目黒にあるバンタンスクールにて、アニマックス大賞公式ガイダンスイベントのパネルディスカッションに参加。開始一時間前にパネラー三人が初顔合わせ。共同テレビのディレクター佐藤源太さんと、バンタン講師であり作家の斉藤ゆうすけさん。今日のパネルディカッションは参加者から寄せられた「ストーリーを面白くするコツ」を取り上げながら進行するので、それを見ながら「この人、一人で何通も書いてる」などと雑談するうちに時間になった。
定員の百人をオーバーした130人ほどがぎっしりと詰まった会場の後方から壇上へ。司会の井上実さんに紹介され、着席して、はたと気づいた。ワンピースの背中のファスナーが上がりきっていない! 家を出てから見かけた人はファッションだと思ったか、声をかけるのをためらったか、黙殺したか、冷笑したか。背中に手を回し、ファスナーを20センチばかり上げすながら、せめて会場にいる参加者には言い訳をしとこうと考えをめぐらした。で、「ストーリーを面白くするコツ」募集で「キャラクター」と書かれた紙を選び、「さっきから、ここで怪しい動きをしてましたが、実は、ファスナーを上げていました」と白状。「わたし、次のことをやると、それまでやってたことがところてん式に押し出されちゃうんですよ。よく電子レンジから取り出し忘れて冷えたおかずが出てきます。上げかけのファスナーで一度にいろんなことやろうとする性格を描く、これがキャラクターです」。と、転んでもタダでは起きないたくましさもキャラクター。
佐藤さんは「ベタに描かない」を選び、斉藤さんは「気合い」を選び、パネラー三人が順に「コツ」を選んでコメントする形でディスカッションは進む。他の人が選んだものにもコメントを入れたので、どれを自分が選んだのか記憶が曖昧だけれど、参加者が寄せた「コツ」をパネラーが膨らませると、「ラストから逆算して書く」など今すぐ使えるヒント満載。参加者が記者会見のごとくメモを書き込んでいたのが印象的だった。
最後に、各パネラーが考える「ストーリーを面白くする5つのコツ」を披露。わたしは先日のシナリオ講座創作論講義の延長で、料理にたとえてみた。
ストーリーを面白く(おいしく!)する5つのコツ
1 素材 2 調理法 3 スパイス 4 試食 5 サービス精神 |
「素材」は受け手(コンクールであれば審査員、ドラマや映画であれば視聴者や観客)が食べたことのない新鮮で面白い題材を使うこと。そのためには日頃からアンテナを張り、ネタを仕入れることが大事。審査員は同じものばかり食べさせられて食傷気味なので、目新しい食材には飛びつく傾向がある。また、プロになってからは、急な客のわがままな注文にいかようにも応えるのが腕の見せどころ。ネタをアレンジしやすい形でストックしておくと使える。
「調理法」は題材を感動的な味に仕上げる組み合わせと味つけ。テーマやモチーフの斬新さ、アイデア一発勝負ではコンクールには勝てない。どう調理すれば、いちばんおいしくなるのかを考え、そこに自分らしさを出す。
「スパイス」は食後に余韻を残す遊び心。小ネタだったり言葉遊びだったり、サブキャラだったり。
「試食」は脚本を自分で読み返し、まわりの人にも読んでもらい、「うまい」と思えるまで改良すること。味見もしないものを食べさせるのは言語道断。
「サービス精神」は受け手が喜ぶ顔を思い浮かべて作ること。また、受け手の反応を次の料理に活かせること。想像力が乏しいシェフの料理は上達しない。
料理と同じで、脚本は誰にでも書けるけれど、おいしく作るにはコツが要る。それを意識しながら作り続けることが上達の鍵。コンクール応募時代にできるだけネタを仕込み、調理法を身につけておくと、プロになっても手際よくリクエストに応えられる。おいしいストーリーを作る腕を磨き、コンクールで開店のチャンスをつかみ、行列のできる店になってほしい。
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