先週の金曜日、昨年仕事をしたプロデューサーから事務連絡の電話があり、おひさしぶりです、などと話していると、「いま、アカデミー賞の授賞式に来ているんです。お手伝いで」と言う。「そうか、今日でしたっけ」と答えて、「なんだかアカデミー賞なんて、すごく遠い世界です」と続けた。もともと賞レースに絡む作品に関わったことはないので、子育てで遠ざかったわけではない。けれど、映画会社にちょくちょく打ち合わせに行ったりしていると、映画業界の年に一度のお祭りは必ず話題にのぼる。何がノミネートされたとか、何が本命だとか、なんであれが選ばれないんだとか、そういう話に加わっていると、お祭り騒ぎのおこぼれにあずかれるのだった。「僕だって遠いですよ」と電話の向こうでプロデューサーが言った。「会場にいても、遠いですか」「ええ、遠いです」。目の前で祭典が繰り広げられ、自分の見知った関係者が受賞するのを見ても、自分が手がけた作品が賞を取らなければ、他人事になるのだろう。すぐそこにあるのに触れない、手が届かない、そのほうが遠く感じるのかもしれないなあと思う。
2005年02月19日(土) 青春京都映画『パッチギ!』
2004年02月19日(木) ツマガリのアップルパイ
2002年02月19日(火) 償い