2003年02月02日(日)  十文字西中学校映画祭


行ってきました十文字西中学校西中映画祭(ドリームアップ事業)。前日に宮崎から戻ってきた前田監督、一沙ちゃんと羽田で待ち合わせて、はじめての秋田へ。栃木の男体山はじめ道中ほとんどの間、機内の窓からは銀世界がのぞめて、眺めは最高。日本の冬ってきれいだなあと感心しているうちに秋田空港に到着。十文字映画祭スタッフの藤原さんと十文字西中学校の小松先生に出迎えられ、十文字町へ。


十文字町に入り、「白鳥飛来の地」に立ち寄る。2000羽の白鳥が飛んでくるとのこと。圧倒的に鴨が多い。「鴨飛来の地(白鳥もね)」という感じ。ちぎった食パンを投げるとグワグワ鳴きながら集まってくる。全然人を警戒していない。「今夜は鴨鍋ですよ」と小松先生。(冗談じゃなくてほんとだった)
十文字西中学校に着くと、巨大なかまくらがお出迎え。「昨日、陸上部員が作ったんですよ」とのこと。中に莚と座布団が敷いてあって火鉢まで用意されていてびっくり。ここで焼いたお餅を後でふるまっていただく。中学校側の窓口としてこまめに連絡をくださった数学の後藤先生、十文字映画祭の吉村さん、映画祭実行委員長の小川さんと合流。
校長室に入ると、お茶目な泉川校長がにこやかに迎えてくださる。名刺は十文字和紙に毛筆。かっこいいですねーとはしゃいでいると、「皆さんにもあります」とぽち袋に入った特製名刺をいただく。文字は校長先生の奥様の手書きで和紙は生徒さんが漉いたそう。手づくりの贈り物に早速心はポカポカ。
さらに雪かきで体ぽかぽか。一沙ちゃんとともに長靴を借り、校舎の屋上に上って真新しい雪をせっせと落とす。前田監督が下から雪球を投げてはしゃいでいた。職業として雪かきをやると日当15000円とのこと。10分ぐらいで息が切れてしまった。
空港で派手な「歓迎」の札で迎えられたときから「この身に余る歓迎ぶりはえらいことになっているぞ」と思っていたのだが、パンフ用写真を拡大カラー出力して作った看板には度肝を抜かれた。美術の先生がレイアウトされたとのこと。「こんな使われ方をするなら可愛く写っておけばよかった」と悔やんでいると、「どうしようもないことやん」と前田監督。
12:30、実行委員長の藤原さん(映画祭の藤原さんとは親子じゃありません、とキッパリ)の挨拶で西中映画祭が開幕。まずは秋田弁講座から。入門編の「おちゃっこ」は「お茶」。これはカンタン。ちなみに校長室で「この辺では何でも『こ』をつけるんですよ。美人ことか」と話題になったとき「みじんこみたいですね」と言ったら、「今井さんはそっちのほうが近いな」と前田監督。あいかわらず冴えていた。「ねまる」は「座る」、「ごっつぉ」は「ごちそう」、「がっこ」は「漬け物」。回答者用マイクを持っていた鈴木君はヒントを即興で演じてくれた。アドリブのきく彼は将来大物になる予感あり。

場も和んだところでパネルディスカッション。最初はあらかじめ用意してあった質問を順番に聞いていたのが、少しずつ緊張がほぐれてくると、その場で思いついた質問を投げてくれるようになった。質問に答えていると、思いがけない言葉が口から飛び出して、自分で自分を再発見することがある。「女優になりたいと思ったこともあった」ことを言ってから思い出した。「身の程を知れ!」と前田監督に突っ込まれたけど、お芝居を観るのが好きで、いつか舞台に立ちたいと夢見たこともあったのだった。そのうち自分の書いた芝居で役を作ってやるぞ。

10分休憩をはさんでパコダテ人上映。中学生は静かに見入っていた。泣いている子もけっこういた。上映後、再びパネルディスカッション。「しっぽはどうやって動かしているんですか」「いくらお金がかかりましたか」「あの後パコダテ人のしっぽはどうなったんですか」「衣裳は誰が作ったんですか」などと作品についての質問が続いてうれしかった。「こんなあたたかい部屋で映画を見ると普段は寝てしまうんですが…」と言う女の子にびっくり。タイツを2枚重ねしても体育館の床から冷気が昇ってきて、「これだけ寒いと寝られないなあ」と思っていたのに。「恋人はいますか」「スタイルを保つ秘訣は何ですか(←一沙ちゃんに)」などと質問も打ち解けてきて、いい感じ。全員の感想を聞きたくてマイクを回したら、遠慮しあってぐるぐるたらい回しに。シャイなんだなあ。発言は男の子のほうが活発だった。前田監督は「恋をしよう」としきりに言っていた。何だってできる十代、いろんなものに恋をして、いつもときめいていてほしいな。

最後に全校生徒が『マイバラード』を熱唱。150人からの歌の贈り物は照れくさかったけど、心のこもった歌にじーんとなる。思いっきり音が外れているんだけど声は人一倍大きな男の子がいて微笑ましかった。記念撮影が終わると5時前になっていた。質問タイムでは恥ずかしがっていた女の子たち、生徒手帳を持って「サインしてください」と校長室に続々やってきた。みんな色白でほんとにかわいい子が多い。秋田美人の噂は本当だった。「男の子がみんな若狭(秋田出身の大蔵省君)に見える」と一沙ちゃん。
名残惜しい中学校を去り、マタギ料理の店で先生方と映画祭のスタッフの皆さんによる歓迎会。クマの刺身(熊刺?)をはじめて味わう。しょうが醤油がよく合って何とも美味。鴨と鹿の鍋もおいしくいただく。前田監督が宮崎で撮影していた『棒たおし』を取り上げたテレビ番組(約10分)と十文字西中学校の生徒さんが作った短編『西中怪談』をビデオ上映。中学生から映画製作に関われるなんて、すばらしい環境。小松先生、後藤先生はじめ熱心な先生方にも恵まれている生徒さんは幸せ者だと思う。今はそのことに気づいていないかもしれないけれど。

宿に着いてからも夕食が用意されていた。おなかいっぱいのはずなのに入ってしまう不思議。山菜たっぷりでどれもおいしくいただく。朝早かったので12時を過ぎると意識が朦朧としてきたのに、修学旅行状態でしゃべっているうちに3時前になっていた。「ドリームアップ事業」と銘打った西中映画祭、わたしにとっても夢が膨らむ一日だった。

2002年02月02日(土)  歩くとわかること

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