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JIROの独断的日記
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2007年04月24日(火) 「<鳥インフルエンザ>宮崎県対策監死去 がん抱え陣頭指揮」←立派な人だ。

◆記事:<鳥インフルエンザ>宮崎県対策監死去 がん抱え陣頭指揮

高病原性鳥インフルエンザが相次いで発生した宮崎県で、

転移したがんと闘いながらまん延防止対策の“陣頭指揮”に立った県庁マンがいた。

当時、家畜防疫対策監だった浜口定男さんだ。3例すべての終息を見届けるように、

終息宣言の1カ月後、57歳で亡くなった。県は活躍をたたえて今月20日に感謝状を贈り、遺族の労苦をねぎらった。

獣医師資格をもつ浜口さんは72年に入庁した。

家畜保健衛生所など畜産畑を歩み、03年に家畜防疫の実務レベルの責任者である対策監(課長級)に就いた。

浜口さんは04年6月、白目が黄色くなっていることに気づいて診察を受け、すい臓がんが見つかった。

ただちに東京の紹介病院で手術を受けたが、医師は「肝臓に転移していたら余命は6カ月」と告げた。

家族の願いもむなしく、転移が見つかったのは昨年夏。

秋に入院して治療を受け、その結果を聞きに上京する直前の今年1月、

最初の鳥インフルエンザが清武町で発生した。

まん延を防止するには、速やかな養鶏場の消毒や鶏の殺処分などが欠かせない。

浜口さんは病をおして約50人の部下を指揮した。

早朝家を出て夜遅く帰宅する日々が続き、土日も出勤した。

列車で通勤する体力がなくなると、妻尚子(のぶこ)さん(55)ら家族が運転する車で県庁に向かった。

「これがオレの最後の仕事になるなあ。最後まで見届けたい」。

車の中で、尚子さんにそう話したという。

だが、鳥インフルエンザはその後も日向市と新富町に飛び火。

東国原英夫知事の会見には痛み止めの薬を飲んで同行し、専門的な質問に浜口さんが答えることもあった。

このころ、職場の同僚たちは脇腹を苦しそうに押さえる浜口さんの姿を何度か見ている。

周囲を気遣い、家族にも「苦しい」と打ち明けなかったが、2月上旬には歩けなくなって宮崎で入院した。

だが、病床でも鳥インフルエンザが気になり、新聞などのチェックを欠かさなかった。

終息宣言が出た3月1日、見舞いに来た上司らに「また冬が来たら心配です」と語り、

畜産農家への補償が実現するかどうかが気がかりな様子だったという。それから1カ月後、

新築したばかりの自宅で亡くなった。

畜産王国の宮崎。浜口さんは在職中、県内で発生した口蹄疫(こうていえき)対策などに携わった。

最後は鳥インフルエンザ対策に全力を注ぎ、対応の素早さから防疫関係者の間には「宮崎モデル」という言葉も生まれた。

東国原知事は20日、尚子さんを知事室に招き入れ

「我が身を顧みず、職務を全うされた」と感謝状を渡した。

「生きていたら、よくやったねと声をかけてあげたい」。

感謝状を受け取った後、そう語った尚子さんの目は真っ赤だった。

(4月25日9時8分配信 毎日新聞)



◆コメント:多くを語る必要は無い。立派だ。

宮崎県の話題といえば、ここ数ヶ月専ら「東国原知事」のことばかりだが、

浜口家畜防疫対策監のことは、これはもっと報道されるべきだった。

浜口さんは、命を賭して、鳥インフルエンザの感染拡大を食い止める、という任務を全うした。

立派な人だ。

浜口さんがこれほど、懸命に最後まで職務に取り組んだのは、自ら獣医師資格を持つ専門家なので、

鳥インフルエンザの怖さを良く知っていたからだろう。


◆鳥インフルエンザの感染拡大

鳥インフルエンザは鶏のインフルエンザだが、今回世界的に感染が拡大しているのは、

毒性が強いH5N1型ウィルスによるものだ。感染した鶏の肉や卵を食べて人間に感染した例は報告されていないが、

鶏と接触した人が感染することがあり、この場合の死亡率は極めて高い。

WHOが4月2日現在でまとめた資料が厚生労働省のサイトに載っている。

高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)の発生が確認されている国(H19.4.2現在)(PDF:82KB)

見ればわかるとおり、例えばインドネシアでは発症者81人中63人が死亡。

ベトナムでは、93人発症、42人が死亡。

中国では、発症24人中、15人が死亡している。


◆【参考】ベトナムの死亡率は約40%。タミフルによる「異常行動」出現率は、0.0004%。

話がそれるが、タミフルの副作用を無闇にマスコミが煽っている、それについては、

以前、「タミフル服用後に転落死」新聞は徒に不安を煽らず「確率」を正確に伝えよ。で書いたが、

タミフルを飲んで、異常行動の副作用が起きる確率は、私の計算では0.00043パーセントである。

一方、ベトナムを例にとるなら、発症した患者の死亡率は約39パーセントである。

人間が鳥インフルエンザに感染した場合に取られるべき医学的処置については、

国立感染症研究所感染症情報センターの、

鳥インフルエンザ感染が疑われる患者に対する医療機関での対応を読めば、素人でも概略は分かる。

鳥インフルエンザが流行している国から日本へ来た者が、鳥インフルエンザ感染が疑われる症状を呈した場合、

検査結果を待つまでも無く、タミフルを投与しろ、と書いている。

それほどの重大事なのだ。

それなのにマスコミは、起きる確率が0.00043%の、タミフルによる異常行動ばかりをセンセーショナルに取り上げるばかりで、

人間が鳥インフルエンザ(H5N1型ウィルス)に感染したときの「死亡率40%」を国民に教えないのは、どういうつもりなのか。


◆浜口家畜防疫対策監は自らの余命を知りながら、感染拡大を防いだ。

浜口さんは、要するに末期膵臓癌だった訳だろう。

多分、最後は激痛に苦しんでいたに違い無い。

しかし、自らの生命を保たせることよりも、鳥インフルエンザの感染拡大を防ぎ、

宮崎県民のみならず、日本国民の為に尽くした。尊敬する。

故・司馬遼太郎氏による「洪庵のたいまつ」の冒頭を思い出さずにはいられない。

世のために尽くした人の一生ほど、美しいものはない。



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2004年04月24日(土) 「独裁者にとって最も恐ろしい兵器とは、何者かが住民たちに正確な情報を提供してしまうことだ」対北朝鮮情報戦略
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