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五十嵐 薫
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頑張ろう東北!
エンピツユニオン

2012年09月14日(金)
914

痛飲の果ての喉の渇きに目覚めたのか。
カーテン越しの朝の光に起こされたのか。
それとも、目を開ける瞬間まで見ていた夢に肩を揺すられたのか。

半分だけ開けた眼をさらに細めキッチンに歩く。
冷蔵庫から掴んだクリスタルガイザーの炭酸が喉に心地好い。
見ていた夢の内容は覚えていない。

うなじを伝わる寝汗を手で拭った。



横須賀ベースに東日本大震災関連の写真展を見に行った。
記帳のため置かれていた大学ノートに期された日付を見て、その日が9月11日だと気付いた。
入場に際しセキュリティチェックらしきものがなかったことを思い出す。
時が経ったということなのだろう。

展示されている写真のキャプションに、昔君と歩いた街の名を見つけた。



出会いがあり、別れがある。
その多くは一期一会だ。
一期一会でなくても、例えば、大学時代の恋人が今頃どこで何をしてるかを僕は知らない。

二度と逢うことがないという意味じゃ、君もそうだ。
メールもしない君のアドレス、次の機種変更で削除しようかと思ってる。



カーテンを開く。
思いのほか雲が低い。
そういえば沖縄に台風が接近してるってウェザーニュースで見た。
台風が過ぎれば残暑も消え、気圧配置も秋めいてくるはずだ。

9月11日に何があったか忘れても、君がこの世からいなくなった日はまだ当分忘れそうにない。


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