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JIROの独断的日記
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2010年11月11日(木) 【音楽・映像】世界で最も美しい棒--サヴァリッシュ先生

◆何も分からない癖に子供の頃から尊敬し続けて40年。

何度も何度も、同じ事を書いてしまいます。


私が10代から20代にかけて、クラシック音楽、それもオーケストラの音楽に興味を持ち始めてから、

尊敬する指揮者は何人もいますが、何しろ小学校4年生、10歳から50歳の今まで、自分の中ではかならず

「先生」と思っているのはただ1人、NHK交響楽団桂冠名誉指揮者(N響の歴代の指揮者の中でも、「桂冠」「名誉」指揮者は

この方だけです)、ウォルフガング・サヴァリッシュ(Wolfgang Sawallisch)先生 (1994〜)ただ1人。


私は音楽的な特別な才能などありません。演奏する才能も、聴く才能(というものが存在します)もまるで無い

凡人ですが、子供の頃、直感的に「この指揮者こそ、『本当の』音楽家だ」と何故か確信したのです。


世の評価を読んだり聞いたりすると、この直感は(偶然ですが)間違っていなかったと思います。


これも、過去に何度も書いたことで恐縮ですが、この「尊敬ぶり」は傍目にも明らかだったらしく、

今でも母(80を超えています)が、

あんた、本当に子供の頃から「サヴァリッシュ先生」といって尊敬してたわよね。

生の演奏もサヴァリッシュ先生の時だけは、親にねだってチケットを買って貰ってコンサートに行ったものです。

あの渋谷のNHKホールのこけら落としは、1973年の6月末で、サヴァリッシュ先生が指揮による、ベートーヴェンの「第九」でした。

それを聞いたのは良く覚えています。「6月の『第九』」は、日本では普通、演りませんから、それも記憶に残っている理由でしょう。


放送では、当時も今もクラシックの番組がいちばん多いのはNHKですが、今のようにBSやBShiなどで色々な団体の演奏が放送され、

それを録画して聴く、なんてことは無い時代で、コンサート録画放送はNHK総合で週一回放送される、

「NHKシンフォニーホール」という番組だけでした。今の日曜夜の「N響アワー」に相当しますが、

あんなにサービス精神旺盛ではなく、大木正興(まさおき)さんという、とっくに故人ですが、

真面目な音楽評論家が一人で、ニコリともしないで曲目を解説し、演奏が放送され、後で大木氏が寸評を加える、

というものです。当然N響の演奏が殆どで、サヴァリシュ先生は毎年来日なさっていたので、

先生の指揮姿をこの番組でしょっちゅう見ていたのです。子供の頃の感動は忘れないものです。


◆余りにも美しい棒(指揮の動作)。

指揮者の指揮の動作は、本来、指揮者の仕事の本質ではありません。

一見無器用な棒でも、オーケストラから素晴らしい演奏、響きを引き出すことができれば、

棒の振り方は枝葉末節といっても過言ではないかも知れません。


しかしながら、サヴァリシュ先生の指揮動作(俗に、単に「棒」といいますが)の美しさは

この境地になると、それ自体が芸術に思えるほどです。

どう考えても先にも後にもこれほど美しい「棒」を振る指揮者はいません。


◆今、見ることが出来る映像から。

YouTubeで探したのですが、過去に載せたものが多く恐縮です。

1988年、ベートーヴェン交響曲第7番 第4楽章です。

ティンパニは、この時期N響のティンパニ奏者が留学したので、1年間来て貰っていた

元・シュターツカペレ・ドレスデンティンパニ奏者、ペーター・ゾンダーマン(Peter Sondermann)氏です。


Sawallisch Conducts Beethoven Symphony No. 7 4th movement







この後の映像をご覧頂くと一層良く分かりますが、あたかも棒の動きから、「音楽が見える」ような

気がするのです。音楽的な教養が棒の美しさに表れている、と思えてなりません。


フェラーリ:「マドンナの宝石」間奏曲です。

Sawallisch Conducts Intermezzo from I Gioielli della Madonna







お分かり頂けると思います。

エロルド:「ザンパ」序曲。珍しいことに演奏開始直後、指揮棒を落としてしまい、

その後、棒を使わずに振り続けます。


Sawallisch Conducts Zampa Overture (Herold)







次は初めて見ましたが、サヴァリッシュ先生がイスラエル・フィルで、スラブ舞曲第8番を振っている。


A. Dvorak: Slavonic dances No.8, Furiant, g moll, Sawallisch







フィラデルフィア管弦楽団の常任指揮者をしていた頃。来日公演でストコフスキー編曲の

バッハ:「トッカータとフーガ」管弦楽版です。


【Wolfgang Sawallisch】Bach:Toccata and Fugue







まだ、ご存命ですが、心臓を患っておられます。2004年、N響でベートヴェンの7番を指揮したときには、

椅子に座っての指揮で、先生の全盛期を知る私は泣けて仕方がありませんでした。


Beethoven Symphony No7 4thMovement - Wolfgang Sawallisch







2004年11月13日。ちょうど6年前です。

棒の勢いは無いけれど、N響が先生の思う音楽を察して懸命に演奏している様子に

胸を打たれます。

演奏終了後「これで、最後だね」というように静かにうなずかれるので、

余計に泣けてしまいます。

しかし、私は音楽を好きになってゆくその最中にサヴァリッシュ先生の演奏を直に聴いて、

見ることができました。非常にありがたいことです。

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