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JIROの独断的日記
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2008年10月11日(土) G7が「迅速・例外的な行動」、米国は公的資金注入を表明←これで「一安心」でしょうか?

◆記事1:G7が「迅速・例外的な行動」、米国は公的資金注入を表明(10月11日13時49分配信 ロイター)

ワシントンで開催された7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は10日、

欧米を中心に深刻化する金融危機の現状を「迅速で例外的な行動が必要」な緊急事態と位置づけ、

金融機関に対して公的資金を活用した資本注入をはじめ「あらゆる利用可能な手段を活用する」ことを明記した行動計画を公表して閉幕した。

会議後に記者会見したポールソン米財務長官は、米金融機関に対する公的資金注入計画を進めていると発表、

他の出席者も世界の主要銀行保護の認識で一致したことを明らかにした。

市場には、焦点となっていた米国の公的資金注入を評価する声がある一方、

実効性を見極めたいとの声も多く、警戒感はくすぶりそうだ。

<資本増強は「十分な量」確保を、市場安定に「すべての必要な手段」>

今回のG7では会議の成果について、現在の金融危機の深刻さを踏まえ、これまでの総花的な共同声明から、

金融問題に焦点を絞った対応策を「行動計画」として公表する異例の対応をとった。

行動計画は、現在の金融危機に対して「迅速で例外的な行動が必要」と強い危機感を表明。

「システム上の重要性を有する金融機関を支援し、その破たんを避けるため、

断固たるアクションをとり、あらゆる利用可能な手段を活用する」と宣言した。

金融市場についてもクレジット・短期金融市場の機能回復に「すべての必要な手段を講じる」とともに、

「モーゲージその他の証券化商品の流通市場を再開させるための行動をとる」ことで合意した。

金融危機解消の有効策として期待された金融機関への公的資本注入にも言及。

銀行などの金融機関が「十分な量で、必要に応じ、公的資金、そして民間資金の双方により、

資本を増強することができるよう確保する」と明記した。


◆記事2:G7の「行動計画」(10月11日10時39分配信 ロイター)

●G7の行動計画

G7は本日、現下の状況は緊急かつ例外的な行動を必要としていることに同意する。

われわれは、世界経済の成長を支えるため、金融市場を安定化させ、

信用の流れを回復するために共同して作業を続けることにコミットする。われわれは以下のことに同意する。 


  1. システム上の重要性を有する金融機関を支援し、その破綻を避けるため、断固たるアクションをとり、あらゆる利用可能な手段を活用をする。

  2. 信用市場および短期金融市場の機能を回復し、銀行およびその他の金融機関が流動性と資金調達に広範なアクセスを有していることを確保するため、すべての必要な手段を講じる。

  3. 銀行やその他の主要な金融仲介機関が、信認を再構築し、家計や企業への貸し出しを継続することを可能にするに十分な量で、必要に応じ、公的資金、そして民間資金の双方により、資本を増強することができるよう確保する。 

  4. 預金者がその預金の安全に対する信認を引き続き保つことができるよう、各国それぞれの預金保険・保証プログラムが頑健であり、一貫していることを確保する。

  5. 必要に応じ、モーゲージその他の証券化商品の流通市場を再開させるための行動をとる。資産の正確な評価と透明性の高い開示および質の高い会計基準の一貫した実施が必要である。

 これらの行動は、納税者を保護し、他国に潜在的な悪影響を与えないような方法で行われるべきである。

われわれは、必要かつ適切な場合には、マクロ経済政策上の手段を活用する。われわれは、今回の混乱により、

影響を受ける国々を支援する上で、国際通貨基金(IMF)が果たす決定的に重要な役割を強く支持する。

われわれは、金融安定化フォーラム(FSF)の提言の完全な実施を加速し、金融システムの改革の差し迫った必要性にコミットする。

われわれは、この計画を完遂するため、協力を一層強化し、他の国々と協働する。


◆コメント:一見、頼もしいですが、「いつまでに」と書いてありませんね。出来るかどうか分からないからです。

ロイターは、

これまでの総花的な共同声明から、金融問題に焦点を絞った対応策を「行動計画」として公表する異例の対応をとった。

と、書いていて特に評価するとは述べていないものの、そういうニュアンスです。


しかし。

実際に金融機関に公的資金を注入した経験を持つのは日本だけです。

他のG7参加国は、公的資金を注入すると言っていますが、実際にはまず、各国でその為に法整備が必要となります。

議会の承認が得られるかどうか、わかりません(米国で、不良債権買取が一度下院で否決されたのは記憶に新しいところです)。

「G7で決めた行動計画を実行に移すべく最善を尽くしたが、国民の理解が得られなかった」などという国が現れるかも知れないのです。


そして、「行動計画」を少し読むと分かりますが、具体性に欠けています。

例えば、
銀行やその他の主要な金融仲介機関が、信認を再構築し、家計や企業への貸し出しを継続することを可能にするに十分な量で、

必要に応じ、公的資金、そして民間資金の双方により、資本を増強することができるよう確保する。

どうやって「確保する」のでしょうか。これからどうするか、それぞれの国に持ち帰って考えるのでしょう。


それから。

この「行動計画」には「期限」が定められていません。

例えば、
「我々は以上の行動計画を今後一ヶ月以内に各国で策定し、再びG7を開催し、各国の進捗状況を相互に報告する」

というような文言が、「行動計画」に含まれていたら、かなり印象が変わります。しかし、そのようなことは書かれていません。

要するに、「行動計画」を発表するだけなら簡単なのです。問題は実行出来るかどうか。そして、いつまでに実行するのか?

一年後じゃ困るのです。その間にアメリカの不動産価格は下落を続け、不良債権額は増えるでしょうし、

世界的には株価の下落が続き、金曜日の大和(やまと)生命のように、評価損から過少資本に陥り、破綻する金融機関や事業会社が、

続出するでしょう。

民間企業で考えればすぐわかります。小売業なら、「今期の売り上げ目標」が決められ、各店にノルマが課せられますよね?

1億円売れ。但し、いつまでとは言わない。10年かかっても構わない、などという会社はありません。

「期限」を宣言しなければ、「計画」を立ててもあまり、意味がない。

それが問題です。

G7声明発表後、ニューヨーク株式市場は、ダウ128ドル安、ロンドンもFTSE百種総合株価指数が、381.7ポイント安で終了しました。

マーケットが、「行動計画」の実効性に対して懐疑的であることを物語っています。

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