娘のたまとお風呂に入っていたら、「これ ケェコのあんよ。たまちゃんのあんよ こうえんいってるの」と言い出した。言葉が達者になってくると、言うことも文学的になってくる。足だけ切り離して遊びに行くとは川端康成の怪談『片腕』のよう。今日の子守話は、たまを置いて公園へ行った足の話。ビジュアル的にグロテスクな気がして、帽子をかぶせてみた。下半身だけの人物が登場する話を以前『世にも奇妙な物語』の企画に出したけれど、ワイセツな感じがしたらしく、却下された。わたしが書けばイヤラシくならないと思うのだけど、映像にするとやっぱり怖いだろうか。
子守話40 たまちゃんのあし
たまちゃんがおひるねしているあいだに みぎあしとひだりあしが こっそりふとんをでて くつをはいて そとにでかけました。 あしだけがあるいていると みんながびっくりしてしまうので あしのうえに むぎわらぼうしをかぶりました。
ぼうしをかぶったあしとすれちがっても ふりかえるひとはいません。 ぼうしのしたからあしがのびているなんて だれもおもわないのです。
たまちゃんのあしは こうえんへむかいました。 いつも もっとあそびたいのに パパやママが おうちにかえるじかんですよといって たまちゃんをつれてかえってしまうのです。
けれど あしだけであそぶのは たいへんでした。 ブランコは ぐらぐらして うまくのれません。 てがないと くさりをつかめないのです。 すべりだいのとちゅうでとまっても てでこげないので しゃくとりむしのようにくねくねとすすむしかありません。 やきゅうのボールがとんできて なげられないので けりかえすと いやなかおをされてしまいました。
やっぱり あしだけであそびにきても つまんないや。 みぎあしとひだりあしは たまちゃんのうえはんぶんが ねむっているおふとんへ かえっていきました。 すっかりくたびれて へとへとだったのに みぎあしとひだりあしが もとどおりにくっついたとたん たまちゃんはめをさまして げんきよく おきあがってしまいました。
おひるねがおわって たまちゃんはこうえんにあそびにいきました。 ブランコもすべりだいも じょうずにできましたが みぎあしとひだりあしは ねむくてしかたありません。 こんなひにかぎって たまちゃんのパパとママは なかなかむかえにきてくれないのでした。 |
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