僕らの日常
 mirin



  この存在@終司

暗い視界、漆黒色の獣がオレの手から溢れ出した。

『      』

・・・やめろ。
赤い液体をそこら中に撒き散らし獣は、人は食い荒す

『      』

オレのせいじゃない。オレがやったんじゃ
人が泣き喚き、お前のせいだ殺してしまえと叫びだす

『・・ゅ・・ぅ』

・・・一瞬、誰かに呼ばれた気がした。
この闇から、オレの救世主・・・また、あの時と同じ
あいつの声と手がまたここから救い出してくれるんだ。

「柊ッ!」

右の耳に衝撃。肩を揺すぶられて目を開けると、
そこはいつもの図書室だった、隣には呆れた様な不安
そうな、複雑な表情をしたあいつが立っていた。

「やっと起きた。もう5限目始まっちゃったよ」
「・・・・夢、か」
「柊、どんな夢だった?何か、うなされてたけど」

肩に置かれたままの手から伝わる体温にオレの意識は
覚醒していった。

「最初は、悪夢だったな。」
「最初だけ」
「あぁ...」
「ふーん...どうする、今から遅れてく?」
「冗談」
「だね。じゃ、また散策にでも行くとしますか」

宇宙は、あまり人に多くを聞かない。必要だろう情報
それだけを容易く選び出して、それが人にとって何か
重いものだろうと、自然に口に出す。

カタン...

オレは椅子から立ちあがると、いつもの様にあいつの
夜の学校散策に付合った。

2002年05月25日(土)
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