わたしの好きな言葉に、"YOU can TAKE a BOOK ANYWHERE and VICE-VERSA"というものがある。海外の「本を読もう」キャンペーンのキャッチコピーで、1998年のカンヌ国際広告祭で出会った。「本はどこへでも連れて行ける。その逆に、あなたをどこにでも連れて行ってくれる」。立ちすくんでいたわたしに、物語の力をあらためて気づかせ、一歩先へ連れ出してくれた本たち。震災後に出会った3冊をお薦めしようと決めた。
……といった紹介ができれば、この時期に今井雅子という脚本家がなぜこの3冊を選んだのか、伝わりやすかった気がする。とはいえ話したことがすべて放送に採用されるわけではないのだけど、"YOU can TAKE a BOOK ANYWHERE and VICE-VERSA"はせめて紹介したかった。限られた時間、語数で思いを伝えることの難しさを思い知ると同時に、次回また声をかけていただける機会があれば、緊張しても飛んで行かないぐらいしっかり言葉と自分を結びつけて収録に臨もうと心に誓う。