僕らの日常
 mirin



  前夜祭 2@宇宙

眩し・・・

カーテン端から、溢れている一寸の陽差しに軽い目眩を
覚えた。・・・そんな廊下、目を細めながら暗幕に手を
伸ばす、自分が隠した光の筋を勿体ないと思いながら

ぼくは、廊下に入り込むすべての光を失わせ息を吐く

久々に見た白く綺麗な光の筋は
恐ろしくも 眩しくも 感じられて

温もりに触れたくて仕方ない、そんな誘惑にかられた。

階段横の渡り廊下。
まだ彼は登りきっていないらしく

『・・・っ・・』

階下から、何かの重圧に耐える様な声が聞こえてくる。
本当に、大丈夫なんだろうか…半分持ってあげるって
言ったのに、変な意地を張った彼に対し苦笑を漏らす。

「宇宙、何してる」

壁に背を預けたまま、誰も通らなかった廊下の方に
目をやると、朝学組の柊が来ていた。

「おはよ、柊。人待ちだよ…」

右手を軽く上げて、階段の方を指差して見せる。
ちょうど晴臣の頭が遠めにわかるくらいに見えていて
柊は怪訝そうに少し目を細めて見てる。

「これ、運んでるんだけどさ」

ぼくが肩にかけていた機材を指差して言うと、柊は
さっきよりも、ずっと強い疑問に当ったような顔をした。

「重いのか、それ」
「・・・たぶん。」
「たぶん?」
「ぼくは、あんまり、かも」

一瞬だけ目を見開いたと思ったら、柊は少し声を出して
ハハッと、笑った。彼がこんな風に笑うのは珍しい・・・

「待ってろ」

一言だけ、告げると柊は晴臣の元へと降りていった。
階段途中から、響く声が騒がしく聞えて

晴臣の持っていた機材片手に階段を2人が競う様に駆け
あがるってくる様が見えて、ぼくは思わず吹き出した。

2002年10月27日(日)
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