3週間に一度受け持っているシナリオ講座の教え子さんから長命寺の桜餅をいただいた。
年始に「脚本を借りたお礼です」とカステラをくださった受講生さんがいて、わたしが「甘いもの大好き!」と目を輝かせたのを覚えていてくれたのかもしれない。
甘いものもうれしいけれど、「このおいしいものを先生に」と思い出してもらえるのがありがたい。高い受講料を払い、貴重な時間を使って講座に通って来られる受講生の皆さんに応えられる講義をしているのだろうかという心配に、大丈夫ですよと答えてもらった気持ちになる。
偶然だけど、カステラの方も桜餅の方も片道何時間もかけて講座に通って来られる。
カステラの方は片道3時間と聞いていたので「家に帰ったら8時ですね」と帰り道に話したところ「電車に乗っている時間が3時間なので、乗り換えを入れるともっとかかります」と言われ、驚いた。
往復8時間かけて2時間の講座に足を運ばれる、その向学心に頭が下がる。
桜餅の方も片道2時間あまり。このお二人とは帰りの地下鉄でほんの少しだけご一緒するので「今日はどうでしたか?」とおそるおそる感想をうかがっている。
さて、いただいた桜餅に話を戻して。
栞がどこかへ行ってしまったのだけど、たしか1717年から作り続けているとのこと。古い文書に何枚の桜の葉を塩漬けにしたかの記録が残っていて、それが七十万という単位だった記憶が。2枚でひとつの餅を包むから三十何万個と書かれていたように覚えている。今のように運搬手段が発達していない時代に、この消費量。それだけ品物の種類が限られていたのもあるのだろうけれど、長命寺の桜餅の圧倒的人気がうかがえる。
受講生の方のお気持ちと長い歴史も一緒に味わって、なおさら味わい深い桜餅となった。
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