外国為替証拠金取引
JIROの独断的日記
DiaryINDEXpastwill


2004年08月24日(火) 「大手行への「大口与信管理態勢検査」秋も実施…金融庁」 不良債権は不況の原因ではない。結果なのだ。

◆記事:「大手行への「大口与信管理態勢検査」秋も実施…金融庁」(読売新聞)

金融庁は24日、大手銀行への2004年9月期の特別検査の結果を踏まえて大口融資先の管理態勢をチェックする「大口与信管理態勢検査」を、今春に続いて秋にも行う方針を明らかにした。

 来年3月末に期限が迫った大手行の不良債権比率半減目標を確実に達成するのが狙いで、ダイエーなど大口融資先を抱えるUFJ銀行などが主要な対象とされる見通しだ。

 検査では、不良債権の債務者区分の妥当性を判断する特別検査より、さらに踏み込んで貸出先の引当率(貸し倒れ引当金の水準)などの適否をチェックし、是正を求める。「特別検査を受けた銀行側に、必ずしも十分な対応がとられていない」(五味広文長官)ことから、不良債権処理の“最後の一山”を越えるため、異例の厳しい検査体制をとる。

 ただ、対象となる銀行にとっては、年末近くまでほぼ絶え間なく検査が入ることになり、銀行界からは「過剰検査」との不満が出そうだ。(読売新聞) - 8月24日20時53分更新


◆コメント:不良債権を減らしても資金需要がなければ景気は好転しない。

 

小泉政権は、「改革なくして回復なし」というスローガンにこだわり、マクロの景気動向を軽視し過ぎた。

 小泉首相は、「改革の成果で景気が回復している」と主張する。しかし、小泉政権発足時日経平均株価は1万4千円だった。その後、経済運営の失策により、一時、7000円台にも落ち込んでいる。その後、株価が回復し、ここ数ヶ月は急速な上昇を示しているが、これは、民間の必死の自助努力と、海外投資家が日本の株を買っているからであり、小泉政権の政策の正しさを示す物ではない。


◆小泉政権の政策のどこが間違っていたのか

 

小泉政権以前の5年間の平均成長率は、実質が1.4%、名目で0.5%だったのに対して、小泉政権誕生後の2年間は、実質が0.2%、名目は、なんとマイナス1.4%と大幅なマイナス成長に陥っている。

 この時期は世界的にも景気は悪かったのだが、やはり、小泉政権のマクロ経済の認識と対応が不足していたことは否めない。つまり、現実に不況が進んでいるのに、財政健全化を重視し過ぎて、経済活性化のための予算を配分しなかったのである。景気よりも、まず、財政赤字を重視したということで、その構造改革自体は間違っていないが、タイミングが悪すぎた。

 第2に、構造改革には痛みを伴うものだ、と云っても、程度問題であり、名目GDP成長率ががマイナスになり、株価が一万円を割るような事態に及んでいるというのに、これを放置してしまったことである。

 デフレが進行して、企業収益は悪化し、税収は落ち込み、企業収益が悪化すれば、給料も下がるから、個人消費が減り、モノが買われなくなり、ますますデフレが進行するし、税収が落ち込むから、構造改革は難しくなるのだ。


◆不良債権は不況の原因ではなく結果である。

 

不良債権はこのようなデフレの進行と、マクロ経済の悪化のために、企業の収益が落ち込んだ「結果」である。ところが、小泉政権はこれをデフレの「原因」と考えて、兎に角これを減らすことを至上課題とした。

しかし、不良債権を本当に克服するためには、企業再生のために、政府がカネを使わなければいけないのだが、その抜本的な対策を講じなかった。
 その結果、デフレと不良債権問題は更に悪化したのである。

 小泉政権は、従って、財政赤字の解消と不良債権処理ではなく、経済の活性化に重点をおくべきだったのである。


◆本来、するべき事は何か?

 

だから、今月末から銀行の検査に入って、不良債権処理を銀行に強要することは、折角、必死の自助努力により生気を取り戻してきた景気に、また冷や水をかけることになるのである。

本来あるべき姿は、デフレの克服を至上課題とすることである。そうすれば、企業収益は回復し、税収も増え、財政健全化にも寄与する。また、企業収益が増えれば、給与が上がり、個人消費が回復し、一層、デフレからの脱却が早まる。


2003年08月24日(日) 人は常に目標に向かって努力しなければならないのであろうか。

JIRO |HomePage

My追加