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風太
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2002年11月28日(木)
ららばい2

目が覚めた時には、既に太陽はずいぶんと高くに上っていた。
「んあ〜〜」
久しぶりによく眠ったなあという爽快感とともに、身体中に活力がみなぎってる感じがする。
悪夢の後はいつも、身体のあちこちがきしきしと痛んで、起きあがるのさえつらかったけど。
「あ? そういや、蛮ちゃんは?」
公園横の日当たりのいい場所に車を停めたまま、蛮はどこに行ってしまったのだろう?
車から降りて、ん〜!と力いっぱい伸びをして、朝の光を浴びて(もしかしてもう昼なのかな?)空気を胸いっぱいに吸い込む。
あー、おひさまっていいなあ。あったかくて、でっかくて。
あれっ?
おひさま・・って。
(そういや、なんかユメ見てたなー。おひさまを誰かと一緒に・・・あ、おひさまっていうか夕陽・・・・。無限城から一緒に誰かと・・)

 『うん。ダッカンヤ、やる!』

(あ・・・・・)
ユメの中で幼い自分を抱き上げてくれた、あの暖かい腕は・・・。
思い出したと同時に、銀次は走り出していた。
公園のベンチに腰掛けて、集まってくる鳩を足で軽く蹴散らしながら、ぼんやりと煙草をふかしてる蛮の姿が目に入ったからだ。
「蛮ちゃん! 蛮ちゃん!!」
蛮が駆け寄ってくる銀次に気がついて、ぶっきらぼうに視線を送る。
「おはよう、蛮ちゃん!」
「おはようって、テメー、もう11時だぞー」
言うなり、転がるように走ってきてベンチの隣にひょいと正座したかと思ったら、唐突に首に抱きついてきた相棒に、ちょっと面食らった顔で銀次を見る。
「うわ、なんだお前! 煙草の灰が落ちんだろーが、おい、あちち!」
「蛮ちゃあん」
「あんだよ!」
「オレさ、オレさ、すっっごいいいユメ見ちゃったよ・・!」
さも嬉しげに「聞いて聞いて」という銀次に、蛮がため息をつきつつ、「おう、なんだ」と答える。
別段、今日は予定もねーし、天気はいーし、悪夢から解放された銀次のハナシをぼけっと聞いてやるのも悪かねえ。
そんな表情の蛮に、銀次はゆうべ見たユメを、事細かに話せて聞かせた。
あのねー。ガキの頃のユメなんだけどねー。あ、天子峰のハナシは前にしたよねー。それがさー。薄暗がりの部屋で震えるオレを抱き上げてくれたのは、天子峰さんじゃなくて、なんと蛮ちゃんだったんだよー! でねー、無限城の屋上から蛮ちゃんに抱っこされたまま夕日見て、そしたら蛮ちゃんがねー。大きくなったら迎えに来てやるから・・。

「オレとケッコンしないかってー!!」
「・・・・・・・ああ゛!?」

「おい・・」
「うん?」
「ちげーだろ?!」
「なにが?」
にこにこ笑っている銀次とは対照的に、どーんと暗くなっている蛮が低ーい声で言う。
「ちがうだろうが、ソコは!!」
「どこ?」
「誰が結婚だ?! ああ!?」
「だって、蛮ちゃんが・・」
「オレは、言ってねーだろ、んなこと言うか!? 」
「あれ? だったら、何だっけ?」
うーん?と首を傾げて考える銀次に、くるりと背を向けて蛮がベンチを立ちながら言う。
「奪還屋、やんねーかっつったんだよ! んな大事なトコ、間違え・・・!!」
吐き捨てるように言って、「しまった」という顔をした。
まさか、このヤロー・・。
いやーな予感がしつつ、ばっと!振り返る。
「やっぱ、そうだったんだ・・」
にっこりと微笑む銀次の瞳が、少し潤んで蛮を見ていた。
まんまとハメられた・・・。
この美堂蛮さまが・・・!
しかも、このアホに。
すげー屈辱・・。
ピキピキとこめかみあたりに筋を入れつつ、ぶるぶると拳を震わせて、怒りにまかせて力いっぱいのケリと、この際「スネークバイト」でも喰らわせてやろうと身構えた途端、がばっ!と今度は正面から抱きつかれて思わず蛮が固まる。
お、生意気に、殴られる前に自分から懐飛び込んできやがったか?
そっちがそう来るなら・・。
「テメェ、いい度胸じゃねえか、このオレ様のスネークバイトから逃れられるとでも思って・・!」
「・・・・・・・・・・・」
「聞いてんのか、オラ!」
「・・・・・・・・・」
「おいコラァ、銀次・・! てめー、人をコケにしといてシカトすんじゃねー!」
「・・・・・・・うん、聞いてる・・・」
「聞いてんだったら、離れろ、暑っ苦しいからよ!」
「・・・・・・・聞いてるから」
「だったら・・!」
「・・・・聞いてるから。・・・・・ちょっとだけ、こうさせて・・・。蛮ちゃん」
「・・!」
しがみつかれている蛮の耳元で、微かに鼻を鳴らすような音がした。
どんなにつらい時でも、笑顔を絶やさず元気いっぱいの、そうたやすく蛮の前でさえも涙を見せない銀次が。
・・まさか、泣いてる?
「銀次?」
「蛮ちゃん・・」
邪眼でユメを見せてくれたんだね・・。
悪夢から、オレを救い出すために。
いつも一緒に過ごしてきたから、想いもずっと共有してきた。
互いがつらい時は、同じように自分もつらかった。
だけど、この想いの深さでは、蛮に到底適わない気がする。
自分に、こんな風に相手を思える深さはあるだろうか。
冷血、冷酷と呼ばれながらもこのヒトは、誰よりも、深い情愛を持っているのだ。
でも、オレも負けないよ。
蛮ちゃんがオレを想ってくれるよりもっと、ずっと、蛮ちゃんを想うよ。
深さでかなわないんなら、強く。
もっと強く、蛮ちゃんを想う。
そんな銀次の想いを感じて、蛮がその背中をポンポンと叩いて、静かに訊く。
「・・・・んで? よく、眠れたのか・・?」
「うん・・!」
「そっか・・。なら、よかったな・・・」
「うん!」
「だったら」
「うん?」
「いい加減、降りろ、テメー!」
「んあ?」
「わかんねーのか!? テメェ、ヒトの足の上、のっかってやがんだよー!!」
「あ、ホントだv」
「ホントだじゃねえ! 気づけってんだ、このー!」
ガッ!!
思い切り蹴飛ばされて、タレて銀次が飛んでいく。
「びえええ、ごべんなざい〜!!」
ひょーんと飛んで、ボチャン!と池に落っこちるのを見て、蛮は「やれやれ」と脱力したように肩を落とした。
「わーん、蛮ちゃーん、パンツまでびしょびしょで〜す・・・」


「ったく・・・。アイツといると、とにかく退屈するこたぁねーわな・・」
フッと笑みを漏らすと、池の鯉と戯れている銀次を、バカだボケだと罵りながらも、側に行って手を伸ばす。
「おら、掴まれボケ」
「ひどいよー、蛮ちゃあん」
「てめえがナメた真似しやがるからだろ!」
「だってー。あ、ねーねー、本当におっきくなったらケッコンしてくれんのー?」
「ケッコンじゃなくて、奪還屋だっつってるだろうが!! だいたい、てめえ今よりデカくなってどーすんだ!」
「わーい、蛮ちゃん、照れてるーv」
「照れてねえ!! ったく、つまんねーごたく並べやがる口はコイツか、コイツか!? ええ!?」
「いだだだー!! わーん、ごめんなさーいぃ」



陽の光と水飛沫の中でじゃれあう蛮と銀次に、公園の鳩たちがくるりと小首を傾けて、あきれたようにそれを見ていた。
銀次の金色の髪が、よりいっそう、きらきらと輝いて見えた。






END

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


銀ちゃんて、あまり涙を見せないと書いたけど、よく考えたらそうでもないような。
無限城では、かなり手ひどく(精神的に)痛めつけられたので、涙をたくさん見せてましたし。
普段は、タレ銀の時に、蛮ちゃんにイジメられてよく泣いてますよねー。
泣き虫銀ちゃん、可愛いv
でも、ヒトのために泣くことはあっても、本当に自分がつらい時とかは、自分のためには泣かない気がする。
そんな銀ちゃんが、蛮ちゃんと二人の時だけは、気を抜いて涙を流すってのが理想ですねv



2002年11月26日(火)
ららばい

無限城の「“IL”奪還」の仕事が終わってから、数日がたった。
外の世界に出て、銀次は心から安堵していた。
けだるい疲労感が身体に残ってはいたものの、そしてそれは数日がたった今でもとれることはなかったが、それでも街はそんな裏の世界のことなどに干渉されることはなく普段と同じで、雑踏も、車の渋滞も、自分たちが無限城に赴く以前と何一つ変わってはいなかった。
ホンキートンクでは波児と夏美が笑顔で迎えてくれたし、挽きたてのコーヒーは心の疲れさえとってくれそうだった。

だが。

銀次の中に起こった星の爆発のような力の放出は、無限城の中では何ら自身への影響がなかったにも関わらず、外の世界に一歩出るなり、確実にその心身を蝕んでいたのだということを身をもって銀次に教えた。
特に、幼い頃のトラウマの中から、えぐり出すようにして「雷帝」の封印を解かれた心は、鋭いメスで斬りつけられたかのように、どくどくと血を流しては痛んだ。
それでも、蛮がそばにいたから、銀次はその痛みのほとんどを自覚しないまま、ごく自然に笑っていられたし、多少の疲れなど吹き飛ばせるほど、また強くもいられた。
今までと変わりのない日常に身をおいて、眩しいほど幸福だった。

しかし。
夢の中までは、そうはいかなかった・・。
気を抜いて、眠りに落ちると、とたんに悪夢に引き込まれる。
しかも、見る悪夢は夜な夜な同じだ。

薄暗い部屋の片隅に、幼い自分が膝を抱え、恐怖に全身をがたがた震えさせている。
おぼろげな記憶。
だが、その時の底のない恐怖心は、いつまでたっても忘れることができない。
多量の血のにおいと、たちこめる死の気配。
いくら幼くても、自分のいるすぐその近くで殺戮が行われていることは、想像がついた。
肉の裂ける音、血飛沫。
断末魔の叫びが、コンクリートの壁と床を伝ってくる。
こわい・・・・・。
だれか、助けて・・・・。
声が、出ない。
こわいよ・・・・。
誰か、ここから救い出して・・・。
どうして、こんなところに置いていかれたのだろう。
捨てて行くなら、もっと別の場所もあっただろうに。
自分を置きざりにした者は、捨てた証拠を残さぬように、自分がここで切り刻まれて、ただの肉片になることを望んだのだろうか・・・。
そんな、酷い。
ひどすぎるよ・・・。
誰かの足音が近づいてくる。
薄暗い扉の向こうに、気配が近づく。
全身から、嫌な汗が吹き出る。
震えが尚いっそう、ひどくなる。
たすけて・・・。
来ないで・・・。
オレを、見つけないで・・・。
足音が扉の前で止まる。
びく!と全身が粟立つ。
ギィイィィ・・・・・と錆びた扉が開かれ、人影が近づいてきた。
いや、だ。
怖い・・・。
死にたくない、殺されたくない・・!
闇の中から手が伸びてくる。
銀次めがけて。
身の毛がよだつ寒い気配がぞわあ・・・・と背中を駆け上がってくる。
いやだあああぁぁぁああ・・・・・・・・・・・!!! 
助けて、助けて、助けて、助けて、誰か助けてええぇぇぇっ・・・・・・!!


「銀次! 銀次・・・!!」
揺り起こされて、ばっ!と勢いよく身を起こした。
「おわ!」
その途端に、勢い余ってゴン!とフロントガラスで額を打って、またシートに撃沈する。
「いてー!」
「何やってんだ、テメー」
「あ、蛮ちゃん」
「何が”あ、蛮ちゃん”だ。安眠妨害だぜ、ったく」
「ふえ〜・・・ ごめん・・」
「おら、汗ふきな」
投げ渡されたタオルを受け取って、やっと自分が全身汗だくになっていることに気がついた。
前髪を上げて、額を拭う。
背中を伝う冷たい汗に、ぞくり・・と悪寒が走った。
「大丈夫か?」
めずらしくやさしい声で聞いてくれる蛮に、銀次がにっこりと笑う。
「うん!」
「・・そっか。じゃ、ちっと待ってな」
「うん?」
言い残して、こちらの返事も聞かずに車を降りて、バタン!とドアを閉めて言ってしまった蛮に、銀次がきょとんとした顔でそれを見送る。
どこに行ったんだろう。
煙草が切れたのかな?
それとも、トイレかな? 
行き先を告げずに、ふらりと車を降りてどこかに行ってしまうことはしょっちゅうあることなので、さして気にはならないが、今は深夜で、しかもこんな悪夢のあとだから、できるだけ一人になりたくなんかないんだけど・・・。
思ってはみるが、仕方がない。
銀次は、ふうっとため息をつくと、シートの上で膝を抱えるようにして、カーラジオに表示されている時間を見た。
午前1時10分・・・。
眠ってから、まだ2時間半くらいなのに、もう今夜だけでうなされて起きるのは2度目だ。
(そっか、蛮ちゃん・・。オレの横じゃ、うるさくって眠れないからホンキートンクにでも泊めてもらいにいったのかも・・? ここからだったら、わりと近いもんねー・・)
考えて、ちょっと淋しくなる。
でも、やっぱり仕方ない。
やっぱり、オレが悪いんだもん・・。

 『そうさ、お前が殺したんだよ。 お前のせいでみんな死んだんだ。 お前が皆を見殺しにしたんだ―!』

バーチャルとはいえ、あまりにリアルな鮮明な映像が意識の奥に入り込んで、あたかも本当にあったことのように銀次の罪を責め立てる。
ベルトラインの連中ではなく、自分のこの手で、シュウやリューレンを殺したのだと責められる夢。
それなのに、おまえ一人、ここを出て楽になって、と。
それと、幼い頃の天子峰に拾われた時の記憶とがセットになって、交互に夢に現れるのだ。
(ハードだなあ・・・ せめて、一晩一回で、どっちかだけになんないのかなー・・)
思ってはみるが、自分の見る夢だ。
誰にも文句のつけようがない。
強いて言えば、マクベス。
ちょっとホントにアレ、ハードだって。
オレの雷帝化の封印を解く、さすがな作戦だけど、あとあとキツイよ・・・。
まあ、本当のこともあるから、仕方ないんだけどね・・。
夜の街を、通りの向こうに消えていった蛮の右肩の白い包帯が、その闇の中にぽっかりと浮かび上がって思い出される。
あれだって、オレの・・。
蛮ちゃんは、邪眼使ったっていうカモフラージュに使えたんだから、別に気にするこたぁねえさと言ってくれた。
そんかわし、大概痛い目させられたんだから、テメーも同じ目にあわせてやらあ!とさんざんグリグリされたり、げしげし足蹴にされたりしてイジメられたけど。
それが蛮ちゃんのヤサシサだってことは、オレ、ちゃんとわかってる。
だから、オレのためにゴメン・・・って思う代わりに、きっと必ず、蛮ちゃんがピンチの時にはオレも身体をはって蛮ちゃんを助けるんだって、そう決めてるから。
それはいーんだ。
負い目とかそういうの、きっと蛮ちゃんは嫌いだろうし。
オレもよくないと思うから。
でも、この悪夢ばかりは・・・。
あれやこれやと考えているうちに、頭がぼうっとしてきて軽い睡魔に襲われる。
もう4日ぐらい、まともに眠っていないのだから当然だ。
でも、眠りたくはない。
また底なしの悪夢に引き込まれる。
そう思い、迂闊に眠ってしまわないように、項垂れたままでぶるっと首を横に振った。
いつまで続くんだろう、こんなことが・・・。
少し重い気持ちで考えかけた途端、バタン!とドアの閉まる音がして、はっと運転席を見た。
「・・蛮ちゃん」
「おう」
一瞬だけ、意識がとんでいたらしい。
隣に戻ってきてくれた蛮に、銀次が心からほっとしたような笑みを浮かべる。
「おら」
「んあ?」
差し出されたコップを受け取り、なに?と問いかける間もなく、そこに蛮の持っていたステンレス製の水筒から、なみなみとあたたかな液体が注がれた。
「飲んどけ」
「って、蛮ちゃん?」
「ホットミルクだ。感謝しろよ、波児たたき起こして作らせたんだからよ」
「うん・・・。で、なんで蛮ちゃんはビールなの?」
「ノドかわいたんだよ」
「オレだけミルク?」
「そ!」
「ふーん」
「んだよ!」
「オレもビール、飲みたいなーと思って・・」
「ガキはミルクでいいんだよ!」
「でも、オレ、蛮ちゃんと同じトシ・・・」
「うっせーな! 不眠症のガキには、あっためたミルクがいいんだってよ!」
「え?」
そこまで言われてやっと気づいた。
そっか、眠れないオレのために、わざわざミルク・・・。
不眠症には、ぬるめのホットミルクがいいとかなんとか、前にラジオかなんかで聞いたような気がする。
隣で派手に缶ビールを煽っている蛮を横目に、プラスチックのカップに注がれたそれに、ゆっくりと口をつける。
ノドを通ってくるそれは、冷たい身体に染みわたるようなあたたかさがあった。
「あったかいや・・・」
ほっとしたような顔をする銀次に、蛮がいつになくやさしい笑みで静かに聞く。
「・・・眠れそうか?」
「うん・・・」
「あんま、急いで飲むな」
「うん」
コク・・・とゆっくり飲んで、それからそのカップを見つめたまま、銀次が言う。
「オレさー、蛮ちゃん」
「あ?」
「いろいろつらかったけど、今度の仕事で無限城にいけたこと、よかったって思ってるんだ・・。なんもかも放り出して逃げて出てきたみたいなとこがあったし、そんなキモチが胸の奥でくすぶってたから。でも、そういうのも、ふっきれたし。・・・・ありがと、蛮ちゃん」
「なんだよ! オレは別に何もしてねーぞ! 第一、450万は・・・・! あー、今思い出してもムナクソ悪りぃぜ、あのクソ屍のヤロー! 今度あったら、この美堂蛮さまがギッタンギッタンに・・・!」
「わー、だから、蛮ちゃん! ソレだけはやめた方がいいってば!」
「なんだと! テメー、オレがあんなヤローに負けるとでも・・・」
「わわ、そうじゃなくて、いだだだだ・・・・!! わーん、ミルクこぼれちゃうよ〜」

気がつけば、時計は大きく2時を回り、さすがに眠気に勝てなくなってきた銀次は、目を擦りながら、ふああ・・とあくびと伸びをした。
「眠ぅ・・・」
「いーから、もう寝ろ」
「うん」
シートを倒して身を預けながら、微かに不安げな表情を見せる銀次に、蛮は指先で軽くその鼻先をはじくと、驚いて瞳を見開く銀次に包み込むような瞳を向けて言った。
「悪い魔法使いはもう来ねえから、安心して眠んな」
「うん・・」
ん? 悪い魔法使いって?
と、思いながら、ゆっくりと目を閉じる。
そういや蛮ちゃんって、魔法使いの血筋なんだよなあ。
あ、魔法使いじゃなくて、魔女だっけ?
魔法使いと魔女ってどうちがうんだろう・・・。
今度きいてみよう。
あ、でももしかしてまた、ゲンコが飛んでくるか・・・・・も・・・・。
考えの途中で、意識が深みに落ちていく。

ああ、また悪夢が始まるのか・・・・。



薄暗い部屋の片隅に、幼い自分が膝を抱え、恐怖に全身をがたがた震えさせている。

あ、またコッチのユメ・・・。今日は2回目じゃないのかなあ。一回でも充分なのに・・。

多量の血のにおいと、たちこめる死の気配。
肉の裂ける音、血飛沫。
断末魔の叫びが、コンクリートの壁と床を伝ってくる。
こわい・・・・・。
だれか、助けて・・・・。
声が、出ない。
こわいよ・・・・。
誰か、ここから救い出して・・・。

誰かの足音が近づいてくる。
薄暗い扉の向こうに、気配が近づく。
全身から、嫌な汗が吹き出る。
震えが尚いっそう、ひどくなる。
たすけて・・・。
来ないで・・・。
オレを、見つけないで・・・。
足音が扉の前で止まる。
びく!と全身が粟立つ。
ギィイィィ・・・・・と錆びた扉が開かれ、人影が近づく。
いや、だ。
怖い・・・。
死にたくない、殺されたくない・・!
闇の中から手が伸びてくる。
銀次めがけて。
身の毛がよだつ寒い気配がぞわあ・・・・と背中を駆け上がってくる。
いやだあああぁぁぁああ・・・・・・・・・・・!!! 
助けて、助けて、助けて、助けて、誰か助けてええぇぇぇっ・・・・・・!!

「おい、ボーズ」
目の前に来た人影に、ぎゅっと目を閉じ、全身を強張らせる。
頭の上にポンと手を置かれ、”ひぃぃ・・!”と泣き声のような叫びを上げた。
あれ・・・・。
でも、この手は・・・?
「・・・・え?」
恐る恐る、手の主を見上げる。
天子峰じゃない・・?
「ボーズ、名前は?」
「ぎんじ・・・・・ あまの、ぎんじ・・」
「ふーん・・。トシは?」
「わか・・・・わかんない・・・」
「そっか・・」
ぶるぶる震えたまま見上げていると、その声の主が言う。
「ついてきな」
誰だろう。
顔が逆光になっていて、よく見えない。
けれど、何だかとても懐かしいような。
ついてこいと言われて立とうとしたけれど、足に力が入らず、腰が抜けたようになっていて動くことさえままならない。
泣き出しそうな瞳で見上げていると、男は、しゃあねえなあ・・と笑うと、銀次をひょいと腕に抱きかかえた。
「あ、あの・・」
「いいモン見せてやっからよ」
言われて、抱き上げられたまま、とにかくぎゅっとその首にしがみつくと、「おまえ、結構怖がりだよなー」と男が低く笑う。
わけがわからないままエレベーターに乗せられて、気がついたらひどく高いところに来ていた。
街が360度に一望できる、高さ。
「ここ・・?」
「無限城の、一番でっかいビルの屋上」
「うわ・・・」
「怖くねーか」
「うん」
風が強い。
しがみついていないと、吹き飛ばされそうだ。
それでもオトコの首に抱きついたまま、その腕の中から街の遠くまでを見る。
高く聳え立つビルが、幾つも見えた。
その遠く向こうは、もやに白く霞んで、果てがないかのようだ。
あの向こうには何があるんだろう。
ビルの谷間に、沈んでいく夕日が赤く、自分のまだ幼い輪郭と男の凛々しい横顔を染めていく。
静かに男が言った。
「外にゃ、こんなに広い世界がある。おまえが望む限り、どこまででも行けるんだ。そのことを、忘れるな。ボーズ」
「うん・・!」
男の言葉に、強く頷く。
そして、泣きはらした赤い目に、それでも強い光を宿して夕陽を見つめた。
こんなにきれいな夕陽ってあるんだ・・・。
今までずっと知らなかった。
ビルも、家も、ヒトも、車も、みんな小さくて、それに比べて太陽ってこんなに大きかったんだ・・。
思いながら、ふと大事なことに気がついて、少しもじもじして男に尋ねた。
「あの・・。おにいちゃん・・・・。だれ?」
銀次の言葉に、男が笑って言った。
「オレか? オレの名前は、美堂、蛮」
「ばん?」
「そ! よーく覚えときな。銀次」
「うん!」
「あ、そーだ。ボーズがでっかくなったら迎えにきてやっからよー。オレと「奪還屋」やんねーか?」
「ダッカンヤ? うん! やる!」
「よーし、いい子だ。んじゃ、そんかわり、それまでちゃんと生きてろよ」
「うん!」
「しっかり生きて、待ってるんだぜ。いいな?!」
「うん、わかった、約束だよ・・!」
「ああ。約束だ」




「おいおい・・・。ジャスト1分はとうに過ぎたぜ? いつまで勝手にユメの続き見てやがんだぁ?」
蛮が、すやすやと眠る銀次を、ハンドルに頬杖を突きつつ笑って見下ろした。
むにゃむにゃと寝言をいう銀次の口元は、幸せそうに微笑んでいる。
さっきの眠りの時のような、苦しげなつらそうな表情はどこにもない。
「・・・・うん・・・・・・・・・オレ・・・・ ダッカンヤ・・・・・なる・・・・」
「ちぇ、あっさり刷り込みされてんじゃねーや。バーカ・・」
蛮は笑ってそういうと、コツンと軽く銀次の頭をこづいて、自分もシートを倒して横になった。
これできっと、銀次の悪夢も終わるだろう。
ゆっくり眠れ、銀次。
気持ちよさそうな寝息を隣に聞きながら、蛮も久しぶりにぐっすり眠れそうだ、と目をつぶった。

「・・・・ばん・・・ちゃ・・・ん・・・」



いいユメ、見れたかよ・・・? な、銀次・・?




END


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

何気に無限城のお話もナゾが多かったですが。
一番の気がかりは、天子峰って何者?っていうことと、蛮ちゃんの台詞・・。
「どっかで自分から封印といただろうが! そうすっと簡単に雷帝モードになっちまうとあんだけいっといたろうが!」と銀ちゃんに言ってたのですが、いったいソレはいつのまに???
読者を無視して、二人でこっそりそんなハナシをしてたのか・・!
これは封印したのも蛮ちゃんだということなのでしょうか?
とりあえず、雷帝になるには蛮ちゃんの許可がいるようです(笑) 
このIL奪還以降の話で銀ちゃんがバンダナをするようになったのは、アレはもしや雷帝の封印のしるしなのでしょうか?

とかなんとか考えつつ、無限城後のお話を書いてみました。
蛮ちゃんとチビ銀・・。かなりツボv



2002年11月22日(金)
キスで殺して

「よお、帰ったぜ・・・」
ボロボロになりつつも、どうにかこうにか解毒剤を手に入れて、何とか銀次のところに戻った蛮は、心の底からホッとしていた。
そこに銀次が、自分が置いていった時のままに横たわっていたことに。
自分のいない間に拉致られてるか、悪くいけば敵の手にかかって・・ということも有り得ただけに、手出しされずにすんだことはヤツらに感謝すべきだろう。
(何と言っても、無敵を誇る美堂蛮さまの、唯一のアキレスの踵だかんな・・・ このヤローは)
もちろんその代わりに、自分自身でも気づかなかったほどの、桁外れのパワーをくれることもあるのだが。
「・・・ば・・・・・んちゃ・・・ん・・・・・・・・ばん・・・ちゃ・・・・・・」
高熱にうなされながら、それでも苦しい息の下で、自分の名だけをただひたすら呼び続ける銀次が、言葉で言い尽くせないくらいに愛おしい。
その傍らに腰を下ろして、片膝をたてて、そこに銀次の身体を抱き起こす。
「ば・・んちゃ・・・・」
はぁはぁと苦しそうに息をつぎながらも、銀次は朦朧とした意識のまま手をのばし、ぎゅっと蛮のシャツの胸にしがみついた。
一人残されて、ここで一人で死ぬのかとちょっと心細かったけど、でもちゃんと信じてたよ、オレ、蛮ちゃんのコト・・。
そう言いたげに歪む銀次の顔を見つめ、蛮は口でカリ・・と解毒剤の瓶の蓋を開けた。
注意深く、瓶に鼻を近づけてみるが、特に害のあるような臭いはない。
だが・・・。
それでも、これが本当に解毒剤という保証はないのだ。
あの男は、信じてもらうしかないと言ったが、間違いない、保証するとは一言も言っていない。
もし、こっちのがさらに猛毒だったら・・・?
飲んだ瞬間に、血を吐いて、悶え苦しんで、あっという間にあの世行き。
瓶を日にかざして睨みつけ、蛮が思う。
いや。迷っている時間はない、ブラッドがいつ追いついてくるかわからない。
急がなくては。
えーい、ままよ。
いちかばちか。
銀次と一緒にジゴクに落ちる。
ま、それもいいやな・・。
フッと笑みを浮かべて、蛮がくい!と瓶に口をつけ、一気にそれを口に含む。
別に舌の痺れるような感覚もない。
イケるか?
(今、ラクにしてやっかんな・・・)
思いつつ、銀次の頭の後ろを支えながら、ゆっくりと唇を近づける。
まさか、こんな形で、ふれる機会がくるとは・・・な。
毒蜂君に、ちっとだけ、感謝状でもくれてやりてえ気分だぜ。
唇が微かに触れ合った瞬間、銀次の瞼が小さく震えた。
熱い、唇。
熱のせいとはいえ、その熱さは、あまりにリアルに自分の唇に銀次の唇の感触を伝えてくる。
眩暈のしそうな。
恋い焦がれた唇。
そっと合わせて舌を差し入れて、少し開かせたそこに薬を流し込む。
これが、もし猛毒なら、まさに無理心中だぜ・・・。
まごうことなき、死の接吻。
それにしては、あまりに甘美な。
神聖な儀式のような。
でもこれは「あの」儀式とはまるで違う。
ありゃあ、何の感情も入らねえ、正真正銘のただの儀式だったんだからよ。
だが、これはちがう。
同じ人助けでも。
どっちかっていやあ、人命救助を隠れ蓑に、単に銀次にキスできる恰好の口実が出来たに過ぎない。
その証拠に・・。
オレはいつまで、コイツの唇をむさぼってる気だってーの!
自分で、夢中で銀次に口づけている自分に気づいて、苦笑しながら唇を離す。
ちくしょう、まだ名残惜しい。
くそ、せめて邪眼のタイムオーバーまでもう少し時間がありゃあ。
ったく、往生際が悪いぜ、美堂蛮。
フッと笑いを漏らして、瓶にまだ少し残っていた薬も全部飲み干す。
「これで、この瓶の中身が毒だったとしても、おあいこだぜ、銀次。死ぬ時ゃあ、一緒だかんな」
呟いて、銀次の身体を支えて立ち上がり、その身体を背中に担ぎ上げる。
「だー、重え・・・。ったく、たいして食ってねえくせに、てめ、この、太りすぎなんだよ・・!」
よっこらしょとおぶさって、スバル目指して歩き出す。
バトルの後で体中が軋むが、背中にかかる銀次の重さは心地良い。
とにもかくにも助けてやれたことに、本気でほっとしている。
そんな自分に、つい自嘲の笑みが漏れてしまう。
こんなに誰かのことで、心配したりほっとしたり、忙しく感情を揺さぶられるなどということは、銀次と出会う前の自分なら考えもできないことだ。
そんな蛮の背中で、まだ荒い息をしている銀次が掠れた声で呼んだ。
「・・・蛮・・・ちゃ・・・あん・・・」
「あ? どした? 苦しいか?」
「ん・・・・。さっきよりはマシ・・・・かも」
「そっか」
「・・・・なぁんか、ユメ見てたよー」
「どうせ、何か食ってるユメだろが?」
「やだなあ、ちがうって・・・。蛮ちゃんと、ねー。へへ」
「んだよ、気持ち悪ぃ」
「いいや・・・。どうせ怒るし」
「怒んねーから、言ってみな」
「怒んない・・・?」
「ああ」
「蛮ちゃんとねー、キスするユメ・・・・・」
ゴキ!
「いたぁいー! ひどいよ蛮ちゃん! 怒んないって言ったじゃないかー、もお。オレ、病人なのにー」
「そんだけ、よけいなことぺらぺらしゃべれりゃー上等だ! 病人だと思ったら、ちったあ大人しくしてろ!」
「はーい・・」
怒鳴られて、銀次が蛮の肩の上に顎をのっけて、目を閉じる。
まだ本当は、話をするどころか息をするのもつらいのだが、蛮の帰りを待つ間は本当に心細くてたまらなかったから、こうしてくっついていられるだけで嬉しくて、まだ意識も朦朧としているのに、ついぺらぺらとしゃべってしまった。
(蛮ちゃんの背中、あったかいや・・・・)
安心して、また意識がどんどん遠ざかっていく。
おぶってもらって話すことなんて、そうそうないだろうに。
ずっとこうしてて欲しいなあ・・。
寝ちゃうなんて、もったいないなあ・・・・。
そう思いながらも、蛮の飲ませた解毒剤が効いてきたのか、銀次は少しだけ呼吸をラクにして、すー・・っとまた眠りの中に落ちていった。





「んあ・・ ここは・・・・?」
「車ん中」
「おわ!? 蛮ちゃん、どーしたの、その傷!!」
「カスリ傷だよ、こんなモン。それよか、体はどーよ?」
「ん・・・・・ なんか息がラクになったみたい」
「そっか・・・」
「毒蜂の野郎、見かけによらず律儀な男みてぇだな。ま、どのみち、保険はかけといたんだが・・」
「そっか・・・ 蛮ちゃん、オレのために戦ってくれたんだね」
「・・・・・・んな大げさなモンじゃねーよ」
「・・・・・・そっか―― オレ― また蛮ちゃんに助けられたんだね――」
「なーに、いっちょ前に落ち込んでんだよ」
「んあ」
ゴン!と殴られてシートに沈んだ銀次は”いったいなー、もう”と言いながら身を起こしかけ、何かを思い出したようにふいにその動きを止めた。
「・・んだよ」
「あ・・・」
「どうかしたか?」
「えと、別に・・」
殴られた頭を手で押さえながら、倒されたままのシートにそのまま身体を預け、蛮を見上げる。
ちょっとためらいがちに、銀次が尋ねた。
「ねー、蛮ちゃん」
「あ?」
「なんかさ、毒蜂さんから薬みたいの、もらってきた?」
「もらってきたつーか、かっぱらってきたっつーか・・・」
「オレ、それ飲んだ?」
「ああ。んで、ラクになってきたんだろ?」
そうなんだ、とひとまず納得して、それからもう一度考え直し、また銀次が口を開く。
「・・・・・・ねー。蛮ちゃん?」
「ああ?!」
「あ、ソレ飲む時さ、蛮ちゃんさー。もしかして、オレにキ・・・・」
「あ〜!! そいから、マリンレッドも無事奪い返したからな! いや、オレさまの邪眼でばっちりよ!! こんでオレらも車生活とおさらばして、ロフト付きマンションに住めるぜ!!」
「ねー、もしかして、キス、とかしなかった?」
「いや、ロフト付きなんてケチなこと言ってねえで、いっそオートロックのマンションにだなあ!」
「ねー。蛮ちゃあん」
「うっせえな! ヒトがいい気分に浸ってんのによ!」
「ねー、してない??」
「してねえよ! バカじゃねーのか、テメエ! ヤロー相手にそんなことすっか!」
「だって、雨流にはさあ」
「あれは儀式だっての! 人命救助っつーんだ、人命救助!」
「でも、オレだって人命救助・・・」
「テメーのは、ただの蜂さされだろーが!」
「そうだけど・・・。ねー、ほんとにほんとにオレにキスしなかった??」
「してねえっつーんだよ、しつけえんだ、テメーはよ!!」
「・・・・・・そうかなあ・・・」
言いながらシートを起こして座り直して、その上で膝を抱える銀次に、蛮はまだ吸い終わっていない煙草を灰皿で揉み消すと、また新しい煙草に火を点けた。
煙草をくわえる蛮の口元をちらっと横目で見ながら、自分の唇にそっと指を置いてみる。
蛮はあんな風に言うけれど、唇に、妙に確かに感触が残っている。
誰かの、唇の。
だいたい蛮が、本当に解毒剤かどうかアヤシイ確証のないものを、他人にほいほいと飲ませるとは思い難い。
とすると、一応自分で毒味でもして、それから、そのまま口移しで・・・・。
想像するなり、かああっと顔が熱くなる。
まさか、そんなこと、やっぱ、ないか。
うん、ないよ。
そんなこと、してくれるはずがない。
ないない、やめやめ! 
考えるなオレ! 
やばい、うわー。
なんか、また熱が出そうだ。
顔が熱い。
「おい」
「んあ?」
「顔、赤けぇぞ」
「あ、そ、そう?」
「車、イカれててスピード出ねえし、当分依頼人とこにゃつかねーから。おまえ、熱あんだから、もーちょい寝てな」
「・・・・うん」
蛮に言われ、銀次は頷くと、大人しく目を閉じた。
身体の熱はもう大分ひいてきたのに、これじゃあ、またぶりかえしだ。
頭ん中と顔が熱い。いざって時に役に立たなくて、また蛮ちゃんの足ひっぱったら嫌だし、今のうちに寝とこー。
うん、そうしよう。
そう思い、 もう一度シートを倒す。
自分でもあきれるくらい、瞬く間に眠りに誘われていきながら、銀次は思っていた。
蛮ちゃんは自分を助けるために、ただそのためだけに戦ってくれたんだ・・。
それだけで、もう充分だよね。
そのおかげで、今ここにいるオレがあんだから。
「・・・・・・・蛮ちゃん・・・・・・あんがと・・・・・・」
夢見心地で、銀次が呟く。
蛮はハンドルを握りながら、その言葉にちらっと隣のシートを見、幸せそうな顔で眠る銀次に、包み込むようなやさしい瞳をして、その口元に笑みを浮かべた。








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マガジン50号の、例の薬はどーやって飲ましたのか!?の話がどうしてもどうしても気になって、つい書いてしまいました。
きっと皆さん書きつくされてるんでは?と思いつつ。(イメージ崩れたらゴメンナサイ)
後半の「んあ・・ここは・・?」から「なーにいっちょまえに落ち込んでんだよ」の後の「んあ」までは、実際にマガジンにあった部分からの抜粋です・・。
なんかこうやって台詞だけ書き出すと、すごいね!
同人SSの中においても、どこが原作かわからないくらいのラブっぷりです・・・!
蛮ちゃんは本当に銀ちゃんに甘い!
そして、今後の名誉挽回の銀ちゃんの暴走に、つい期待をかけてしまう私なのでした。