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2009年08月31日(月)
作文。留守番。








10歳ともなれば、もうすっかり
いやんなっちゃうくらいオトナなので。

ぼくは留守番をすることになったのでした。
それもちょっとやそこらの留守番ではなく
とうさんとかあさん、どちらも出張へいってしまった
一晩中という大留守番であるわけでした。

こころぼそい、なんてないのでした。
こんなチャンスは滅多にきません。
いつもならできない、ぜったい叱られてしまうことを
ありたけやってみることができるのです。

ほら、テーブルに乗っかっちゃって
そのうえ腕をふりまわしてもみたりして
さらにはオブディオブラダを歌ってみて
ほらほら、やっぱり叱られないのでありました。

もちろんテレビはつけっぱなしにしておくのです。
夜中になっても消さないのです。
カルピスは氷だけのオンザロックで。
とうさんのワイシャツとネクタイをひっぱりだして
着てポーズをとってみたりもするのでした。
ベランダで漫画を読みながらごはんを食べたし
チョコのせカップめんは失敗でしたけど。
布団にのって階段を滑りおりてもみました。
でもあぶないので、下の三段目からでした。
思いきって
服を着たままお風呂にはいる、という挑戦も
やるだけやってみたのでした。
かなり気持ちわるかったですけれど。

とちゅうまではおもしろかったけれど
そのあとはだんだんと
なんだかつまらなくなってきちゃって、勿体ない気もしたけれど
いつも通りパジャマを着て歯磨きをして、寝ました。

翌朝にはぜんぶ片付けもして
しょうこいんめつしておいたので
とうさんもかあさんも
気付いた様子もなくって、何も言われませんでした。
でも何も叱られないとそれはそれで
ちょっと心細くもなってくるのです。

先生。
大人って子どものこと
なんでも分かるって、ホントですか?













2009年08月24日(月)
擦れる








寝転ぶと背中だとか
お腹が焼けて
破れてしまいます

座るとお尻や
太股が焼けて
破れてしまいます

だからずうっと
こうして立っているわけで
外にいれば風や光に擦れて
顔や腕が
破れてしまうので

暗がりに
立っているしか
ないのですけど
ここにわたしがこうしている
というだけで

それは問いや決め付け
意見といったものに
なってしまうということなのか

立っているだけでも
足の裏が焼けて
破れてしまうのですけれど

それはひとには
見せずにすむ部分なので
仕方ないとはおもいます














2009年08月17日(月)
よこはまごっちゃ(5)








横浜という町を歩いていると
まるでどちらが南か東なのかも
分からなくなってしまうことでしょう
駅に向かっていたはずなのに海に出てしまうこともあって
でもランドマークさえ見えているなら
迷子にはならずにすむでしょう

横浜という町を歩いていると
いったいじぶんがどんなふうに見られているかなんて
分からなくなってしまうことでしょう
おしゃれ気取りで古びた商店街のおばさんたちに囲まれてたり
放浪者のジーンズと伸びきったシャツで
結婚式帰りのスーツやドレスとすれ違うことも多いでしょう

横浜という町を歩いていると、おまけに
働き者なのか遊び人かも見分けるのがむずかしくなって
オフィス街の真ん中通りでお祭りがはじまってしまえば
おじさんたちに混じってビールを飲まなければならないでしょうし
地べたや階段に座り込んで、もう暗くなったのに
大道芸人に拍手をおくらなければならないでしょう

横浜という町を歩いてみれば
時間なんて随分いいかげんなものだと気付くでしょう
男の子のままおじいさんになってしまったり
おかあさんのままで女の子に育ったひととすれちがうことでしょう
なんせおおよそどこででも
昼寝ができてしまうのだから
永遠に工事中、と書かれたビルがあちこち見つかることでしょう
アパートの洗濯物がはためいている、その隣りでは
キリンやライオンがあくびをしていることでしょう

中華街でお茶をすませたら、元町でパンを買いましょう
90分二千円と書かれた看板の
ラブホテルの脇を抜けて川沿いのベンチに座りましょう
なんせ町にひとつ大きな時計が付いているので
携帯電話はしまっておいて、だいじょうぶ
煉瓦倉庫まで歩いて疲れたら、100円バスに乗るのもいいでしょう
できれば、道に店ごとはみだしてしまったような飲み屋さん行き、に乗りましょう

横浜という町を歩いてみれば
特に汽笛が聞こえたときなんか
そこがもう横浜という名の星なのだと気付くこともあるでしょう
夜景の少し遠くのほうに地球を眺めることがあるでしょう














2009年08月10日(月)
404








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まあ、あるっちゃあります。
またしても筆者がつんでれ魔女に原稿を奪われ
今度は残念ながら取り戻せなかった可能性があります。
けれどなんたって真夏なのだし、あんまりな暑さのために
筆者が書くことを何もおもいつかなかった可能性も充分あります。

暑中お見舞い申し上げます。


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2009年08月03日(月)
或る朝には








或る朝には起きて
ひとりで起き上がって
部屋の静かさの真ん中あたりで
ひとりぶんの珈琲を沸かし
服を着替え、玄関を出て

翌朝には起こされて、妻に
遅れますよと揺り起こされて
ふたり暮らしの真ん中あたりで
朝食は既に整えられて、昨夜見た
ひとり暮らしの夢などはすぐに忘れて

翌々朝は起きて
ひとりで起き上がって
ひとりで暮らす幸福の真ん中あたりで
まるで妻がいたかのような昨夜の夢も忘れて
特別、ひとりだと思うこともなくまた靴を履いて

翌々々朝は起こされて、息子に
どこか行こうよと起こされて
家族と暮らすという仕合わせの真ん中あたりで
妻の掃除機に追われ、後部座席に息子を乗せて
誰も帰りを待たない昨夜の夢などはとうに忘れて

翌々々々朝には起きて
いつも通り夢から覚めたところで、まるで
なにか忘れたままでいるようで
曖昧な記憶のどこか真ん中あたりで
時折、疑ってみることといえば

もしかしたらひとりでいるような気がすることで
もしかしたら家族がいるような気がすることで

繰り返される生活の真ん中あたりで
同じ一日間が沈み、夜が過ぎて行くのなら、また
或る朝には起きて