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2010年02月28日(日) |
先週発表された、経済指標・統計概観。デフレが続いています。 |
◆コメント:良くないです。
金曜日の東京株式市場は、上げて終わりました。
NIKKEI NETの株・為替欄のコメントを一部引用します。
◆記事:東証大引け、反発 鉱工業生産指数で心理改善 トヨタが反発(NIKKEI NET)(26日 15:21)
26日の東京株式市場で、日経平均株価は4日ぶりに反発した。大引けは前日比24円7銭(0.24%)高の1万0126円03銭だった。
朝方発表の1月の鉱工業生産指数速報が市場予想を上回る内容となり、投資家心理が改善した。
円高基調が再び強まる懸念は根強かったが、自律反発機運が高まった。
鉱工業生産指数は前月比2.5%上昇し、日経QUICKニュース社(NQN)が集計した市場予測の平均値(1.1%上昇)を上回った。
バークレイズ・キャピタル証券の森田京平チーフエコノミストは生産活動について「増勢を維持している」と分析する。
在庫が膨らんでいた電子デバイスに減速の兆しがあるものの、生産水準を切り下げるまでには至らないとみる。
東証株価指数(TOPIX)も4日ぶりに反発した。(以下略)
ウソじゃないのですが、金曜日には、その他にも経済指標が発表されていますし、
月曜からその他、スーパー売上高など、色々な統計・指標が発表されました。
順を追って見ます。
22日(月)。1月のスーパー売上高、コンビニ売上高。それぞれ14ヶ月、8ヶ月連続、前年同月比マイナス。
◆記事:スーパー、14カ月連続減=コンビニは8カ月マイナス−1月売上高(2月22日19時0分配信 時事通信)
本チェーンストア協会が22日発表した1月のスーパー売上高は1兆1022億円で、
既存店ベースで前年同月比4.9%減少した。前年実績を下回るのは14カ月連続。
日本フランチャイズチェーン協会が同日発表した1月の主要コンビニエンスストアの既存店売上高は
5.3%減の5652億円と、8カ月連続のマイナスだった。
消費不況の影響により、いずれも来店客数が減少した上、購入商品も低価格品に移ったのが主因。
チェーン協は「給与や失業率、先行き不安が改善されない限り、消費が上向くことはない」として、
当面は厳しい状況が続くとみている。
23日(火)。自動車8社、1月の生産実績。1月単月では前縁同月比大幅増だが、通年ではマイナス。
◆記事:世界生産、7社がプラス=需要急減が一巡−自動車8社(2月23日19時0分配信 時事通信)
自動車大手8社が23日まとめた1月の生産・販売・輸出実績によると、
世界生産はトヨタ自動車が前年同月比55.8%増の64万3925台となるなど、
ダイハツ工業を除く7社でプラスとなった。
一昨年秋のリーマン・ショック後の需要急減が一巡したことや
アジア市場の堅調ぶりを背景に、前年より生産を増やす社が大半を占めた。
ただ、「北米や国内で前年に実施した生産調整」(ホンダ)の反動という面も大きく、
各社の生産基調が本格回復をたどるかは依然、不透明感が強い。
また、トヨタのリコール(回収・無償修理)問題の生産への影響はまだ出ていないが、今後、懸念材料となりそうだ。
記事の説明で十分だと思いますが、1月単月を前年同月と比べると、大幅にプラスですが、
昨年1月はリーマン・ショックの4ヶ月後で、世界の景気が、「崖から岩が転がり落ちるような勢い」で
後退していた最中ですから、その反動でプラスになっているのは、予想出来ることです。
しかし、2月10日に発表された、大手8社の昨年4月から12月までの売上げ、収益は前年比、マイナスです。
1月の後、2月、3月が前年同月比プラスでも3月末で締めた場合、あまり明るい数字になるとは、思えません。
24日。 企業向けサービス価格(日本銀行)。新聞によって見出しの付け方が異なり、大きく印象が変わります。
まず、ロイター。事実を書いていることは確かですが、良いのか悪いのか分かりません。
◆記事:1月企業向けサービス価格指数は‐1.0%、下落率は縮小=日銀(2月24日9時31分配信 ロイター)
日銀が24日発表した1月企業向けサービス価格指数速報(2005年=100)は97.4となり、前年比で1.0%低下した。
12月確報(1.5%低下)から下落率は縮小した。前月比は0.4%低下だった。
外航タンカーを含む外航貨物輸送や国際航空貨物輸送、商業・サービス業用機械設備などのリースが押し上げ要因となる一方で、
インターネット附随サービスや道路貨物輸送、事務所賃貸などが押し下げ要因となった。
毎日新聞。まあまあです。企業向けサービス価格が16カ月連続下落していることを冒頭に書いている。
◆記事:<サービス価格指数>16カ月連続下落 5カ月連続で下落率縮小(2月24日20時5分配信 毎日新聞)
日銀が24日発表した1月の企業向けサービス価格指数(05年=100、速報値)は97.4で、前年同月比1.0%下落した。
16カ月連続の下落だが、貿易の復調で輸送費が上昇したことなどを背景に、下落率は5カ月連続で前月(1.5%)より縮小した。(以下略)。
5カ月連続で下落率縮小している、と書くと、少しは良くなっているかのように感じますが、企業向けサービス価格が物価指数と同様に
1年4ヶ月も「下がり続けている」ことの方が重大で、それを書かなければ意味がない。毎日新聞は書いているからまあ、良いです。
朝日新聞。これは、記事まで読めば必要なことは全て書いてありますが、
見出しを敢えて「衝撃的」に書いています。
◆記事:1月の企業向けサービス価格指数、24年ぶり低水準(朝日新聞)(2010年2月24日11時7分)
企業同士がやり取りするサービスの価格水準が下がり続けている。
日本銀行が24日発表した1月の企業向けサービス価格指数
(速報、2005年=100)は97.4と前年同月比で1.0%下落し、
1986年3月の97.4以来、約24年ぶりの低水準になった。下落は16カ月連続。
前年同月比の下落率は昨年12月の1.5%からは縮小した。
昨年8月に過去最大の3.5%を示して以降5カ月連続で縮小している。
項目別にみると、運輸では中国中心の外需に引っ張られ、外航貨物輸送などの運賃が上昇した。
一方、内需との関係が深い広告、不動産、情報通信などの業種での下落が続いている。
まあ、「24年ぶり」は書いても仕方がないけど、必要なことには一通り言及しています。
いずれにせよ。物価と共にサービスの価格も1年4ヶ月下がり続けている、ということを、
覚えておいて下さい。
26日。消費者物価指数。鉱工業生産。住宅着工件数。
消費者物価指数。日本経済の最大の懸案事項である、デフレはどうなっているのか。
◆記事:消費者物価、11カ月連続下落=17年ぶり低水準−1月(2月26日8時44分配信 時事通信)
総務省が26日発表した1月の全国消費者物価指数(CPI、2005年=100)は、
価格変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が99.2となり、前年同月比1.3%下落した。
マイナスは11カ月連続で、デフレは長期化の様相を呈している。
指数は1993年3月以来、約17年ぶりの低水準に落ち込んだ。
もはや、説明が要らないほどですね。完全にデフレです。
鉱工業生産。
◆記事:1月鉱工業生産速報は前月比+2.5%=経済産業省(2月26日9時6分配信 ロイター)
経済産業省が26日発表した1月鉱工業生産指数速報(2005年=100、季節調整済み)は
前月比2.5%上昇の91.9となり、11カ月連続の上昇となった。
ロイターの事前予測調査では前月比1.0%の上昇と予想されていたが、
発表数値は予想を上回った。生産予測指数は2月が前月比0.8%低下、3月が同1.6%上昇となった。
経済産業省は生産の基調判断を「持ち直しの動きで推移している」で据え置いた。
業種別にみると、輸送機械工業、化学工業、金属製品工業などが上昇に寄与した。
鉱工業出荷指数は前月比2.4%上昇、在庫指数は1.0%上昇だった。
11月連続ですから、もう市場は織り込み済みなのです。
鉱工業生産、つまり供給が増えても需要が増えないから、物価は下がり続けているのです。
だから、この材料だけで、単純に喜ぶ訳にはいかないのです。
住宅着工件数。
◆記事:1月の住宅着工、8.1%減 14カ月連続マイナス(2月26日14時52分配信 産経新聞)
国土交通省が26日発表した1月の新設住宅着工戸数は、前年同月比8.1%減の6万4951戸と、14カ月連続の前年割れだった。
年率換算(季節調整済み)では86万3000戸。景気の先行き不透明感から低迷が続いている。
内訳は、持ち家が前年同月比5.4%増の2万1144戸で3カ月連続で増加だったのに対し、
貸家が14.5%減の2万7040戸、分譲住宅も11.7%減の1万6276戸で、2けたの落ち込みだった。
冒頭で引用した日経の株式市場に関するコメントでは、鉱工業生産のプラスが強調されていますが、
それはもう、とっくにプラスに転じているのです。
ここに挙げた他の指標・統計に関する記事を読めば、いくら鉱工業生産だけ前縁同月比プラスがつづいても、
消費者物価もサービス価格も下がり続け、スーパー、コンビニの売上げは減り続けている。
個人消費が増えていない、ということです。
住宅も売れないから建てない。
景気に明るい見通しを期待できるようになるのは、まだ当分先です。
あと数年は、あまり期待出来ないのではないかと思います。
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