2010年03月07日(日)  生きるとは、色を与えて散ること。

人間は致死率100%の生き物で、その宿命からは家族も親しい人も自分自身も逃れられないと頭ではわかっているつもりでも普段は忘れていて、訃報に接するたびに「やはり人は死ぬのだ」と念を押されることになる。

昨年急逝した方の仏前に一家でご挨拶にうかがった今日は、いつか必ず消える命と、その命は何を遺していくのかについて話し、考える日となった。「主人が遺してくれたものは、人のつながり」と話される夫人とも家族ぐるみのおつきあいで、思い出話をひとつひとつ記憶から取り出しては、もう会えないのが信じられませんねと語った。

裂き織りという手法で夫人が織った反物を見せていただいた。着物などの布地を裂いたものを織り合わせる織り方で、ここはおじいちゃんの羽織の裏地で、ここはおばあちゃんの浴衣でと色の変わり目ごとに由来を聞かせてくれた。着る人を喪ったものたちが新たな姿に織り直され、外套やマフラーに生まれ変わる。とてもあたたかいんですよと夫人は言ったが、それは、かつての人のぬくもりが宿っているせいかもしれないと思ったりした。

少し前に読んだ『からくりからくさ』という梨木香歩さんの小説を思い出した。染め物や織り物を手がける若い女性4人が一軒家にルームシェアで暮らす話。草木染めを「植物の命の色をいただく」ことだという表現があったことを夫人に話すと、まさに志村ふくみさんの『語りかける花』にそういうことが書かれていますと本を見せてくださった。

生きるというのは、誰かに色を与えて散ることなのかもしれない。今日仏前にうかがった方は、出会ったときから烈しい赤の印象だったが、「あの人ね、ずいぶんまるくなったんですよ」という夫人によると、退職してゆっくりテレビを見る時間ができたときにわたしが関わった朝ドラ「つばさ」が始まり、毎日楽しみに観てくれていたのだという。赤のイメージに深い青が混じったように感じた。

「伴侶の死を悲しむ重さに、年は関係ない。若いから哀しくて、ある程度生きたから軽くなるなんてことはない。それは自分が体験してみて、初めてわかった」。そんな風に夫人が語れるようになるまでには、何か月もの時間がかかったという。

こういう場に子どもがいると、沈みがちになる空気をうまくかきまぜてくれる。たま用にと用意してくれたクマの鼻にミツバチがちょこんと止まったケーキに、たまは大はしゃぎ(写真もたま撮影)。ケーキをぺろりと平らげると、わたしたちが静かに語り合うそばで、無邪気に走り回り、去り際に仏前にもう一度ご挨拶しようねと言うと、神妙に手を合わせて「ごちそうさま」。娘を見せに行きますと電話では何度か話していたのに、それが果たせなかったことが何より悔やまれたけれど、ごちそうさまの一言を笑い合ったら、少し救われた気持ちになった。

今日のtwitterより(下から上に時間が流れます)
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【たま語】「じいじねえ、たまちゃんのウンチはくさくないんだって」と言うので、愛だねえと感心したら「うん、じいじ、だいすきなんだよ」。当然「たまちゃんのこと」と続くのかと思ったら「たまちゃんのウンチ」。

【たま語】「おはなはおおきいけど、めはちいさかった!」とふざけてお湯からザバッ。以前は爆笑したわたしが笑わないので「あれ?おもしろくなかった?」。ママとしては面白くない旨を伝えると「おはながおおきいんだよねー。うんうん、わかるぅ」。同情されるともっと面白くありません。

【たま語】お風呂でのぼせるのは酒酔いに似た効果があるのか、長湯になるほど下ネタ連発。今夜は「オッパイ、ポキッ」という一発芸に一人で大受け。たまちゃんのおっぱい、折れるの?と聞いたら「うん、おれるの。オレッパイ〜」。

【たま語】一人で人形ごっこしながら「ひさしぶりといえば、ミミちゃん、ひさしぶりじゃない?」とませた口ぶり。「〜といえば」はわたしの口癖。

【たま語】「パ・パイヤ パ・パ・パイヤ パ・パイヤさ」という歌をパパと仲良く歌いながら「でもたまちゃんはパパ好きー」。その逆で去年のお正月に山手線ゲームで果物の名前をやったら、わたしがパパイヤと言ったのに続けて「ママイヤ」。

【たま語】「きょうから、ママのことは、おばさん」宣言。じゃあパパは?「パパはおにいさん」。この差は何???よりによって白髪を見つけた日に追い討ち。

【たま語】お邪魔したお宅をおいとまする際に「タクシーよんでくださあい」。その酢押し前に、タクシーを呼びましょうか、いえ結構ですと大人がやりとりしていたのを聞いていた様子。

【たま語】お世話になった方の仏前にご挨拶。たまちゃんも手を合わせなさいと促すと、手を合わせて「ごちそうさまでした」。天国でびっくりしていますねとご家族と笑い合う。子どもの無邪気さに救われることは多い。

【たま語】りんごは何色かなと聞かれて「 あかいぶつぶついろ」。

【たま語】 日比谷花壇で花を買ったら〈デンマークの幸せを呼ぶコイン〉をプレゼントされる。店員さんがわたしに説明するのを聞いて「なにマーク?」。店員さんと笑いあい、早速ご利益あり。

【たま語】西武池袋店の地下で寝転がり、リラックス。悪ふざけしてたら、ほっていっちゃうよと脅したら「でもパパいるからだいじょうぶ」と強気。

【たま語】続き。プレゼントをもらいつつサンタさんに会える方法を考える欲張りたま。「じゃあサンタさんにプレゼントもらってからたまちゃんがおきて、またきてもらえばいっか」。

【たま語】 クリスマスの朝のことを思い出して「どうしてペネロペちゃんのえほんがあったとき、サンタさんいなくなってたのかな」。たまちゃんが起きてたら会えたかもねと言ったら「でもサンタさんは、ねてるこにプレゼントくれるんだよね」。なんだ、わかってるじゃないか。

【たま語】携帯電話で遊びながら「たまちゃんの しらないでんわ もっていく」と五七調つぶやき。

【たま語】「てをあらってごはんたべてはみがきして、じゅんばんなの。それがわからないこは、ももぐみさんなの」。ももぐみさんは保育園の0歳児クラスのこと。

【たま語】百貨店のチラシにあるてんとう虫のマカロンを見て「これ、つくって」。今度パンに描いてあげるねと写真を切り抜いてしばらくすると「れいぞうこにはっといたよ」。見るとマグネットではなく糊で!さらに次々と食べ物写真を切り抜いて糊付け……冷蔵庫がコラージュのカンバスに。

【たま語】絵本『ぞうのエルマー』を上下逆さまにして読みながら「ちょっとさかだちしてみました。さかだちはむずかしいですぅ」。
【たま語】絵本『ちか100かいだてのいえ』に登場するカメを女から男に変えて読んでとパパにお願い。カメの一人称が原文のまま〈わたし〉となっているのを聞いて「ちがうよ、ぼくだよ!おとこなんだから」。

【たま語】子どもの虐待死が続いてやりきれないねとダンナと話していると「ギャクタイってなあに?」。親に意地悪されることよと言ったら「たまちゃんみたいなこと?」。たしかに毎日「もう、ママ、イジワル!」と言われていますが……。人として向き合っているかどうかが分かれ道なのかな。

【たま語】「たまちゃん、オリーブオイルきらい」と言うので、子どもだねえとからかったら「おとなだって、オリーブオイルきらいなひといるよ!」と反発。「オイールブオイル」と言ってたのが直っているから少し成長したね。

【たま語】「ママー、これやってよー。おっぱいみせてあげるからさー」。それはモチベーションになりません。

【たま語】たまの太もも、ムチムチしてておいしそうと言ったら、「たまちゃんたべられないよ。おくすりはいってるの。おいしくないおくすり」と必死の抵抗。

【たま語】携帯の目覚ましが鳴っているけど布団から出られないわたしの隣で「そのでんわ、かってにとまるからだいじょうぶ」。目覚ましが止むと、「ほら、とまったでしょ」。

2009年03月07日(土)  イタリアの風に吹かれる会
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