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JIROの独断的日記
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2009年10月31日(土) 他人を印象や先入観で安易に評価してはいかん、ということを今更ながら痛感してます。

◆自宅に「防音室」がある理由。

私は、東京23区の中でも西よりの某区に住んでいる。

マンションの狭い所帯だが、ただ、一戸一戸、カスタムメイドである。

そこで、一つだけ贅沢をした。防音室を作った。45デシベル遮断だから、フォルティッシモで弾いても、

マンションの他の世帯はおろか、同じ部屋(マンション内の私の占有部分、ということ)にいても、

殆ど蚊が鳴くほどにしか聞こえない。グランドピアノ(勿論、フル・コンサートのサイズではないが)を

おいてもまだ随分空間がある。

自慢ではない。生活は苦しいのである。普通に考えれば、バカである。

何故、そのような贅沢をしたか。


家内が元々ピアノ教師だが、ここに引っ越す前は社宅に住んでいたので、

あまりおおっぴらに「ピアノ教室」はできなかった。今の家の間取りを決めるときに、

せめてそれだけは、と望まれたのである。

それから、私はもう長いこと楽器に触っていない(特にうつ病になってから)が、

また、吹きたく(弾きたく)なったときには、使える。他には贅沢してないから良いだろう

と考えた。がそれは、余談である。


◆女房殿のピアノ教室

防音室を作ったのは、良いが、折りしも少子化で、簡単に生徒は集まらない。

仕方がないので、プロに頼んで、少しばかり本格的なビラを作り、

知り合いに頼んで、配って貰い、タウン誌に広告を出した。

子ども相手だけでは、とても人数が集まらないことは明らかだったので、

大人で、初めて弾きたい人、かつて習っていたが途中で辞めてしまった大人、なども対象にしている。

わずかずつだが、生徒が来始めた。が、生憎、最近は真面目に練習してくる子どもが少ない。

レッスン料は安くしてあるが、カネの問題ではなく、ピアノに限らず、教え甲斐のある生徒がいなくては、

教える側に張り合いがない。しかし、しかたがないので、とりあえず来てくれる生徒を、家内は教えていた。


◆バンドを組んでいて、「作曲家」になりたい、という女の子がやってきた。

あまり教え甲斐が無い生徒ばかりで、家内は退屈そうだったが、最近一人面白い弟子が現れた。

(因みに私は関係ないから決して顔を出したり、レッスンを覗いたりはしない。家内からの伝聞である。)

面白い生徒とは22歳の女の子で、宅配業でアルバイトをしながら、「バンド」を組んでいるという。

自分がボーカルだそうだ。ギターとベースとドラムスとキーボードの典型的なバンドである。

悪いが私はこの手合いに偏見を抱いていた。音楽の基礎も知らず、出鱈目のコード進行で、

歌は話にならないぐらい音程が悪く、同じような曲ばかりで、五月蠅い、と。

家内の弟子になった女の子は、初めての面談で

「将来は自分のバンドの曲を作りたい。『作曲家』になりたい」

と言ったそうだ。楽譜も理論も分からないから、有名バンドの曲を参考にしたくてもできない。

その子は、なにを演るにしても、「音楽の基礎」を身につけなければ、話にならない、と考えたそうだ。

それは、誠に正しい。


尤も家内は、最初から「作曲家」が出てきて、少々驚いていた。

楽譜も読めず、当然ピアノも弾けず、ソルフェージュも聴音も、楽典も分かっていなくて「作曲家」?

ということだ。

しかし、レッスンを開始してまもなく、家内はその生徒さんの「本気さ」を理解した。

家内から話を聞き、音楽というものは、どんなことをするにせよ、基礎は同じだ。

直ぐに作曲家などになることはできない。バイエルから始める。と言われ、

「新しい弟子」は、その意味を正しく理解した。


非常な熱心さで練習してきて、前回指摘された問題点は必ず克服してくる。一週間でバイエル10曲ぐらい仕上げてくる。

最近、リズム・ソルフェージュという訓練を始めたが、非常な集中力でレッスンを受ける。

今や、バンドの「リード・ボーカル」として、ただ自己流に歌を歌っていた彼女が、

家内が教える中で、最も熱心な生徒となっている。

シンフォニーを書く作曲家になるのは無理だが、自分の歌を書き、バンドのアレンジぐらいできる日が来るかも知れない。


◆他人を、安易に判断してはいけない。

家内から、「バンドの彼女」の話を聞いて、感心した。

先に書いたとおり、ロック(だか、何だかしらないが)バンドなど演っている連中は、

基礎を真面目にこなすことなどできず、出鱈目なのばかりだろうと思っていた私は、

その根拠の無い、偏見、先入観を反省した。

人間は単純ではない。経歴や見かけで、安易に評価してはならないのである。

私は将来、「家内の愛弟子」がどんな歌を書いて、どのように歌うのか、全く想像できない。

自分の好みとはかけ離れたものである可能性も高い。しかし、彼女の真摯な姿勢に、

最近の若者といえども、捨てたものではない、と認識を改めた。

嬉しい「予想外の出来事」である(私はなにも教えていないが)。教え甲斐のある弟子ができたことは

家内にとって、嬉しいことだ。それは想像に難くない。


◆【音楽】アルゲリッチ バッハ:パルティータ第2番よりシンフォニア

ここからは、日記とは、関係ありません。

以前良くやった形式で、本文とは関係なく、「今日の一曲」とでもいいましょうか。そういう「コーナー」です。

アルゲリッチの弾くバッハのパルティータ第2番、という曲です。以前ご紹介したことがありますが、

毎回新しいCDを買っていたら、いくらおカネがあっても足りないので、ご容赦のほど。

CDはバッハ:トッカータ ハ短調 です。



パルティータ第2番ハ短調 BWV826 から第1曲「シンフォニア」です。



パルティータ第2番ハ短調 BWV826 Sinfonia



これは名演ですね。これを聴いて、

「バッハはロマン派だ」

とおっしゃったのは、ネット上の友人で、音楽の造詣の深さにおいて、私など足もとにも及ばないKenさんですが、

けだし、名言です。

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