JIROの独断的日記 DiaryINDEX|past|will
◆病腎移植を巡る攻防。 腎臓病を患うと人工透析を受けるが、あれは大変な負担なのである。 「透析を受け続ければ、問題ないんだろ?」 と考える人が多いが大間違いで、とにかく気の毒なのは、食餌制限である。 塩分は控えねばならない。腎臓の機能が弱っていて、尿がよくでないから、 酷暑の日でも水分をがぶがぶと思い切り飲むことが出来ない。 タンパク質の取りすぎも(原理は知らないが)腎臓に悪い。焼き肉なんか沢山食えない。 更に、腎臓は血液中の電解質のバランスを保つ機能を持っているが、それが出来ない。 腎臓病患者にとり、電解質バランスが崩れるのは命取りである。 だから、カリウムなどを多量に含む果物もあまり食べられない。例えばバナナはカリウムを多く含むので、 大量に食べたら高カリウム血症になり、極端な場合、命が危ない。 こんな調子だから、長期の旅行も出来ない。美味いものを腹一杯食うことも出来ない。 あなたの学校や職場に腎臓病の人がいたら、「どこそこの店の料理が実にうまかった」 などという話は、その人の前でするものではない。残酷だ。 ◆透析患者が苦痛から逃れるためには移植しかないが、提供者が実に少ないのである。 透析患者が毎週何度も透析に通わず、健康な頃と近いような生活を営む為には、 年齢 血液透析(平均生存年数) 腎移植(平均生存年数) そこで、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師らは病気で取り出した腎臓を、移植する手術を行った。 移植を受けた患者は皆、「病腎移植」でも経過は良好で、誰一人万波医師を訴えていないのに、日本移植学会はムキになって 病腎移植に反対した。 反対している日本の学会とは裏腹に、万波医師らの病腎移植についての論文は、 アメリカ移植学会(ASTS=American Society of Transplant Surgeons)から高い評価を受けた。 その話は、昨年11月に書いた。 万波医師らの論文は最も優れた論文10本に含まれたのだ。 それにも関わらず、リンク先の記事を読んで頂くとわかるが、日本の移植学会は、万波医師らの所属する宇和島徳洲会病院での 腎臓移植は全て不適切と決めつけたのみならず、何と、今年2月、万波医師の保険医登録の取り消しと、 同病院と万波医師の前任地だった市立宇和島病院の保険医療機関指定を取り消す方針を固めた。 ◆記事:病気腎移植:万波医師、保険医取り消しへ 勤務先2病院も処分−−厚労省(毎日新聞 2008.02.13) これがどれほど無茶苦茶な行政処分かわかるでしょう? 私はそうは思わないが(万波医師の移植を受けた患者で万波医師を訴えている人は一人もいない)、 百歩譲って万波医師の手術に問題があったとしても、彼が属していた病院全体を保健医療機関指定から取り消すとはどういうことか。 腎臓病と関係のない患者まで、宇和島病院の外来治療を受けたり、入院している患者は全額自己負担になるのだ。 昨日の記事に書いた中国の医療体制と同じことになるのだ。治療費を払えなくて、治療を諦めざるを得ない人が必ず出る。 こんなことが、わが国であっていいのか。厚労省の決定に正当性は全く認められない。 ◆処分は実行されていないので、保健指定取消の取消を求める署名運動が続いている。 署名の用紙は、宇和島徳州会病院のサイトから署名用紙印刷して署名し、郵送する。 798-0003 とのこと。 改めて書くまでもないが、こういうことは、勿論、各自の自由意思で決定されるべきことだが、 私は、署名を10人分集めました。明日(17日)送ります。 厚労省の宇和島病院に対する処置は絶対許せない。病腎移植は移植の先進国アメリカですら評価されている。 それを、前例がないことはダメ、と言いたげな移植学会と厚労省が、スクラムを組んで邪魔をしている。 そして、あろうことか、全然関係の無い患者まで、医療保険が使えないようにする、という、 陰湿な「おしおき」をしようという。こんなことを一度認めたら、大変なことになる。 後は、読者諸氏のご判断にお任せする。 【読者の皆様にお願い】 是非、エンピツの投票ボタンをクリックして下さい。皆さまの投票の多さが、次の執筆の原動力になります。画面の右下にボタンがあります。よろしく御願いいたします
2006年06月16日(金) FT紙社説翻訳「福井日銀総裁の謝罪」/今晩、NHKで岩城さんの番組があります。
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