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2007年05月06日(日) |
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月光 |
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砂漠で仰ぎ見る月みたいだった。
横横から湾岸線に。 本牧埠頭に佇むクレーン群は、キャラバンからはぐれて途方にくれるラクダの群れのようだ。
都市の輪郭を縁取る光より尚明るい月下を、僕の跨がるバイクは一騎進む。
ベイブリッジ。 風速9メートル。 タンクに身体を伏せ、トラックの影に潜み、風を避けるように走る。
つばさ橋の手前で左に進路をとる。 ガラガラの大黒線を羽田方面に向かう。
左側にはGWに浮かれるみなとみらいの夜景。 右側にはGWでも稼働する臨海工業地帯の灯火。 どちらにしろ。 人の生業は夜をぼんやりと明るく滲ませる。
しかし、何にもまして今夜の月だ。
横浜の夜景を白く明るく照らす月の光は、街の派手なイルミネーションを、あたかもデコレーションケーキに降りかけたパウダーシュガーみたいに、甘く、美しく、優しくぼかす。
君の眠る街まであと200キロ。
すぐ、会いに行くよ。
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