2009年03月18日(水)  「いかにもがさつな感じの水」という詩

「コップちょうだい」とダンナが手を伸ばしてきたので、ささっと洗ったコップを手渡すと、「水が残ってる!」と騒がれた。わたしがきちんと水を切っていなかったせいだけど、そこまで目くじら立てなくても……と思うわたし。だが、ダンナは「いかにもがさつな感じの水が残っている」とのたまい、「今のって詩みたい」と付け足したので、のけぞった。

「いかにもがさつな感じの水」が詩なのか? この人にとっての詩の基準って、詩のイメージって、どうなっているんだろう。レストランで海老が出たと言い、「海老がどうなってたの?」と調理法を聞いたら、「死んでた」と答えるような人である。「ごはん、どうしよう」と聞くと、「簡単でいいよ」「僕が作る」「外で食べよう」「カレーを食べたい」といった想定内の回答をなぎ倒して、「食べる」と即答されたのにも絶句した。「食べる」「食べない」の二択ではなく、その先を聞きたかったのだけど……。ある意味非凡な言語感覚の持ち主なのかもしれないが、詩人とは違う気がする。

「詩っていうんだったら、『君がこれまでに流した涙ぐらいの水』ぐらいのことを言えないのか」と反論すると、「君は、涙は流さない。汗なら流すけど」と言い返された。ムッとなったけど、さんずい偏の感じが4つ並んだこっちのほうがまだ詩らしさがある。でも、妻の涙を汗と並べる感性は、やっぱり詩人じゃない。

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