2009年12月04日(金)  「鉄」の皆さんとお座敷列車忘年会(鉄道用語修正版)

ご近所仲間で鉄道ファンのT氏に誘われ、人生初のお座敷列車を体験。JR千葉が去年この時期限定で走らせた「お座敷東金(とうがね)号」で、車内忘年会の需要を当て込んだもののよう。

両国駅の普段は使われない3番ホームから発車。通勤客が乗り降りする2番ホームから見下ろす形になり、「おい、あれは何だ?」と少なからぬ注目と動揺を集めていた。

3番ホームへ向かう通路には赤絨毯と、家庭サイズのごじんまりしたクリスマスツリーが。


ホームには屋台が並び、おでん、焼き鳥、お弁当、飲み物を販売。声を張り上げる売り子さんたちはJR千葉の人たちだろうか。

12/18 日記を読んだT氏より専門家コメント到着。以下3つのテーブルにて紹介。

両国駅でおでん等を販売していたのは、JR東日本系の弁当・車販・構内営業会社NRE(日本レストランエンタプライズ)の社員さん達です。販売員の女性はたぶん車販嬢だと思います。男性販売員達は法被は羽織るわ、髷のおもちゃカツラをかぶっているわで面白かったですね。

少年のように目を輝かせたいい大人たちが続々とホームに現れる。こちらは「鉄」の方々だろうか。とくにディープそうな雰囲気をかもした方々がわたしの座席指定特急券が示す座席のある車両に消えて行く。

「とくにディープそうな雰囲気をかもした方々」が手にしていたのは、「特急券」ではなくて「グリーン券」です。「お座敷東金号」は快速列車なので、特急ではなく、普通列車扱いです。全席グリーン指定席なので、正式な名称で言うところの「普通列車用グリーン券」が必要なのです。普通列車用グリーン券には自由席と指定席の二種類があり、値段も異なるので、「指定席グリーン券」が通称として使われています。

T氏の鉄道仲間の人たちで一車両ほぼ貸し切りとのこと。ほぼ、というのは、四席だけ別グループということだったが、その一角に乗り込んできたのは男性一名だった。キャンセルがあったのか、男性が一人で四席をおさえていたのか。


SL只見号でT氏より紹介され(>>>2004年10月23日(土)  SLに乗ったり地震に遭ったり)、昨夏「串駒」の利き酒会でもご一緒した(>>>2009年07月07日(火)  彦星は一年ぶりの会津の酒!「第5回 天明・七夕の宴」)「呑み鐵」さんが、贔屓の会津の酒を持ち込んでいた。取り寄せではなく、買い付けに行かれたとのこと。もちろん鉄道で。呑み鐵さんのデータによると、

■泉川 純米吟醸 ふな口本生 21BY 廣木酒造(福島県会津坂下町)使用米 五百万石
■飛露喜 特別純米 生詰 20BY 廣木酒造(福島県会津坂下町)使用米 五百万石・華吹雪
■出羽桜(出羽燦々誕生記念) 純米吟醸 本生 出羽桜酒造(山形県天童市)使用米 出羽燦々

スペックに詳しいのが「鉄」に見られる傾向だが、日本酒を語るときにもそれが現れる。このお酒がどれも素晴らしく(とくに「泉川」!!)、列車の揺れともあいまって(走り出す前に飲み始めていたけれど)、極上の酔い心地を体験することになった。

その酔いが吹っ飛ぶほど、自己紹介の濃いこと、濃いこと。一行は、T氏が声をかけたメンバー、呑み鐵さんが声をかけたメンバー、今日初対面の鉄道ライターのSさんが声をかけたメンバーと大きく3つに分かれ、順に「鉄」分が濃くなっていくのが自己紹介が進むにつれて如実にわかる。

各地の廃線を訪ね歩く廃線鉄、中国大陸の鉄道に魅せられた中国鉄、呑み鐵さんは音鉄でもあり、撮り鉄の方は新聞社のカメラマンであるが鉄道を撮るのが本業のような口ぶりでミャンマーまで撮りに行ったりしている。さらに、鉄道写真だけで生計を立てている希有な鉄道カメラマン(T氏より贈呈された本の写真を撮られていた)や鉄道雑誌の編集者も。

この後、夜行で能登へ向かうという方は、福島から見参。一日何時間乗っても飽きないのだろうか。呑み鐵さんも同行し、翌日横浜に戻るのは保存会のSLを磨くためという。

呑み鐡さん達が向かったのは能登半島ではないです。彼らは金沢行きの「急行能登」に乗るのが目的でした。この「能登」、まだ正式発表はJRからなされておりませんが、来春3月での列車廃止がほぼ決定しております。ちょうどお座敷東金号乗車の日に一部報道されたばかりでした。彼らは来春廃止を知らずに乗る計画を立てておられましたが、たまたま報道がされた直後に乗車することとなったのです。正式発表が出るとお名残り乗車のお客さんが多数押し掛けることになり、廃止の日まで「賑やかな」状態になるのだと思います。

JRの社内啓蒙誌にエッセイ連載を始めたわたしは「自称書き鉄です」と名乗ってみたが、皆さんの鉄分の濃さに当てられ、クラクラ。鉄の世界はかくも深し。

T氏の「時刻表検定一級」などはミーハー鉄のわたしからすると鉄道への造詣の深さの表れに見えるが、鉄仲間たちは「ええっ、そんなの取ってるの?」と笑い、T氏も「すみません」と頭をかくのだった。検定するまでもなし、というレベルなのか。

濃厚な鉄集団の中でも異彩を放っていたのは、アメリカから来たジョンおじさん。「I'm confused . I bought a ticket to Narita」と成田空港まで行くつもりが連れて来られてまいったよ、のような口ぶりであったが、ジャパンレイルパス(海外からの旅行者専用の格安乗り放題パス。一同、「欲しい!」)で日本の鉄道を味わい尽くしている筋金入りの鉄。アメリカではトランスポーテーション(交通学?)を教えているという。バナナラベルのコレクターでもあり、アリシャンバナナのラベルを求めて埼玉県の川口まで行ってきたとか。ラベルを剥がした大量のバナナを差し入れしてくれた。その昔バナナ工場に勤めていたのがラベル収集のきっかけで「世界に2万5千種あるうち1万5千種は集めた」と言う。

「串駒」で何度か一緒に飲んだT氏の大学時代の友人で折り紙研究会出身のT2君はキャラ的には相当濃い人ではあるのだけど、鉄分含有量がかなり少ないため、今日は異彩度がかすみがち。折り紙の象を残し、埼玉に帰るため途中駅で下車した。

「ここどこ?」「名前からして成田の東?」という「成東」駅で下ろされ、普通列車で引き返す。「片道じゃなくて往復お座敷列車にすればいいのに。屋形船みたいに」「でも、座りっぱなしだと泥酔者続出じゃない?」。たしかに夜風がいい酔い覚ましに。お座敷ではないけれど、車内は貸し切り状態で、2次会会場に。以前T氏の紹介で会った女の子がタイから一時帰国中の小学校時代の幼なじみと参加していて、その二人と話が弾んだ。ほかにも、再会あり興味深い出会いありで話は尽きず、両国駅に着いてから5時間ほどしゃべり続けたことに。

お座敷列車忘年会。毎年恒例にしたいほど、楽しかった。

2006年12月04日(月)  マタニティオレンジ37 LEGOと想像力 
2004年12月04日(土)  『父と暮せば』@岩波ホール
2002年12月04日(水)  カブレラ

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