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■ 手錠を用意され
今日はネタのために作られたような日曜日だった。
朝、起き抜けに電話がかかってくる。「もしもし、あのな、何かそっちに変なメールが行ってへん?」「ああ来てるよ」「実はな、あたしのパソコンがウイルスにやられてんか。それで行ったやつやと思うねん。で昨日からたくさん友達から電話が来ててな(以下略)」 一気に目が覚め、トレンドマイクロのチェックサービスで調べるとCドライブでヒットしちゃいました。「これはトロイの木馬型ウイルスです。危険度中(以下略)」。せつない。見つかっただけよかったが。とにかくせつない。いい性格してるよトロイ人め。
気を取り直し、用事を済ませるべく1-UTAMAショッピングモールへでかける。うちからここへはタクシーで行くほかなく、しかも遠い。別に急いで帰る必要もないのでタクシー代をケチってバスでKLまで出ることにし、ジャスコ1-UTAMA店内に日本の古本屋があるのでそこで椎名誠の「砂の海 楼蘭・タクラマカン砂漠探険記」と小林秀雄の「常識について」を首尾よく入手、なんとなく微笑みつつ(こわくないこわくない)バスに乗り込む。
楼蘭を目指して30ページほど踏み込んだころだった。 まったく現在地のわからない場所で、バスがいきなり停まった。明らかに「何か違う」という感じである。果たして自動小銃を小脇に抱えた国軍兵士が二人乗り込んできた。IC(個人識別カード)チェックである。初めて遭遇した。マレーシア人はこれの携帯が義務付けられている。僕ら外国人は、パスポートとワーキングパーミット。不携帯は即、入管法違反となるということは聞いていた。 が、今日は休みのお出かけである。人ごみでそんなもの持ち歩くほうが危ないとさえ言える。 わし「ありません」 兵士「降りなさい」 兵士が、オーユーアジャパニーズ、などと騒ぐので乗客がいっせいに注目する中を、他の不携帯者と一緒に降りる。日本人がもう一人いる。 妙ににこにこのマリオ型中年警官が一人一人に話しかけている。瞬間、これは「袖の下」でなんとかなるかも、と希望がよぎる。が・・・マリオ「あなたたちは今からイミグレーションへ行かなければならない。そこで書類にサインし、500リンギットのペナルティを払うこと」。『ぼのぼの』に出てくるクズリくんみたいににこにこしたままだ。「あなたたちはマレーシアの法を犯した」そしてにこにこしたまま、前にいる恐らくは不法入国らしきインドネシア人5人に手錠をかけ始めた。 なんでそんなにさわやかに笑っているのだ。マリオの手には明らかにもう二つ、手錠が握られている。 つー、と汗が背筋を流れる。ああなんて涼しい日曜の午後だ。 いかん。捕縛される。・・・法律違反なのは今初めて知ったんです。自分は最近この国へ来たばかりで。友人がパスポートを街中で盗まれたので危ないと思い、持ち歩いていない。パーミットはちゃんとあるから、アパートに電話して持ってきてもらってもいいか。 マリオ「500リンギットは高いか」。うわー話聞いてねー。「不携帯はそれ自体が違法行為である。今からイミグレへ行って500払う。理解したか?」「話はわかりますが、500は高い。そんなにない」 以下20分ほど、黄昏どきの問答がつづいたあと、 わし「初めてのことで、驚いている。チャンスをくれ」、なんと反応あり。 マリオ「どうして日本人なら法律を守ってパスポートを持ち歩かない。・・・よし、OK。今回はチャンスを与える。マレーシアの法律では、違反すると強制的に日本へ送り返されることになる。次は本当にないから、明日から必ず持ち歩くように」
釈放。夕日が黄色かった。 いや、懲りました。帰りにもカルフールで厳重警備にびびらされたり、タクシーが小便くさかったりごたごたがあって、本当にばったりくたびれきって9時過ぎに帰宅。
聞くところでは、朝方メガモールでピストル強盗があり、犯人は300万リンギット(1億円ぐらい)相当の金のアクセサリーを盗んで依然逃走中とのこと。
2002年09月29日(日)
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