木村洋二さんという関西大学の教授が「笑い測定機」なるものを開発したと新聞記事で知る。笑った時に筋肉が動いて発生する微弱な信号をセンサーでとらえて数値化する仕組みらしく、単位はアッハ(aH)。こういうアホらしい花火を打ち上げるのは関西の大学でなくては、とわたしはエキサイトし、東京出身の旦那は「いかにも関西だね」と冷ややか。わが家には「ぼく、関西人って嫌いなんだよね」「え? わたし関西人だけど」「だから嫌いになったんだよ」という笑えない小話があるが、関東人と関西人って発想がまるで違う。海外勤務を希望した会社の先輩は大阪勤務になり、「外国みたいなもんだから」と赴任していった。
話を笑い測定機に戻す。もともとわたしはよく笑うほうだと思うけれど、娘のたまが人生に出現して、さらに笑うことがふえた。マンガみたいに見事に転ぶ姿を見てアッハ。欲張って食べたさつまいもを喉に詰まらせてむせてはアッハ。調子に乗ってぐるぐる回って目を回して壁に激突してはアッハ。全身で人生にぶつかっている姿は、体を張った天然芸。ビデオを回しながらアッハ。ビデオを再生して、またアッハ。
赤ちゃん相手は笑いを誘いやすい下ネタの宝庫でもある。ウンチが出たと言ってはアッハ。その形がすばらしいと愛でてはアッハ。うさぎのウンチみたいなのが床に落ちてたと悲鳴上げつつアッハ。真っ赤な顔してきばっているのを見つけてアッハ。
笑いは不意打ちにも弱い。スプーンを投げつけた。包丁をつかんだ。椅子の上で立ち上がった。鍋をかぶった。ママのブラをかぶった。予測のつかない行動にあっけに取られ、思わず吹き出し、アッハを稼ぐ。最近では、「ひざ立ちダッシュ」に意表を突かれ、大いに笑った。ひざで地面を蹴ってちょこまか走るのだが、その速いこと。「大爆笑は一秒あたり5アッハ、4秒続くと20アッハ」という基準から計算すると、毎日100アッハは記録しているように思う。
木村教授は測定機を万歩計みたいに携帯できるサイズに小型化することを試みているらしい。万笑計(!?)を持ち歩いて、めざせ一日一万アッハすなわち爆笑2000秒。60秒で割ると、33分20秒。そんなに笑ったら子どもが心配して泣き出しそうだけど、その頃には笑いのネジがすっかりゆるんで、「心配して泣いちゃったよ。アハハ」となるのだろうか。
2007年03月11日(日) 『のど自慢』チャンピオン大会
2005年03月11日(金) 絶対王様公演『やわらかい脚立』
2004年03月11日(木) 岩村匠さんと再会
2002年03月11日(月) 漫画『軍鶏』