JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆ものすごく上手い人を発見しました。 オーレ・エドワルド・アントンセン トランペット・リサイタル− が放送されました。ノルウェーのトランペット奏者です。 とっくに御存知の方がおられるかもしれませんが、私は初めて聴いて、 1,2分聴いた所で、天才的に上手い人だ、と感じました。 調べたら、随分前から何枚もCDを出していたのですが、いかんせん、北欧。 北欧はどういうわけか金管の名人が多いですが、 やはり西洋音楽の中心はドイツとかオーストリアで、あの辺まで降りてこないと なかなか売れません。 ◆アントンセンのCD(又はiTunes Store)でたまげました。 この人のCDは、前述の通り何枚か出てはいるのですが、 Antonsen Golden Age of the Cornet(コルネットの黄金時代)(クリックするとiTunesStoreの該当ページ) を見つけました。ここで、元来、ヴァイオリンの神様、ヤシャ・ハイフェッツの十八番、 「ホラ・スタッカート」が収録されていることに気がつきました。 まずは、原曲、ハイフェッツの映像。ヴァイオリンの弓を持つ右手に注目して下さい。 一弓で(1音ごとに弓を上下させずに)、ミリ単位で弓のバウンドをコントロールしてます。 Jascha Heifetz plays Hora Staccato 埋め込み不可なので、こちらのリンク先でご覧下さい。 これは、これで、驚嘆すべきテクニックなのですが、書くと長くなるので保留しておきます。 さて。 私が知る限り、「ホラ・スタッカート」をトランペットで吹いて、録音を残しているのは、 全部で5人です。 最初の吹いたのは、旧ソ連のチモフェイ・ドクシツェル(故人)、という人です。 1970年代後半にこの人のレコードがいきなり現れて、 日本のラッパ吹きはプロもアマも腰が抜けるほど驚いたのです。 チモフェイ・ドクシツェル:ホラ・スタッカート Dokshitser Hora Staccato ドクシツェルが初来日し、芥川也寸志さんと黒柳徹子さんが司会するクラシック番組に やってきて、これを吹きました。演奏後、あの黒柳さんが、あまりの上手さに、 一瞬絶句するほど驚いていたのを覚えています。 その後長らくドクシツェルと同じように吹く(吹ける)人がいなかったのです。 モーリス・アンドレとナカリャコフは、吹いてはいるけど、 これが、「ホラ・スタッカート」の冒頭部分ですが、赤い枠で囲ったところ。 レラファラ・レラファラ・レラファラ・レラファラ をその通りに吹きません。 モーリスアンドレは、 レレララ・ファファララ・レレララ・ファファララ と。彼なら譜面通りに吹けそうですが、誤魔化してます。 モーリス・アンドレ:ホラ・スタッカート Andre Hora Staccato これだけ上手いのですから、楽譜通りに吹けるとおもうのですが。どうも意図がわかりません。 さて、それから大分たって、ロシアの今はオッサンですが、かつては美少年だった天才的なトランペット奏者、 セルゲイ・ナカリャコフという人(NHKの朝ドラ、須藤理彩がヒロインだった「天うらら」のオープニングで、 小六禮次郎さんのオリジナル曲を吹いた人です)。この人も紛れもなく天才ですが、ホラスタッカートは感心しない。 音源は、ヴェニスの謝肉祭 ミラクル・トランペットです。 もう一度書きますが、本当は、 レラファラ・レラファラ・レラファラ・レラファラ です。レからラまで五度上がって、ファまで三度下がって、またラまで三度上がって、レまで五度さがる。 このジグザグな音型が難しいのです。ナカリャコフは レファラファ・レファラファ・レファラファ・レファラファ と音の順番を置き換えました。インチキです。 本来の音型より演奏が易しくなります (とは言っても彼は上手いので、折角なら譜面通りに吹いて欲しかったのです)。 ナカリャコフ:ホラ・スタッカート Nakariakov Hora Staccato それから、かなりの間、トランペットで「ホラ・スタッカート」を吹く人がいなかったのですが (少なくとも、CDで聴ける範囲内では)、ジャーマンブラスの、マティアス・ヘフスが、 Trumpet Acrobaticsで吹きました。 ドクシツェルに次いで二人目の楽譜通りです。 マティアス・ヘフス:ホラ・スタッカート Hofs Hora Staccato 上手いです。余裕があります。これでしばらく出ないかな?と思ったらいました。 ノルウェーのトランペット奏者、オーレ・エドヴァルド・アントンセンがコルネットで吹いていました。 「コルネットの黄金時代」というアルバム(iTunes Storeにも)。 オーレ・エドヴァルド・アントンセン:ホラ・スタッカート Antonsen Hora Staccato この人、限りなく天才に近いです。 アントンセンは、知っていた、という方がいらっしゃるでしょうが、 私は、今まで知らなかったので、久々に新しい才能を見つけた気分で、 大変喜んでおります。 非常にマニアックな特集に最後までお付き合いいただきまして、有難うございました。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします。
2011年01月16日(日) 「世のために尽くした人の一生ほど、美しいものはない。」「洪庵のたいまつ」--美しい一生を描いた美しい文章。
JIRO
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