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■ 予定外的日常 @ 終司
「今日、天文部休みだから、屋上行かない?」 「お前、それどこから持ってきたんだ」 「上級生の教室」 「怒るぞ、そのクラスの連中」 「・・・そうは思ったんだけどね。気づいたら持ってた」
突拍子もないことばかりする、この人物は突然のことから 出来た、作る筈も予定もなかった"友人"だった。
「柊、コレだけ持ってて」 「あぁ・・・」
細い腕のどこにそんな力があるのか、天体望遠鏡を右手に 軽々と持ちながら、左手にあるファイルを指差して言った。 数冊抱えていたファイルは天文部のもので今日の西空の 星座や月の形などが記してある。
「おい、今日1日中曇ってたの知ってるか?」 「大丈夫だってば、ちゃんと雲は晴れてるから」 「今日、たしか地下駅通って来なかったか」 「変なとこ心配性だよね、僕のカンは当るよ」
カン?カンで呼ばれたのかオレは、遅れがちになった 数学サボってまで
「どうしてかな。柊の考えてる事が見える気がするよ」 「何が言いたい」 「遅れがちな授業サボって、何でここにいるんだろう?」
クス...と口元が笑む形で歪められ、面白がられているのが 見てとれた。本当にこいつと一緒に居ると調子が狂う。
「大丈夫だよ。数学は得意だから、赤点取れそうな自信が あったら、いつでも見てあげるから」 「それは、それは」
「ちなみに晴臣には逃げられました」 「あいつが?珍しいな」 「通常組の補習で」
ああ、そうか...と オレは思う。あいつも正式には夜学組の登録をしていない。 最低でも基本クラスの連中はひと月に数回は自分の登録済 クラスの授業を受ける。そういう決まりだ。
ガチャン 持っていた鍵で屋上の扉を開けると冷たい風を吹き込む。
「柊、ほら・・今日の空は格別だよ」
宇宙に言われるまま、空を見上げると雲一つない新月の夜は 星だけがただ静かに煌いていた。
2004年03月23日(火)
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