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2008年07月31日(木) |
今週発表されている日本の経済指標、全部悪いですね。 |
◆今週発表された日本の経済指標を振り返ります。
私はエコノミストじゃないので、精緻な分析は出来ませんが、
ざっと数字を見ただけで、日本の景気がどういう状態か分かります。
発表された順に書きます。
◆雇用統計
まず、失業率です。
◆記事:6月完全失業率は4.1%、06年9月以来の高水準に=総務省(7月29日11時7分配信 ロイター)
総務省が29日午前8時30分に発表した労働力調査によると、
6月の完全失業率(季節調整値)は前月比上昇の4.1%となり、
ロイターが事前にまとめた民間予測の中央値である4.0%を上回った。
2006年9月の4.1%以来の高水準となった。総務省では6月の数字を受けて、
雇用の基調判断をこれまでの「改善に足踏みが見られる」から「先行き注意が必要」に下方修正した。
失業率以外の数字も軒並み悪化した。
就業者数は前年比マイナス40万人と5カ月連続の減少。
減少幅としては03年2月(55万人減)以来の大幅なものとなった。
雇用統計の柱は大きく分けて二つ。 失業率と有効求人倍率(求人数と求職者数の割合)
で、有効求人倍率はどうかというと、
◆6月有効求人倍率は0.91倍、05年2月以来の低水準(ロイター - 07月29日 08:42)
厚生労働省が29日に発表した6月有効求人倍率(季節調整値)は0.91倍で、前月比0.01ポイント低下し、
2005年2月(0.91倍)以来の低水準となった。ロイターがまとめた民間調査機関の予測中央値は0.91倍で、予想通りとなった。
有効求人倍率が1.0を下回っている、ということは、仕事を求めている人の数ほど、求人が無い。仕事が無い、ということです。
有効求人倍率は7ヶ月連続で1.0を下回っている。
ややこしいのですが、失業率を発表するのは総務省で、有効求人倍率を発表するのは厚労省です。
数字に関して、それぞれの役所がコメントを出すのですが、総務省は完全失業率に関して、
雇用の基調判断をこれまでの「改善に足踏みが見られる」から「先行き注意が必要」に下方修正した。
とのこと。
厚労省は有効求人倍率について、
厚労省は雇用情勢について、「注意を要する」との基調判断を3カ月連続で据え置いた。
と、報道されています。役所の発表は何でも控えめにしますから、
完全失業率は「もっと悪化するぞ」と、また、有効求人倍率は「相当ヤバい」と言っていると解釈できます。
◆家計調査
雇用統計と同じ29日に、総務省から発表された家計調査です。
◆<家計調査>消費支出1.8%減、4カ月連続マイナス 6月(毎日新聞 - 07月29日 18:52)
総務省が29日発表した6月の家計調査によると、2人以上の世帯の消費支出は28万1951円で、
物価変動の影響を除いた実質で前年同月比1.8%減少し、4カ月連続でマイナスとなった。
ビールや野菜の値上げなどで食料を買い控える傾向が目立った。
しかし、5月(マイナス3.2%)に比べると減少傾向に歯止めがかかったため、
消費支出の総括判断を「おおむね横ばいの状態」へと3カ月ぶりに上方修正した。
消費支出で減少が目立ったのは、食料で同3.6%減った。
例年に比べ低めの気温と値上げの影響でビールなどの飲料が減ったほか、
中国からの輸入が減少したウナギのかば焼き、ギョーザなど調理食品が減少した。
価格上昇が続くガソリンも同6.3%減少し、2カ月連続でマイナスとなった。
家計の支出を調べるのは個人消費(個人消費は個人消費で統計があるのですが)を知ることが出来るからです。
個人消費はGDP(国内総生産)の半分以上を占めています。
家計の支出が4ヶ月連続で前年同月比マイナスになっているということです。
家計調査という統計を発表するのは失業率と同じ総務省です。これは毎日新聞の記事ですが、役所は、
5月(マイナス3.2%)に比べると減少傾向に歯止めがかかったため、消費支出の総括判断を
「おおむね横ばいの状態」へと3カ月ぶりに上方修正した。
としていますが、現実を直視せずに後手後手に回るのがお役所仕事です。
減少傾向に歯止め?
先月は前年同月比マイナス3.2パーセントだったけど、今月は1.8パーセントだった、ということで、
消費が減少していることに変わりは無いし、単月では分からない。
とにかく前年同月比マイナスが4ヶ月続いているのですから、「家計支出の減少が続いている」
とはっきり述べるべきではないか、と思います。
◆鉱工業生産
鉱工業指数とはですね。アンチョコから写すと、
鉱工業生産・出荷・在庫指数
鉱工業製品の生産量、出荷量、在庫量を基準時点を100として指数化したもの。
好況時にはモノがよく売れ、企業が製品を増産するため生産、出荷とも上昇する。
景気が悪化してくるとモノが売れなくなるため出荷の減少、在庫の増加局面を経て生産の減少に至る。
経済のサービス化で鉱工業の比重は次第に低下しているが、今なお景気動向を敏感に示す指標として注目度が高い。
というわけで、注目度が高いそうですね。で、今週発表された数字はどうだったでしょう?
◆6月鉱工業生産は前月比‐2.0%、4‐6月期も前期比‐0.7%(ロイター - 07月30日 10:13)
経済産業省が30日発表した6月の鉱工業生産指数速報(2005年=100、季節調整済み)は
前月比2.0%低下の107.1となり、2カ月ぶりの低下となった。
ロイターの事前予測調査では前月比マイナス1.7%と予想されていたが、発表された数字は予想を下回った。
同時に発表された4--6月期の生産指数は前期比0.7%低下となった。
低下は2四半期連続。
経済産業省は、生産の基調判断をこれまでの「生産は横ばい傾向であるが、弱含んでいる」から「弱含みで推移」に下方修正した。
ということなのです。 6月単月で見ても前月比-2.0%。
4-6月の四半期で見ても1-3月比、-0.7パーセント となっています。
家計調査で見たとおり消費が低調なのですから、モノが売れず、余り気味になる。生産が増えるわけ無いです。
おまけにモノを作るのに使う機械にはエネルギーが必要で、原油高でコストがあがっています。
一層生産にブレーキがかかる。当然でしょう。
◆住宅着工
住宅着工というのは、住宅を建てる時に、建築主から都道府県知事に対して工事の届け出があった戸数を集計したものです。
これは今日(7月31日)発表されたのですが・・・
◆6月住宅着工16.7%減=12カ月連続前年割れ(7月31日17時1分配信 時事通信)
国土交通省が31日発表した6月の新設住宅着工戸数は、前年同月比16.7%減の10万929戸となり、
12カ月連続で前年実績を割り込んだ。
改正建築基準法の施行を前にした駆け込み需要で昨年6月に大きく伸びた反動とみられる。
法改正後に単月で10万戸を超えたのは初めてで、国交省は法改正による混乱が収まりつつあると分析。
一方で、「近年の水準の平均からはまだ見劣りがする」と指摘、景気減速などの影響に懸念を示した。
どうも大新聞、皆なさけないですね。政府広報紙じゃないんだから、
改正建築基準法の施行を前にした駆け込み需要で昨年6月に大きく伸びた反動とみられる
とか(ウソじゃないですけどね)、
法改正後に単月で10万戸を超えたのは初めてで、国交省は法改正による混乱が収まりつつあると分析。
とか、不自然に物わかりが良くて「お上」を立ててますよね。こういう書き方は良くないと思います。
12ヶ月連続で前年同月比マイナスである事実をまず強調するべきです。
◆総括
今まで見てきたように、今週発表された経済指標は全て悪いのです。
日本の景気が後退しているということは、もはや明らかなのですから、
新聞は、まずそのことを強調するべきではないかと思います。
福田内閣はサミット終わってホッと一休み。
今は、内閣改造とか言っていますが、政局ってのは政治家の都合であって、「政治」じゃないのですから、
景気対策、サブプライムローン問題の日本経済への影響などについて、きちんと説明するべきだと思います。
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