結婚と不倫と離婚の間
蒲公英



 話し合い

昨夜、夫はいつもより少し早く帰宅した。
そして、1日早いホワイトデーのお返しだと言って、娘と私にとプレゼントをくれた。
けど、結局、私の分も娘の取られて、私には実質なにもなかった。
まぁ、そんな事はどっちでも良かったけど。

夜に話合う約束をしていたが、私はいつものように娘と一緒に眠ってしまった。
が、「今夜こそはきちんと話さなければ」と思い、夫が寝室に上がってきたらちゃんと起きようと気を張りながら眠っていたので、夫が1時頃に寝室に入って来たときには目を覚ました。

夫は、「やれやれ、結局また寝ちゃってるじゃないか」とでも言いたげに大きなため息をついていた。
私は、「起きてるよ。」と声を掛けた。
「あぁ。」夫は返事をしたが、何も話さなかった。

なんと切り出そう・・・私は考えた。
けど、寝起きで頭が思うように回らない。
ぼんやりしたまま「私、この家が大嫌いなの。この家にいる限り、この家を建てたころの事を忘れなくて、いろんな事が辛いし、一人よがりだった貴方をどうしても許せない。」
そんな話を始めた。

家を持つ前は2DKの社宅暮らしだった。家を持つ事を夫が決めた頃、私は、もう一度夫婦でやり直す事を考え、彼と別れる事を決心していた。子供ももう一人、、、とも考えたいた。
が、そうなると、パート勤めも止めなければならないし、家計上、住宅ローンを抱えるのは不安が大きすぎるので、家は子供が小学校に上がる頃まで待とうと私は提案した。
二人目の子供を取るのか、マイホームを取るのか、、、と言う事まで夫に聞いたが、夫は、工務店の口車に乗り、ローンを組むなら今だ!とかなんとか、色んな口実を並べ、家作りの計画を勝手にドンドン勧めた。
貯金などほとんどなく、全額ローン状態で、独身時代に私が貯めていた預貯金も全部はたいて、、、(今にして思えばこれは大失敗だった...自分の貯金は何があっても手放してはいけません!)

大体、夫は、何につけても、一旦手に入れたいと思いたつと、絶対にそれを手に入れないと気が済まないのだ。

話が長くなったが、そんなこんなで、この家は、キッチンのシンク1つも私が望んだものではなく、夫が勝手にやったものだ。
なので、私はこの家に全く愛着などないし、それどころか、嫌な思い出の塊なのだ。

そんなわけで、私が「「私、この家が大嫌いなの。この家にいる限り、この家を建てたころの事を忘れなくて、いろんな事が辛いし、一人よがりだった貴方をどうしても許せない。」と言ったわけを夫はそれなりに理解したようだ。

「でも、子供が、、、やはり、両親が揃っているに越したことは事はないだろう、、、」と夫は話した。
「どうだろうね〜? ○○(娘)は、『お母さんが幸せなら、おばあちゃんと一緒に暮らしても良いよ。』と言ってくれてるけど。」
夫はまた黙ってしまった。
私は話を続けた。
「私が今月一杯で仕事を止めると言ってた事については、あなた、どう考えていたの?」
「どうって・・・」
これは、何も考えていない時のリアクションだ。
私は、娘が小学校に上がり、低学年にうちはカギっ子も可哀想だろうと思い、仕事を止める事を考えていた。(が、それは立て前で、実は内心実家に帰る事を考えいたからなのだが)

「私が仕事を止めたら、まずは家計が成り立たないのよ。それに、また前のようになるかも。」
私は、今の仕事を始める前、3年ほど専業主婦をしていたが、どうもそれが性分に合わないらしく、毎日すごいストレスを感じ、ついに限界を自覚し始めたので、これではいけないと、仕事を始めたのだ。

「前のようになるって・・・」
夫は、多分、私が引き篭もりのようになって、ネットに没頭し、挙句はネットで知り合った人と出歩くようになった、あの日々を思い出していたに違いない。
「またあんな風になるというのか・・・?」
・・・・・
「またあんな風になるというのか・・・?」
そういう夫はやはり何も考えてなかったのだ、妻が仕事を辞めると言い出した事に
ついて、今後、家族はどう変わって行くべきかを。

いつもそうだ。

「そういう事、何も考えてなかったのね! ま、良いよ、そうだと思ってたから。
でね、ま、職場にもやめる事言わないといけないし、急なことだから、事務の人には少し事情を話したんだけどね。その人も数年前に別居の経験があったんだって、その時初めて聞かせてもらったんだけどね。で、ま、その人が言うには、そんなに長い期間こじれたままなら、一端離れない限りは修復も無理だろうねと言ってた。その人は結局元さやに戻ったらしいんだけどね。」

夫は「うん、うん」ところどころで相槌を打って聞いていた。
ちょっぴり「修復の可能性」を匂わせたので食い付いてきた感じだった。

が、私はあくまで、その「事務の人」の場合として強調した。

更に私は続けた。

「父親がいなくなる事で子供がどんな辛い目に合うのかと心配する貴方の気持も分る。私も正直、母子だけの生活がどれほどキツイかと不安はあるよ。けど、やってみたら案外、貴方も私も子供も、なんとかやって行けるかもしれない。愛情もない形だけの家族を保つためにみんなが無理をするよりずっと良いかもしれない。だから、取りあえず、少し別居してみてはどうかと思うの。」

夫はほんのちょっと考えて、
「それはいつまでなの?」と聞いてきた。

「子供の学校の事とか考慮して、夏休みか、、、年度末か、、、」
と私は一応答えた。(内心戻る気はさらさらないのだが)

「取りあえず、義母さんの看病もしたいのだろうし、、、」
と夫はそう答えながら、眠ってしまった。

(続きは次回)









2003年03月14日(金)
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