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■ 郷愁
急な傾斜ででこぼこしてて、つんのめりながら登った坂 新聞のチラシでお菓子をつつんでくれる駄菓子屋さん ちょっとぼろい集会所と公園 とんぼが一面にとぶ田んぼ 気になって仕方がなかった墓地 ひそかにれんげをつんで蜜をすった田んぼ いっつも吠えてくる犬
庭のブランコ 家族でキャンプに行ったキャンピングカー こじんまりした六畳の自分の部屋 姉妹で使った二段ベッド 外の道路を走る、子どもの自転車の補助輪の音 ボールを壁に蹴る音 家の白い壁を琥珀色に染める夕日 近いけど遠い竹やぶ 雨戸を閉める音 細長くてせまい箪笥部屋にある、本棚をあさった思い出 ちょっとこわいトルソー 押し入れのにおい お母さんが作ってくれたプリン リビングでお父さんたちと見たテレビ 家族の息づかいのなかで過ごした自由な時間 自分の部屋で、わくわくしながら読んだ小説 クリスマスにお父さんがエレクトーンで弾いたジングルベル 散歩がてら歩いて行った図書館 日差しが強く、影の濃い中、 汗をぬぐいながら登った団地の坂道
音 空気 におい 気持ち 色 光
思い出を構成するもの ぜんぶ、 あの状態で手にすることはできない もう一度味わいたいなと思っても、 すでに私が変わってしまっていて、 それは過去にタイムスリップできたとしても、 手に入れることはできない
今なにげなく生きてる今すらも、未来で、大切に思い出す思い出になるかもしれない
子どものあのころは、あのときをこんなに大切に思い出すなんて、考えもしなかった
苦しい事、 忘れたいこと、 痛かったこと、 つらいこと、
色んなものが漉されて、
ずっと未来に思い出す景色は、どんな景色だろうか
2014年05月07日(水)
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