わたしが通っていた大阪府立三国丘高校では、クラスが多かったせいもあるけど、「文化祭で何をやったのか」を枕詞のようにクラス名につけることが多い(今もそうなのか?)。喫茶店や映画もあるのだけど、3年生はほとんどのクラスが演劇をやる(今もそうなのか?)ので、「ロミオとジュリエットの」「ウエストサイドストーリーの」などとなる。
わたしがいたのは、「『オズの魔法使い』の3年6組」。その同窓会が昨日あった。
13時からの中学校ソフトボール部の同窓会の2次会3次会を終えて、19時から。
担任の山ちゃん先生をはじめ20名が集まった。
山ちゃんは、卒業式の日に「君らは大阪でいちばんのクラスや」と言ってくれたらしい。「みんな、覚えていますか?」と山ちゃん。わたしは、すっかり忘れていて、初めて聞いたみたいに感激して目頭が熱くなった。
山ちゃんのその後の長い教師生活でも、6組は別格だったらしい。それほど先生にとっても思い出深いクラスで、生徒にとっても、もちろん忘れられないクラスだったのだけど、なぜか、初めての同窓会。
「ぼくが生きてるうちにやってほしいと思ってた」と山ちゃん、ぽつり。あいかわらず、いい味。おとぼけなところが持ち味の先生で、生徒たちに好きなようにやらせてくれた。それが、「こうしたらおもろいんちゃう?」と自分たちで考えて突き進む6組のノリを引き出してくれた。
そんな山ちゃんが一度だけ自分の意見を主張したのが、最後の遠足。行き先を「奈良にしよ」と押し切ったのだけど、実は山ちゃんの故郷だった。この遠足では、女子が持ち寄りでおかずを作ってきてみんなで分けたような記憶がある。
カラオケしたり、バーベキューしたり、イベント好きが集まったクラスだった。ほんと、これまで同窓会がなかったのが不思議。幹事のT君、F君、Tさん、ありがとう。
「長めの自己紹介を考えてきてください」と事前に幹事から連絡があった通り、卒業して四半世紀近い間何をしていたか、6組で何がいちばん印象に残ったか、一人ずつ話していったら、あっという間に3時間。
いちばん覚えているのは、やっぱり『オズの魔法使い』を挙げる人が多い。それぞれの演じた役割によって、オズの別々な場所に光が当たっている。脚本・演出・カリダー役だったわたしに、ジャングルジムに上って台詞を言わされ、声が小さいと注意されたブリキ役。カリダー役は砂場でのバック転の練習が印象に残っている。照明係は舞台を俯瞰で観られて感動したと語り、衣装係は「ライオンの衣装、ほめられたけど、実は、母が作りました」と白状。
わたしは、教育実習で受け持ったクラスが偶然文化祭でオズをやることになっていて、授業よりも朝昼放課後の練習を張り切り、生徒よりも燃えてしまい、担当の先生に「あなたは教師に向いていない」と言われてコピーライターになり、その後脚本家になったと報告した。
人生で最も感動した出来事ベスト5に、ふたつのオズが入っている(>>>5月17日(金) 人生最高の日〜『パコダテ人』最終日)。
卒業15年目の学年同窓会の話(>>>2003年07月12日(土) 15年目の同窓会)や去年の三丘セミナーの話(>>>2011年10月18日(火) 「宝物はあなたの中にある」三国丘高校講演)や6月の講演の話(>>>6月24日(日) 「ドラマの種を花咲かせる」三丘同窓会総会講演)の話をすると時間オーバーになってしまうので、次の人へ。
音楽を担当したEちゃんが、わら半紙に刷ったオズの台本を持って来てくれた。わたしはどこにやったか覚えていないから、「こんなんやったんやー」と驚きの再会。
書いた台詞をバッサリ切っていたり、加筆してたり。
舞台の上から見た、装置の配置と役者の立ち位置の図。こんな細かいことしていたのか、と我ながら呆れた。
今よりもキッチリ、しっかりしていたわたし。留学して、ひとつ下の学年に編入したこともあって、クラスではいちばんのお姉さんだった。
同窓会に行くたびに、あの頃の自分と今の自分は地続きで、あの頃の経験が今の自分を支えてくれているのを感じる。『オズの魔法使い』をみんなで作り上げた経験は、間違いなく、今のわたしの大きな根っこになっている、とあらためて思った。
長い間連絡を取っていなかった子たちが、「まいまいの作品、ちゃんと観てるでー」と言ってくれる。持って行った『わにのだんす』は、あっという間になくなり、かばんは軽くなったけど、抱えきれないお土産をもらった気持ちで実家に帰った。
2010年08月04日(水) 【たま語】おかえり……ください
2009年08月04日(火) 「役目を終えた」と思えば捨てられる
2008年08月04日(月) 宙返りできなかったことが心残り
2007年08月04日(土) マタニティオレンジ154 タマーズブートキャンプ
2006年08月04日(金) プレタポルテ#1『ドアをあけると……』
2002年08月04日(日) キンダー・フィルム・フェスティバルで『パコダテ人』