杯になった。
立っていられないほどになり、私は学習机に座りこみ声を上げて泣いた。
私だって幸せな家族・家庭を望んでいた。 それぞれが仕事や勉強で忙しくても、休日は家族揃って楽しく過ごす事を夢みていた。 何故、それだけの事が出来なかったのだろう? いつから、私は、一人ぼっちだと感じるようになったのだろう。
「嘘つき!」と泣きながら叫んでみた。
結婚前、夫は私の両親に「娘さんを幸せにします!」と宣言したのに、、、 嘘つき、、、
「私が悪いんじゃない! 貴方が悪いのよ!」 そう声に出して言ってみた。
ほんとは私も悪いと分っているけど、そう言ってみた。 ちょっとだけすっきりして時計を見ると、もうお昼を回っていた。 早く出発しないと、今日中に実家に辿りつけなくなる。
最後にクルマに積むつもりだった1番大きな箱を抱えて階下に降りた。 階段でジタバタしている私に気付いて、夫が手を貸してくれた。 何も言わず。
全部の荷物を積み終えていよいよ出発だ。 「気を付けて」と夫が力なく言った。 「うん。じゃ〜」 夫と目を合わせられなくて私はクルマに乗り込んだ。
(続く)
2003年03月16日(日)
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