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2007年08月24日(金) |
24日は滝廉太郎の誕生日でした。彼は、日本人で初めてピアノ曲を書いた人です。聴いて下さい。他 |
◆滝廉太郎は「荒城の月」だけじゃないのです。
滝廉太郎が生まれた1879(明治12)年というのは、文部省に「音楽取調掛」という、音楽なのか警察なのか分からない、
おっかない名前のセクションが出来た年です。これが、後に、東京音楽学校→東京芸術大学音楽学部になる。
それは余談ですが、要するに、滝廉太郎はそれまで、全然日本人が知らなかった「西洋音楽」を学び、24歳で夭逝したのです。
その短い人生で、よくぞここまで、西洋音楽を吸収出来たものだとおもうのです。
滝廉太郎(1879〜1903)の名前は誰でも知っているけれども、代表作は?と訊かれたら、100人中99人は、
「荒城の月」か「花」(「春のうららの隅田川・・」)を挙げるでしょう。後で書きますが、彼は器楽曲も書いています。
とりあえず、「荒城の月」と「花」について書きます(というか、専ら「花」について)。
これは、全く個人の好みでしかありませんが、私は、「花」が好きです。実に美しい。
何が美しいかというと、ハーモニーが美しい。西洋音楽の三大要素、リズム、メロディー、ハーモニー。
ハーモニーが一番分かりにくい。
滝廉太郎がこれを書いたのは21歳の時です。
同じようなことを繰り返して恐縮ですが、彼より前に、西洋音楽を知っている日本人なんていないのだから。誰からも教わりようがない。
それで、志を立ててドイツ、ライプツィヒ王立音楽院という、メンデルスゾーンが作った学校で勉強しようと思ったら、
すぐに結核になってしまった。
えーと、また話がそれましたが、つまり私が何を強調したいかというと、
滝廉太郎は、極めて限られた時間と学習環境の下ですら、「西洋音楽のハーモニーの美しさ」を
見事に捉えている。やはり、非常な才能の持ち主だったのだろう、と言うことです。
以下は、ご参考まで。「花」は組曲の中の一曲である、という話。
調べて知ったのですが、「花」は、組曲(といっていいのかな・・・)「四季」という四曲のうちの一曲なのです。
「花」「納涼」「月」「雪」という四曲。組曲と呼んでいいのかな、と書いたのは、全部演奏形態が異なるのです。
「花」はピアノ伴奏付きの二部合唱。「納涼」はピアノ伴奏付きの独唱曲。「月」はアカペラ(無伴奏)の混声四部合唱。
「雪」は混声四部合唱にピアノとオルガンの伴奏が付きます。
全部演奏形態が違う。四曲目なんて、西洋音楽でも聴いたこと無い編成です。
色々と試してみたかったのでしょうね。創作意欲の旺盛さが伺われます。
◆日本人が初めて書いたピアノ曲。
滝廉太郎は「荒城の月」と「花」(これらも良いけどさ)だけ、歌ばかり書いていた訳ではない。
これは、留学の成果なのかなあ・・・何しろ、渡航して二ヶ月で病気になってしまったのですから。
まず、何も言わないです。聴いてください。
滝廉太郎作曲「メヌエット」
ダウンロード MenuetoinBminor.mp3 (2100.9K)
この曲は、決して揶揄するのではないのですが、シューベルトとシューマンのピアノ曲を足して2で割ったようなところが有ります。
絵描きを目指す人が、勉強として模写をするように、作曲の勉強も敢えて「誰々ふう」に作ることがあります。
滝廉太郎氏がそんなつもりはない、と怒るかも知れないけど、それはそれでいいのです。
雰囲気は、シューベルトなどに似ているのです。転調の扱いなど、実に見事。例え模倣であっても、
模倣と盗作とは違うからね。盗作ってのはメロディーなどそのまま使ってしまうことです。
「メヌエット」のメロディーは完全にオリジナルで、誰かのを拝借してるわけではない。
大した才能だと思うな。
ウソだと思ったら、貴方、シューベルト風のピアノ曲を一曲書いてご覧なさい。
これは、西洋音楽の楽理をキチンと理解して書かれています。そこまで行くのだけでもどれだけ大変か。
おい。音大生の君。作曲科の君。「おれなら、小学生でこんなの書けた」とか言うなよな。
滝廉太郎は、107年前、日本人として初めてピアノ曲を書いた。これ書いたの、21歳。死の三年前。
レコードも演奏会も何にもない。ゼロから音楽を学び、24年の生涯を音楽への情熱で邁進した。立派だと思います。
◆全然関係ないのですが、8月24日はスッペ(「軽騎兵」序曲の人)の、「詩人と農夫」序曲初演の日。超一流の演奏でどうぞ。
滝廉太郎で終わりにしようと思ったのですが、あまり、しんみりしてしまうので、載せることにしました。
子どもの頃、学校から出かける音楽教室で生のオーケストラで初めて「軽騎兵序曲」を聴いて、非常に興奮しました。
私がトランペットのレッスンを受けようと思ったのは、それがきっかけです。
スッペの序曲は随分ありますが、もう一つ「名曲」を挙げるとしたら、「詩人と農夫」ではないかと思います。
はじめ、4分ぐらいはチェロのソロなどがつづいて、退屈に思えるかも知れませんが、その後、俄然楽しくなります。
毎年元旦にニューイヤーコンサートをやるオーケストラの演奏、指揮は今年ニューイヤーを振った、何とかメータ、という人でどうぞ。
紛れもなく超一流です。
ダウンロード PoetandPeasantMeta.mp3 (9384.8K)
如何でしたか?それでは。また。
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