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2006年11月05日(日) |
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ブルーベリータルト |
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一口も口をつけてないブルーベリータルト。 とっくに冷めたダージリン。 灰皿には、吸い口に口紅の跡を残したヴァージニアの吸殻。
西からの日差しがテーブルの上に窓枠の影を映し出す。
何度も同じような場面を繰り返し、 何度も同じようなため息をついた気がする。
結局女は、何も言わないで席を立った。
何か言いかけた。 でも、声にはならなかった。
テーブルに置いた携帯が震える。 女からのメールだ。
30分前に口にできなかった言葉が綴ってあった。
一瞥したメールを削除して携帯を閉じる。 腕を伸ばし女の残したタルトをフォークで突く。
甘くて酸っぱい典型的なブルーベリータルトの味が、なんだか今の気分に相応しい気がした。
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