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2006年11月27日(月)
一本のタバコ









犯罪件数のはなしから
はじまるような街にいて
深夜にコンビニに行くのも
ちょっとためらわれる

さりとてタバコはあと一本
箱をのぞきこんでみて
あと一本っていうのが
泣かせるじゃない

どこかにあるんでないの、と
期待してみただけ
服という服のポケットをまさぐったり
引き出しをがさごさかきまわしたり

ふー。ない。

とりあえず最後の一本で
ひと息つき
体育ずわり

あ、そーか。これって夢?
とか思ってみたり
おばかさーん
とか後悔してみてるだけ

試しにはじめから喫煙者じゃなかった
ってことにしてみたり
試しに明日まで禁煙
とか無駄な抵抗をしてみてるだけ

一本のタバコ
とかいう時間で













2006年11月23日(木)
りょーさんがMDをくれた(2)









1、 wueqfeth utt norla 1st "Kadura"   dill
2、 scanning memory  dumb type
3、 spiral 1  karlheinz stockhausen
4、 wueqfeth utt norla 2nd "Nolzim"   dill
5、 studio take 5   erikm&fennesz
6、 10   alva noto
7、 war&peace cornelius remix  坂本龍一
8、 le fils des etoiles(elic satie)   武満徹
9、 die sorge geht uber den fluss  ekkehard ehlers
10、crime in the pale moonlight  flanger
11、the counter  psapp
12、atak000  渋谷慶一郎
13、wueqfeth utt norla suite 3rd "ephia"  dill
14、war&peace  坂本龍一
15、thorow part three  susan howe & david grubbs
16、eureka  大友良英ニュージャズオーケストラ
17、passion  鈴木祥子
18、this heaven  david gilmour
19、vertigo banking corporation  unbeltipo
20、dinasty  alejandro franov



おたがい、いまだにMDをこよなく
つこうとるというのがバレてまうわけですが

dillは雨にとってもよく合います
雨がdillなのかっていうくらい
いやもしかしたらdillが雨なのかもしれません

池田亮司氏の「matrix」を聴いていて、わたくし
あたらしいリスニング体験をいたしました
ひとつのぴ〜〜〜んとした音を
ひとりでずぃ〜〜〜〜っと聴いていて
最初はね、なんか怖いわけ
どこか連れてかれてこわされて
そのままぽいって捨てられちゃいそうで
それがだんだんだんだんと
音の揺れみたいのが少しずつ移り変わっていくうちに
ひとつじゃなくて、2つ、3つだんだん耳にはいってきて
鳴ってないはずの音までいっぱいいっぱい聴こえてくる
んでもってそれがこのうえなく気持ちよい
気付けばあっというまに30分たってしまってた、というもの

所詮素人なんで分からないし
いい加減なことも言いたくないんだけど
(製作者の意図など知る由もなし、つもりもなし)
こういうのが概念的に「曲」じゃないって
感ずるひとは多いかもしれんけど
聴き手に喚起される幻聴まで想定し得て作られた
「音楽」だとするなら、こいつぁ…。ねえ?(ためいき)

一曲ずついろいろ書くと大変ですが
繰り返し繰り返し聴かせてもろうております




                           謹白











2006年11月20日(月)
傘と花









あさか かあさま
ささかま かさかさ
かさ まさか さかさ
さかさま まっさかさま


なは なな
なな なは ははから
ななはは なは はな 
なな はから はな
はは はなから はな
ななは はらはら
ななはは はらはら


















2006年11月13日(月)
にんにくの皮をむく夜は






おっきいのちっこいの
まるっこいのほっそいの
にんにくの皮をむくのなら
どこかさびしげな夜なのだけど

ぼくはこれでスパゲッティーや
煮物やカレーや天ぷらや
小さな鍋が食べれるよ
にんにくの皮をむく夜は
においで部屋ごと料理にしてしまう

音楽を聴きながらむいています
サンバがかかるとよくむける
こんなふうに昔のひとも
ハサミひとつでむいてたかしら
友だちのことばかり考えたかしら

おっきいのちっこいの
まるっこいのほっそいの
にんにくの皮をむくのなら
どこかさびしげな夜なのだけれど

放り投げていく瓶のなかはまるで
いろんな月が詰まっていくみたいだな









2006年11月06日(月)
「ニーナ」









「 その椅子は木でできた丈夫な椅子
  こげ茶色のクッション
  木彫り花模様ひじ掛け
  背もたれの両端には小さな赤い石
  それはそれは美しい木の椅子だった

  その椅子を作ったのは椅子職人のおじいさん
  曲がった腰 なれた手つき 鋭い目
  出来上がった椅子があんまり美しかったので
  死んだ妻の名前をこっそり入れたのさ 」

                    矢野絢子 「ニーナ」
                    アルバム 「ナイルの一滴」から







雑貨屋さんで見つけたときから
この椅子に座ることに決めたのさ
試しに座ってみたわけじゃなくて
この椅子なんだとわかったわけ

背中の受けとめかたも
両手の組ませかたも
居ずまい正しく
座りこなすわたしの姿も

いつかふたりとも年をとって
別れゆく日がくるなんて
考えることもできなくなって
また深くよりかかり目をとじる

よくわからないけれど
よくわからないということは
なにか好きだというときには
忘れちゃいけないことなのだ