はじめての脚本映画「パコダテ人」の東京公開初日。うれしいことはたくさんあったけれど、いちばん感激したのは、新宿東映パラス2で受け取った花束だった。「受付に届けられました」と渡された紙袋にはピンクでまとめたブーケとカードが入っていて、増田文子と署名があった。「ゆうばりの映画祭のときに相部屋で一緒になった横浜の大学生」と思い出すまでに、少し時間がかかった。ゆうばりで会って以来、まったく連絡を取っていなかったから。学校の教室を改装しただだっぴろい部屋に二人っきりで泊まり、いろんな話をしたのだが、パコダテ人への思い入れを語るわたしに、「どうしよう…他にも見たい作品いっぱいあるし」と増田さんは迷い、「パコダテ人は東京でやるんですよね?そのとき必ず行きますから、映画祭では、ここでしか見れないものを優先します」と言った。あれから2か月以上経ち、わたしはそんな約束を聞いたことすら忘れかけていたというのに、彼女は公開初日に約束どおり劇場に現れ、愛らしい贈りものまで届けてくれた。あまりに思いがけなくて、うれしくて、携帯に電話(ゆうばりで連絡を取り合うために番号を交換しておいた)したら、もう席に着いてしまった後で、会えなくて残念。増田さん、お花はオレンジの花瓶に活けました。毎日水をかえて、一日でも長く咲かせようと思います。
約束といえば、岡山のTOMさんも、「東京公開をぜひ見に行きます」の言葉通り、上京してくれた。偶然の重なりに導かれてメールをくれ、いまいまさことその作品たちを応援してくれているファン第一号。シネパトスの前で待ち合わせし、無事会うことができた。
新宿駅から家に帰る前に、駅ビルのルミネに入っているmotomachi rodeoに立ち寄った。前に服を買ったとき、ノリのいいお姉さんがチラシを貼ってくれて、「宣伝しとくねー」と言ってくれたお店。行ってみたら、チラシはなくなっていた。お店の事情もあるだろうしと思っていたら、「お客さんが欲しがって2枚ともあげちゃったの」と言う。「チラシ置いていったら、すすめといてもらえます?」とお願いしたら、「いいよ。たくさん置いてって」と言ってくれる。「テレビで予告見たけど、かわいい映画よね。わたしも行きます!」。このお姉さんは、本当に来てくれそうな気がする。相手を喜ばせたり安心させたりすることを言うのは簡単だけど、それを実行する人は、本当にえらい。