日記帳




2007年10月27日(土) 蛙の鳴く音も、鐘の音も

「朧月夜」は名曲です。今は季節外れなのですが、ついつい口ずさんでいます。
やっと(比較的)真面目に日記を書くようになったと思ったら、またフェードアウト気味に日が空いてしまいました。
その間の私は、おおまかに言えば、

・風邪? 花粉症?
・健康診断
・ご結婚おめでとうございます!
・続・健康診断
・キャラメルコーン!

という風に過ごしておりました。
平穏無事が身上なのですが、今週は心もち波風立った一週間でした。
そして、明日は五時起きでお山に登って来ます。早く寝なければなりません。
ようやく乗り気になって書き始めたものも、上記の「おおまか」に追記したいこともあるのですが、とりあえずは帰宅後に、ということで。

今週のどこかで、日記に載せようと思って書いたものの、ちょっとこれはいかんだろうとうっちゃっておいた文章を掘り起こしてしまったので、出かける前のお茶濁しに、置いておきます。
それでは、行って参ります! 月曜日に帰ってきます。


***


靴の中で足裏が外側へ滑るので、おっかしいなと靴の底を確かめてみたら、両足とも踵がいびつに磨り減っていました。もともとが、自分の足に躓くくらいの内股なので、あの靴もこの靴も底の外側が減っています。
思い返せば、5月の神戸を山側から海側まで歩き倒した旅行の時に履いていたのが、この靴でした。ならばこの消耗っぷりも、無理はない。そろそろ寿命なのかもしれません。

創作脳の活性化を図る過程の副産物で、言語脳が知覚過敏になっている模様です。なんでもない言葉に、雷にでも打たれたかのように反応しています。それも、「なにかやくにたちそう」では全くないものに。
例えば、「歩車分離」だとか「内輪差」だとか「車線変更」だとか、車の運転もしない癖にどうして気になってしまうのか。「ハイドロプレーニング現象」なんて、長い半紙に筆で書いたら見映えがするんじゃないの……?

……困ったものです……!(万感の思いを込めて)


2007年10月20日(土) 茨の道を進め

太り始めた三日月は、誰かの横顔に見えます。笑みを浮かべて垂れた目、むくっとした鼻、少し尖らせた唇、と細部まで妙にリアルに見える(ような気がする)ので、どこからの連想だろうかとずるずる芋蔓を手繰っていたら、自室に戻った時に謎が解けました。今年のカレンダーは、表情豊かな三日月と各月の星座をあしらった図柄です。残り二枚であるところが切ないです。

旧作の虫干しばかりでは、いい加減に良心が咎めるので、ただいま騙し騙し新しい話の加筆と整形に立ち向かっています。正に「立ち向かう」心境。
己の文章を書けたところまで読み返しては、「……ふがー!」と奇声を(心の内で)上げる有様ですが、辛うじて完成できそうな兆しが見えてきました。こんなにも私の文章は荒かったのか……と心の涙を流しつつ、けれども今は「仕上げる」ことを優先します。

秋の日は夕日だけでなく気温も釣瓶落としで、冬用毛布を引っ張り出してきてもまだ寒く、今からこんなでは真冬はどうするの、と一抹の危機感を抱いています。今いちばんの憧れは、腹巻きです。


2007年10月17日(水) 見立て色々

朝、徒競走で鳴らすスタートのピストルの煙に似た雲を見ました。もう運動会の季節も終盤でしょうか。子どもの頃から運動会はきらいだったので、別に寂しくはありません。
昨日の朝は、空一面におぼろ豆腐のような雲が広がっていて、あれをすくっておしょうゆをかけたら良さそうだなあと夢想していました。
こういう時に、ささっと写真が撮れたらいいのに、と思います。夏前に買った携帯電話のカメラ機能は、未だにうまく使いこなせません。ズームはどこ? 接写はどうする? とあわあわしている内に、いつも被写体が逃げてしまいます(例:石畳の上で毛づくろいをしていた黒猫)。

仕事中、面白い形のクリップが、書類に留められて送られてきました。
小さな鋏の持ち手のような、知恵の輪のような。
そもそもこれはクリップなのか、と問い直してみたくなるような形でもあります。
それが何かは分からないけれども、ともかく何か別の使命を帯びてこの世に生まれ出てきたんじゃないのか、君は?
筆箱に忍ばせて持ち歩き、退屈した時にこそっと眺めたり引っ張ったり紙を挟んだりしています。奇抜な形の分、使い勝手はいまいちです。

昨日、日記に書こうと思っていて忘れていたことをひとつ。
帰りに乗ったバスの運転手さんが、やたらにスピード感溢れる運転でした。発車するまでは、「間もなく発車します。お急ぎ下さい」のアナウンスもどこ吹く風で、のたりのたり歩いていた乗客(私含む)を太っ腹に待っていてくれたというのに、ねえ。あ、今思ったんですが、もしかしてのたりのたりしていた分を取り返すためだったんでしょうか。
もちろん交通ルールは遵守しつつも、カーブを曲がったりブレーキをかけたりする度に前後左右ゆさゆさ揺られるほど、「オラオラオラ!」と言わんばかりのスピードでしたが、おかげでいつもより遅く出たにも関わらず普段通りの電車に間に合いました。結果オーライ。 


2007年10月16日(火) アーモンドチョコレートを巡る愛憎

チョコレートの消費量が増えています。
新商品のCMを見ていて、あれいいなあ美味しそうだなあと呟いたところ、「アーモンドチョコレートは嫌いじゃなかったの?」と家族に驚かれました。
いえ、それは半分誤解でして、確かに私はあまりアーモンドチョコレートを(というかチョコレートそのものも、あまり)食べませんが、それは嫌いだからではなく、小さい頃鼻が弱くてしょっちゅう鼻血ばかり出していた頃の名残なのです。だって「チョコレート」も「アーモンド」も食べ過ぎると鼻血が出るよ、と脅されたお馴染みのもの、そのふたつがタッグを組んだ「アーモンドチョコレート」なんて絶対ダメに決まってるじゃないか、という思い込みがあってですね……ということを説明したのですが、納得されたかどうかは微妙なところです。
それでも数日後には件のチョコレートが我が家に置いてありました。
今、少しずつ賞味しています。

ちょっと好みだなあと思う文章に出会うと、どこが好きなのか理由を意識する前に、まず影響を受けてしまいます。
それだけ私の文体というものは不定形で流されやすくていい加減、ということになるのかもしれません。
でも、「これ!」と安定しきってしまうのもつまらない。
反省と反論を繰り返しつつ、宿屋の親父さんの一人語りを綴っています。
空気の冷たさに引きずられて、「漬物」が「甘酒」に化けました。


2007年10月14日(日) 記憶のつむじ

新聞の書評欄に載っていた画集の絵が、間違いなくそう遠くない昔に見たはずのものなのに、それがどこで(何で)だったのか思い出せず、うずうずしています。

一見すると、制服姿の女の子の前に道が伸びているごく普通の風景……と思いきや、彼女の二つに分けて結んだ髪の分け目がそのまま前方の道と繋がっている、という不思議な絵なのです。確実に見た、のですが、実物を見たのかテレビの美術番組で紹介されているのを見たのか、それも定かではありません。気になります。こういう時、頭の中の情報にインデックスを作ってぴぴぴっと検索できたなら、と切実に思います。

気になる気になる……と考えつつ斜め上方を見上げてみたら(何かしら思い出せそうで思い出せないものを思い出そうとする時、人はなぜ斜め上方をじっと睨むのでしょう)、勢い余って首の筋を違えました。痛いです。


2007年10月13日(土) 夢三夜

過ごしやすい気候になるにつれて、寝付きも良くなったのか、面白い夢を見なくなって(見ても覚えていなくなって)、少し寂しいのです。
そんな中でも辛うじて記憶に残っているのが、

・買い物に行ったお店で、接客してくれた店員さんが昔の友だちだった(もう十年近くも会っていない彼女。懐かしい。お元気でしょうか? 来年の年賀状は、ちゃんと一日に着くよう書きます)。

・何かのイベントで∞プチプチを配られる。最初は「こんなもの……」と白けた目で見ていたところが、実際に遊び出すと結構はまるものですね(実物は見たことも触ったこともないのに、あの触感は一体どこから再現したものやら。しかし私は、シート状のプチプチをまるめて、雑巾のように絞り上げるのが好きです)。

・昆虫採集に精を出す(最も不可解だったのがこの夢。虫嫌いの私が。そして夢の中でも同じく虫嫌いだったというのに。何故あんな辛い思いをしながら網を振り回さねばならんのか……!)。

この三つでした。他にも、なにかとても怖い夢を見たような、雰囲気だけを覚えています。肝心の内容は綺麗に消去されているのに、「恐ろしげな空気」だけはおぼろげに残っています。


2007年10月11日(木) 飾りじゃないのよ。

本日学んだこと。
(その1)携帯電話のマイデータにアドレス・名前等々を登録しておくと、赤外線通信で簡単に送受信できる。
(その2)宅配のお弁当は、一日350円。
世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあります。

アクセサリーはあまりつけない方だったのが、この前の夏頃から、じゃらじゃらと大ぶりなネックレスに、ついつい目が留まります。
選ぶ基準はまずデザイン、そしてお値段ですが、その他にもうひとつ、「おいしそうであるかどうか」というチェックポイントが含まれているような、いないような。
多分、念頭にあるのは子どもの頃に流行った指輪形のキャンディーだと思います。


2007年10月10日(水) 大切なものは目に見えない

誕生日のお祝いに、ビニールパックの花瓶(正しくは「瓶」ではありませんが、一応は花瓶)を贈った友人から、「花を飾ってみたから見て見て」と写真がメールで送られてきました。うん、これまでのワンカップ大関の空き瓶もなかなかに渋かったけれど、こちらの方が華があって(花だけに)良いと思います、と自画自賛。
バースディカードには、ジグソーパズルになっているものを選んだのですが、あれならば私も欲しいです。

仕事帰りに建物から外に出ると、金木犀の香りがしました。姿は見えずとも艶やかな存在感のある花です。
夕闇に香る金木犀には、えもいわれぬ色気のようなものがあるような気がします。
姿が見えない存在感、ということならば秋の虫たちもそうなのですが、今日はばったり彼らに出くわしました。道路脇の側溝にコオロギが張り付いていたのですが、どう見ても「迷子?」といった風情。無事おうちに帰れると良いですね。

朝夕の気温差が激しいせいか、くしゃみは出るわ咳は出るわ、もしやこれは風邪なのか……? と訝しんでいます。つい先頃「イソジンって凄い」ということを学んだので、ここはひとつ酷くなる前にお世話になろうと思います。


2007年10月09日(火) そして誰もいなくなる

読書録更新情報。

 9月読了分。
 『二百年の子供』 大江健三郎
 『エッシャーに魅せられた男たち』 野地秩嘉

今月からはクリスティー強化月間に突入します。
今年初に立てた読書計画のひとつに、「クリスティー文庫」の全巻とまではいかずともゴールが見えてくる辺りまでの読破、を掲げていたにも関わらず、あっちこっちに目移り寄り道途中下車、を繰り返したせいで、ちっとも進んでおりません。今年度も二ケタに突入してからの巻き返しでは、私の読書速度を鑑みると焼け石に水な感もありつつ、それでもひと踏ん張りしてみます。

しかし全100巻もあると、どこからどう読み進んだら良いのやら、書店で真っ赤な背表紙の帯を前にして優柔不断に迷ってしまうので、一計を案じました。未読の巻番号をくじにして、書店に行く前に抽選するのです。
名付けて、「あみだくじ」ならぬ「アガサくじ」。
……ネーミングセンスの無さが露呈する上、熱心なファンの方から石を投げられそうです。


2007年10月08日(月) あいうえおん

目力アップ、といっても化粧品の宣伝ではありません。
空耳ならぬ空目(?)が多い、というお話。

ある作家の方のお名前を「やすい・せこい」と読み違えたり(誠に! 申し訳ございません! 悪気は無かったのです! 本当に!)、「ぞうり」を「ぞろり」と見間違えたり、己に苦笑というか失笑というか。しかも悪いことに、一度そう見えてしまうとばっちりしっかり刷り込まれてしまう、次からそうとしか見えなくなってしまう、というおまけつきであります。

ぞろり、というのは語感的に非常におそろしいものが想像されますね。なにか引きずっていそうで。何を、という点については、あまり追及しない方が良いと思います。

テレビを見ていたら、無性に姫路城に行きたくなりました。あの圧倒的な存在感を、全貌を目にしようと思うと反っくり返ってひっくり返ってしまいそうな程の威容を、ぜひ間近で見たいのです……! 
しかし基本は出不精なので、ガイドブックで我慢です。


2007年10月07日(日) 亀の甲より勝るもの

事の成り行きで、ン年ぶりにレポート(のようなもの)を書いています。
参考文献を読んで、使えそうな部分をルーズリーフにまとめて……と、ここまでは出来ているので、これから箇条書きのメモを文章に起こそうとしているところです。
かつては、試験時期には「書いてナンボ」と言われたほどレポートに追われる学生時代を過ごしたこともありますので、昔とった杵柄でなんとか……なるといいなあと思います(期待形)。

こういう時には景気付けにBGMでも欲しいもの。かれこれ十年前に購入したアルバムを久々に引っ張り出して、時には口ずさみつつ聞いています。
これを買った時、私はガラスの十代だったわけで、あの頃から思うとずいぶん歌声もメロディーも若々しく、むしろ初々しいほどに聞こえるのが不思議なのですが、そういえばこの当時歌い手の彼は今の私よりも若い……! と余計な感慨までついでに引っ張り出してしまう秋の夜長です。

そして、今日中になんとかなりそうな目処が立ったら、明日はベクトルの向きを変えて創作に迎えたら……と希望しています(儚い期待形)。


2007年10月05日(金) 鉄刀木

【タガヤサン】
マメ科の常緑高木。唐木の一。インド・マレー原産。花は鮮黄色の五弁花で芳香がある。心材は堅牢で黒色、板目の紋様が美しいので、建築・家具・楽器などの用材とされる。名の由来は未詳。「鉄刀木」とも書く。
(『大辞林』より引用)

朝食の際に、箸をばきりと噛み割ってしまい、急遽見つけ出してきたのが「五種類の木の箸セット」でした。その中のひとつ、栗やらツゲやらに混じって、読み方が分からない、という理由で選んだのが、「鉄刀木」の箸。鉄の刀のように硬い、というところからこの漢字が当てられたということなので、私の歯とて文字通り「歯が立たない」ことでしょう。

子どもの頃から、しょっちゅう箸を噛んで折ってしまうので、よくあることですよね……? と同意を求めてみるも、未だ頷いてくれる人には出会っていません。歯が丈夫だから、というよりも、不注意だとかうっかりだとかの賜物。


2007年10月04日(木) つめたいこころ、あたたかなことば

常日頃、仕事でお世話になっている検索サイトのトップページに、週に一回の頻度で心理テストが更新されていて、私は密かに楽しみにしているのですが、本日の診断結果は「バランス感覚が良く絶好調! 意中のあの人を冷静に口説いてみては?」というものでした。

しかし、「誰かを冷静に口説く」という図は、今ひとつぴんと来ません。
想像してみようと試みればみるほど、「情熱」を脇に除けた「口説き」はむしろ「説得」とか「交渉」といったものに近付いていくような気がしてきます。
まあ、冷静であれ情熱的であれ、誰かを熱心に口説かねばならぬようなシチュエーションに出くわす予定も、目下のところありませんが。

今回はいささか意表をつかれましたが、いつもは大抵同じような結果が出て、似たりよったりのアドバイスをされるところを見ると、それなりに信憑性があるんだろうか……? と思わないでもありません。

本は好きですか? ええ好きですよ。……という会話を交わす機会に、このところ何度か恵まれました。こうなると次は、じゃあどんな本が好きですか? と問われることが多いのです。多いのですが、毎度ここで返答に窮してしまう私です。
今日の収穫は、そういえば私はよしもとばなな作品をきちんと読んだことがない、と気付いたことでした。


2007年10月03日(水) 空の片目

「空が目を細めると三日月になるのよ、と彼女は言った。まるで、幼い子どもに教え諭すように。」

という冒頭から、これに続く何か秋らしい話、センチメンタルでメランコリックな話を……と一日考えるでもなく考えていました。
ひととおり結末まで辿りついて振り返ってみれば、「年上の女性に恋い焦がれる若者が、レコード一枚手渡されて失恋する」という、どこでどう間違ったのか……という話が立ち現れていました。
やり直しが必要です。

今日の初物。
今季初めて履いたブーツと、この秋初めて食したしゃぶしゃぶ。
こうして季節は深まっていきます。




2007年10月02日(火) いきものがたり

今朝、電車の窓からぼうっと空を見上げたところ、消え残った白い月が、半分強の姿でぽっかり浮かんでいて、もうあんなに欠けてしまった、と思ったのでした。
今年の中秋の名月は、団子を食べ損ねた代わりに珍しくきっちり月を眺めたのですが、しかし上り始めの月というのは迫力があるものですね。あんな近いところに、と思うほど大きくて、煌々という言葉が良く似合います。私がもし犬だったら、吠えたくなるような月でした。

同じく車窓から川を見下ろしていたら、濃灰色の背の高い鳥が、肩を怒らせて(という言い方もおかしなものなのですが、「翼を広げて」というよりはこっちの方がしっくりくるので)立っていました。水面に映る自分を見て、「私って綺麗?」(もしくは「俺って格好いい?」)などと悦に入っていた……わけでは、よもやないと思うのですが。


2007年10月01日(月) 絵に描いた虎

読書記録9月分。

 『虹の家のアリス』 加納朋子
 『五足の靴』 五人づれ

「五足のくつ」という名前のお宿がどこかにあった気がするのですが、やはりこの本の題名に縁があるのだろうか? と興味をそそられています。

うたた寝をしていたら、「どこか田舎の町に、もと通っていた学校を追われた子どもたちばかりが集まって暮らす寮のような施設があり、彼らに加わって商店の壁に描かれた巨大な虎の絵に金箔と人毛(!)を混ぜたものを貼り付けるという重要イベント(というか一種の神事)に参加する」という夢を見ました。あの虎のシルエットには見覚えがある、と思っていたら、某羊羹で有名な和菓子屋さんのそれに良く似ていたようです。

羊羹はあまり得手ではありませんが、このお店のものに限っては、どっしりした風情といい、その割に控えめな甘さといい、切り分けた時の見蕩れるほど艶やかな断面といい、やはり特別な存在のように思えます。





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