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2007年12月26日(水) |
貫地谷しほりという役者は天才である、という確信を抱きつつあります。 |
◆最初は「スウィングガールズ」でした。
以前、「スウィングガールズ」をテレビでやってましたね。実は結構好きなんです。あれ。という記事を書いた。
そのちょっと前に、まだ彼女の名前も知らない頃、なんとは無しに眺めていたドラマ(何だったか忘れた)で、やたらと演技力のある子がいて、驚いた。
女房に、あの子はなんて子だい?と訊ねたら、「貫地谷しほりって子よ。『スウィングガールズ』って映画でトランペットを吹いていた子よ」
という。そのときは、演技よりも「トランペット」で俄然興味を持った。へえ、この子、トランペット吹けるのかい、と。
「スウィングガールズ」にすっかりはまってしまった、という話は上のリンク先を読んでいただきたい。
この映画は五月蠅いことを言えばキリがないが、とにかく私は一度ハマるとすごいことになるので、3枚組のDVDを買って、台本も入手したぐらいである。
しかし、今にして思えば、「スウィングガールズ」で貫地谷しほりさんが一番苦労したのは、トランペットを吹けるようになることであって、
「演技」そのものは、彼女にとって、全然難しくなかったと思われる。多分、児戯に等しかった。
◆演技の多様性。
スウィングガールズにおける芝居は、貫地谷さんには、難しくなかっただろうが、
私はそれでもなお、他の役者に無い、並外れた演技力に何となく気が付いた。もう少し確かめたくなった。
そこで、家内に訊いて、他に彼女が出演したドラマ(又はその一部)を見た。「風林火山」の村娘、「大奥」の柳沢吉保の側室、
そして、現在NHKの朝ドラ「ちりとてちん」でのヒロイン和田喜代美役である。
私は勤め人なので、朝ドラを朝見ることは出来ないが録画して見ている。
こんな事をするのは、数十年の人生で、初めてのことである。
理由は、(当たり前だが)面白い、つまり、脚本が大変良く出来ていることと、ヒロイン役の貫地谷しほりさんの演技に毎回感心するからである。
貫地谷さんの演技の何に感心するかというと、その柔軟性、適応性、多様性、である。
「スウィングガールズ」、「大奥」、「風林火山」「ちりとてちん」ではそれぞれ、シチュエーションが全く異なるのだから、台詞の言い回しから何から、
全く違った演技になるのは、これまた当然なのだが、巷で「名優」とか「大物」とか言われる役者の中には、いつでもワンパターンの演技になってしまう人が
けっこう、いるものである。
「また、その表情かい」
「また、その声色(こわいろ)かい」
「また、そのしゃべり方かい」
と言うことだ。
しかしながら、貫地谷しほりさんの演技力で素晴らしいのは、どんな芝居でも出来てしまうことである。
「また、その表情かい」ということが、無い。泣き方、笑い方、あらゆる表情、セリフの言い回し、毎回全部違う。千変万化である。
彼女は1985年12月12日生まれだそうだ。22才になったばかりである。
演技力がある、ということは、演技力そのものの訓練もあるだろうが、それは「技術」であり、それだけでは芝居にならない。
もっと年をとってから役者になった人なら、非常に色々な人生経験を積んでいて、どんな場面にもその経験が応用できる、という例もあるだろうが、
彼女の年齢でそれはあり得ない。すると、貫地谷さんの場合は、ものすごく豊かな想像力を以て、役に入り込めるということだろう。
私は、その才能は並では無いと睨んでいたが、ここに書くのは、今まで少々照れくさいので、mixi日記に「彼女は天才だ」などと書いて、悦に入っていた。
すると、私の考えをますます確信に近づける発言を読んだのである。
それは、「ちりとてちん」で、喜代美の師匠役を演じている渡瀬恒彦氏のものである。
◆63才の渡瀬恒彦氏に「貫地谷はライバルだと思っている」と言わしめる22才。
「ちりとてちん」をご覧の方は、よく御存知だろうが、これは貫地谷さん演ずるところのヒロインが落語家を目指す、というストーリーであり、
渡瀬恒彦氏は、貫地谷さんが弟子入りした落語の師匠、という設定で、当然、サシの芝居も多い。その渡瀬氏が貫地谷さんを
「この子は一種の天才なんじゃないかな」
と、言っている。これは、NHKの雑誌ステラに掲載された渡瀬氏へのインタビューの中ではっきりと述べている。
あまり、きれいに撮れなかったが、その雑誌をスキャンしたので、ご覧頂きたい。全部で3ページ。
「天才」云々は、2ページ目の左下に載っている。その先もお読みいただきたい。
ダウンロード Stella001.jpg (234.2K)
ダウンロード Stella002.jpg (284.8K)
ダウンロード Stella003.jpg (259.8K)
渡瀬氏は1944年生まれ。今年63才。押しも押されもしないベテラン俳優が、自分の3分の1しか生きていない若い俳優を、
「ライバル」と表現している。このような例を、私は他に知らない。
やはり、私の勘は当たっていたと、気をよくしている。
貫地谷しほりさんがどういう役者になってゆくか、楽しみである。
◆ベートーベン交響曲全曲演奏シリーズ:交響曲第8番 第3楽章 きれいですよ。
この楽章は久しぶりにスケルツォ(速い三拍子)ではなく、通常の3拍子のメヌエット。
冒頭、何拍子か分かりにくいかも知れませんが、アウフタクト、3拍子の3拍目から始まるのです。3/1・2・3/ということです。
中間の「トリオ」という部分、美しいホルンの二重奏があります。何も難しいことはしてません。
1番ホルンは、
ドーレミ/ミーレド/ドミーソ/ソファレ/
です。しかし、2番ホルンとのハーモニーの美しさ。
その後、クラリネットの独擅場ですが、最後、非常に高い音をピアニッシモで吹かなければいけない。
プロなら当然吹けるのですが、まかり間違うと、クラリネットのこういう箇所は「キャッ」というとんでもない音が出るのです。
神経を使うと思います。また、伴奏をしているチェロですが、音が強くなったり弱くなったり、
スフォルツァンド(特定の音にアクセントをつける)が非常に多い。けどそれが独特の効果を生んでいます。
全くベートーベンって人はよくこういうことを考えつくと感心します。では、どうぞ。
ダウンロード BeethovenNo8Third.mp3 (4921.6K)
書き忘れましたが、トランペットとそれに続くティンパニも曲を引き締めていますね。大変効果的です。
それでは、明日はフィナーレ(終楽章)です。
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