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JIROの独断的日記
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2009年01月21日(水) 「<オバマ新大統領>市民「責任」に戸惑いも」←演説ってのは難しいね。

◆記事:<オバマ新大統領>市民「責任」に戸惑いも(1月21日13時19分配信 毎日新聞)

「我々は希望を選んだ」。オバマ米大統領が呼びかけると大観衆からオバマ・コールがわきあがった。20日(日本時間21日)、

大統領就任式が行われた米ワシントンは、深夜まで祝祭ムードに包まれた。パレードや舞踏会が花を添える。

人種差別や金融危機、紛争を乗り越え、相互理解と統合を目指そうと呼びかける就任式は、人々に勇気と感動を与えた。

一方、「責任」を求めるオバマ氏に戸惑う市民の姿もあった。

オバマ新大統領は、就任式会場に、黒いコート、赤いネクタイ姿で現れた。

リンカーン大統領が使った聖書に手を置き、ロバーツ連邦最高裁長官にリードされ就任宣誓。

長官との呼吸が一時かみ合わず、苦笑いする場面もあったが、「憲法を擁護する」と厳粛な表情に戻り、終了した。

「ソウルの女王」と呼ばれるアレサ・フランクリンさんが愛国歌を歌った後、

中国系アメリカ人のチェリスト、ヨーヨー・マさんやユダヤ系のバイオリン奏者イツァーク・パールマンさんが演奏し、式典を盛り上げる。

会場には黒人の元ボクシング世界王者、モハメド・アリ氏、オーストリア出身のシュワルツェネッガー・米カリフォルニア州知事、

第二次大戦で活躍したにもかかわらず、差別を受けてきた黒人航空隊の元隊員らも出席。

人種、出自、歴史が異なる多様な人々が見守る中、大統領は続く就任演説で「我々を分け隔てた壁はいずれ消える」と統合を訴えた。

「試練は深刻だがアメリカはいつか克服する」。オバマ大統領が高らかに宣言すると、拍手と声援がこだました。

公園内の大型スクリーンで式典を見た黒人カップルの女性は口を覆い、涙を流す。隣の白人カップルはキスをかわし、ほほえんだ。

「我々は歴史の一部になった」と興奮して話す人も。イリノイ州の黒人男性、ピーターソンさん(79)は右手を突き上げ「やったぞ!」と2回、叫んだ。

かつて、黒人公民権運動の指導者マーチン・ルーサー・キング牧師に会ったこともある。「変化の歴史は続くんだ」と語る。

式典後、大統領はホワイトハウスに向かうペンシルベニア通りでパレードした。

沿道には観客が鈴なりになっており、大統領は途中2度、車から降り、ミシェル夫人と歩きながら手を振った。

大統領は、ワシントンの舞踏会数カ所にタキシード姿で出席。「米国を変革する」と得意のせりふであいさつすると、

会場は「イエス・ウィ・キャン」の大合唱と割れるような拍手に包まれた。

ただ、オバマ大統領は就任演説の中では「希望」という言葉を3度しか使わなかった。

沸き立つような観客の盛り上がりも乏しかった。「責任を果たすべき新しい時代だ」。

現実を突き付けられた聴衆の中には立ち去る人もいた。

「彼も今日からは、大統領として言ったことの責任を持たねばならない」。白人女性のビアタさん(40)は冷めた声で指摘した。


◆コメント:演説の要旨。

オバマ新大統領の就任演説を米国民は固唾を呑んで見守っていたが、ちょっと肩すかしを食らったようだ。

演説前、会場は「オバマ、オバマ!」の興奮状態で、彼が何か希望に満ちあふれたこと、「私に任せて欲しい」という類の言葉を発するのを

期待していたようだ。それは無理もないことで、選挙運動中のオバマ氏のキャッチフレーズは、"Change!"と、"Yes,we can do."だったが、

今日の演説は、ガラリと様子が変わった。

彼の演説を非常に大雑把に要約すると、

  • アメリカは今、困難に直面している。試練は深刻で簡単には解決できない。しかし、いずれは克服出来る。

  • 我々の繁栄は、自然にもたらされたものではない。多くの先人達の苦労と犠牲の賜である。

  • アメリカは今でも世界一繁栄し、強い国だ。しかし、それを保つには、我々全員の努力が必要だ。

  • 世界は既に変化しており、我々もそれに合わせて変わらなければならない。

  • 政府の能力や意思は、究極的には国民の努力、勤勉さが決めるのだ。

  • 私たちが直面している新しい試練に立ち向かう為には、国民一人一人が、自分と国家と世界に対して義務を有することを認識しなければならない。

  • 我々はこの義務を喜んで受け入れなければならない。これが市民であることの代償と約束だ。

  • それを忘れずに困難に立ち向かおう。どんな嵐が来ても耐えよう。


ということで、当たらずといえども遠からず、だとおもう。

音声と映像は Inauguration- msnbc.comをはじめ、至る所で見ること、聴くことが出来る。

要するに、オバマ氏は、
アメリカは今大変な危機に直面しているが、これは、政府に任しておけばよい、と思われても困りまっせ。

あんたら(国民一人一人)が相当頑張って任務を遂行しないとどうにもならんよ。

と言いたいのである。今までの、景気のいい、"Yes,we can do."というよりも、"You must do your best"と

国民に要求したのである。


◆主張はケネディと似ているのだが、印象が全く違う。

便利なサイトがいくつかあるのでご紹介する。



大統領就任演説集(日本語訳)。ケネディからブッシュまでの就任演説の翻訳。


Inaugural Addresses of the Presidents of the United States. 1989 (大統領演説集(原文のトランスクリプト。オバマ演説も早くも掲載されている。)


米国大統領のみならず、ヒトラー、キング牧師、アインシュタイン、マッカーサー、ロックフェラー等の生の音声


ケネディを始め数え切れないほどの受諾演説、就任演説の音声、映像、トランスクリプト(オバマ氏も既に掲載されている)



この中で、歴史的名就任演説として今も名高い、J.F.ケネディ大統領の就任演説の、一番有名な部分を読んできいて頂きたい。1961年1月20日の就任式。

まず、日本語訳。

そして、わが同胞のアメリカ人よ、あなたの国家があなたのために何をしてくれるかではなく、あなたがあなたの国家のために何ができるかを問おうではないか。

わが同胞の世界の市民よ、アメリカがあなたのために何をしてくれるかではなく、われわれと共に人類の自由のために何ができるかを問おうではないか。

最後に、あなたがアメリカ市民であろうが、世界の市民であろうが、われわれがあなたに求めるのと同じ高い水準の力と犠牲をここのわれわれに求めて欲しい。

良心を唯一のたしかな報酬とみなし、歴史がわれわれの行動に最終的な判断を下してくれることを信じて、神の祝福と助けをもとめながらも、

この地球上では神の仕事はわれわれ自身でなしとげなければならないということを肝に銘じて、われわれの愛すべき国を導くために前進しよう。



この部分の英語原文。
And so, my fellow Americans: ask not what your country can do for you?ask what you can do for your country.

My fellow citizens of the world: ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man.

Finally, whether you are citizens of America or citizens of the world, ask of us the same high standards of strength and sacrifice which we ask of you.

With a good conscience our only sure reward, with history the final judge of our deeds,

let us go forth to lead the land we love, asking His blessing and His help, but knowing that here on earth God's work must truly be our own.


ケネディの実際の演説



JFK Inaugural Address ending



オバマ演説と非常に主張は似ている。
国に頼るな。貴方がアメリカの為に何が出来るかを考えよ。神の仕事はわれわれ自身でなしとげなければならない

因みに、ケネディの演説は、YouTubeで全てを見て聴くことができる。

JFK Inaugural Address 1 of 2



JFK Inaugural Address 2 of 2



である。

同じような内容でも、演説により、パラグラフ毎に歓声が起きている。一般に大統領の就任演説ではそれが普通だが、

今日のオバマ氏は、あまりにも現実をありのままに告げ、聴衆の興奮をさそうような話し方をしないので、今までなら当然歓声があがる

ような箇所でも大観衆は静まりかえっている、という場面がある。


だからといって、オバマ氏がケネディよりも、能力的に乏しいとは言わない。

これからの仕事を見なければ何とも言えない。

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