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2007年02月27日(火) |
「タミフル服用後に転落死」新聞は徒に不安を煽らず「確率」を正確に伝えよ。(加筆) |
◆副作用の無い薬はない。
私が主張したいことは、2005年11月から
変らない。
薬には、主作用があって、同時に副作用がある。副作用の無い薬は、無い。
因みに、有名な「お薬110番」というサイトを眺めていたら、「整腸剤」「ビオフェルミン」には副作用が無かったけれども、
あれは、薬というか、乳酸菌だからね。もともと腸内に存在するものだから、薬のウチに入らんね。
市販されている「新ビオフェルミンS」は、「医薬部外品」だ。
正確に言うと、「副作用が出現する可能性」は、どんな薬にもあるが、
それが各人に出現するかどうかは、飲んでみなければ分からない。
薬と患者には相性がある。
理論的根拠を示す知識も能力も私にはないが、経験則で書いている。
◆「タミフル異常行動」報道の問題点。
これも、2005年11月に書いたことの繰り返しだ。
マスコミは現象(異常行動)の特異性を徒に強調し、
「これで同じような転落死が何人目です」と伝えるが、「確率」を示さない。
つまり、例えば昨年一年間に、タミフルを飲んだ患者は何人いるのか。
その中の何人が異常行動を起こし、転落死に至ったのか。
私は数字に極めて弱い人間で数学なんぞ大嫌いだが、
常識でかんがえても、劇的な副作用が出た人数だけをつたえても意味がないのは明らかである。
先に述べたとおりどのような薬にも副作用があるのだから、問題は、タミフルの場合、
精神錯乱のような重大な副作用が起きる可能性が、他の薬に比べて特別に高いのか、否か、である。
最近の数字は見つからないので、20005年に書いたときの記事を見る。
厚労省関連の独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」には、00〜04年度に、服用後の幻覚や異常行動などが延べ64件報告されている。
5年間でのべ64人の比較的深刻な副作用が報告されている。
さて、日本全体では、どれぐらいの人がタミフルを飲んでいるのか。
タミフルはスイス・ロシュ社が開発した。ウイルスの増殖を妨げ熱がある期間を1日程度縮める効果がある。
国立感染症研究所の医師によると日本での年間販売量は1500万人分で、世界の8割以上を占める。
販売量が1500万人分、といっても、その全てが使われたわけではないだろう。
小樽市保健所が翻訳してくださっている<WHO疫学週報 Weekly Epidemiological Report>
ページ内をCtrl+Fで「タミフル」を検索してください。
こう書かれている。
日本では、2003-2004に600万人がタミフル服用。
つまり、ごく大雑把にいうと、転落死するほどの異常行動だけではなく、
幻覚なども含めた「重大な副作用」が報告されているのは5年間で64人。1年に平均すると約13人。これが分子。
全体でどれぐらいの日本人がタミフルを飲んだかというと、異常行動の64人の時期と完全に一致していないが、
1年間で約300万人。これが分母。
統計学的、疫学的な知識は私には皆無なので、その点ご承知置き頂きたいが、
重大に副作用が起きる確率は、300万分の13。では、いけないの?
これで良いのだとすると、0.00043パーセントですわ。
飛び降りるとか、道に飛び出すという、「錯乱状態」が起きる確率は更に低くなる。
鳥インフルエンザが人に感染した場合、感染者の死亡率は70パーセントと言われているが、
発症後48時間以内に朝夕1カプセルずつ5日間タミフルを使用すれば、ウィルスの増殖を抑制する、とのこと。
だから、マスコミがタミフルの0.00043パーセントの確率で起きる重大な副作用「だけ」を強調するのは、正しくない。
無闇に怖がって、感染者が薬を飲まないと、伝染病ですからね。世の中全体が迷惑するのである。
重大副作用が出たらどうするか? 運が悪かったと諦めるしかない。
因みに、風邪を引くと医者がごく普通に処方するPL顆粒という薬があるでしょう?
あの薬ですら、「重大な副作用」には「精神錯乱」が含まれている。
いちいち怖がっても仕方がない。
◆【追加】「あるブログのバカ」にされてしまいました。
先日、柳沢厚労省の発言を巡って、意見が合わなかったときから、徹底的に毛嫌いされているようです(笑)。
タミフルに関して、kabumasaさんのブログでは、
怪しきは使用せずが国民の健康のために当然ではないのか。
と書いておられます。正確な副作用の確率など出る訳がない。何故なら、
タミフルによる副作用であってもそうとは考えずに死亡までは至らないものはいくらでもあるだろう。
というご趣旨。正確を期すために、kabumasaさんの全文を読んでいただきたいですが、
確かに、おっしゃることはごもっとも。しかしながら、
「タミフルによる副作用であってもそうとは考えずに死亡までは至らないもの」
はいくらでもあるだろうというのであれば、他の薬だって同じ事ですよね。
「怪しきは使用せず」という方針を厳密に貫いたなら、
タミフルのみならず、「死に至らない副作用」が出る他の薬まで、使用禁止にするべきです。
治療薬マニュアルか、今日の治療薬をご覧になると分かります。
殆ど全ての薬には、「重大な副作用」が載っています。
これらがつかわれているのは、副作用が出たことはあるが、確率的には、問題が無い場合の方がはるかに多いからです。
タミフルもそのように、客観的に重大な副作用の出現率を考えるべきだ、というのが私の主張です。
◆kabumasaさんのブログにコメントとして書き込んだ内容。
【コメント】(一回目)
kabumasaさん、こんにちは。「あるブログ」の「バカ」です。
JIROの独断的日記ココログ版のJIROです。
報告されない程度の軽い副作用は、生命に関わらないのだから、全部を把握できなくても問題は無い。
マンションから飛び降りる、などの「重大な」副作用が起きる確率はどの程度なのか、を報じなければ、徒に一般人の不安を煽る。
その所為で、飲まなければならない薬を必要な時に飲まない方が危険だ、ということを書いたのです。
【コメント】(二回目)
kabumasaさん、こんばんは。
>副作用で死亡という事態は副作用の言葉の範疇をすでに越えているのです。
厳密に言うと、患者の異常行動とタミフルの因果関係は証明されていないのではないでしょうか?
同じような例が複数、報告されているから、
「タミフルの服用と、異常行動との間に因果関係があるのではないか?」
という仮説が存在するのが現状です。
また、タミフルはおっしゃるとおり、ウイルスを死滅させるというよりも、
タミフルの持つ酵素、ノイラミニダーゼにより、インフルエンザウイルスが感染した細胞から解離し、
他の細胞への感染を防ぐ。つまり増殖を抑える作用を持ちます。
鳥インフルエンザのうち、ヒトにも感染するH5N1型にタミフルが完全に有効かは分かりません。但し、有効例も報告されている。
タミフルを飲まずにいることの問題は何か。
人間に感染した鳥インフルエンザウイルスが増殖を繰り返し、その間に変異を起こし、
ヒトからヒトへと感染する、新らしいタイプのウイルスになるかも知れない、ということが、危惧されているわけです。
この場合、全く新しいウイルスなので、ワクチンも抗ウイルス薬も無いので、
死者数が爆発的に増えることをWHOや世界の公衆衛生関係者は警戒している。
各国がタミフルの備蓄を薦めているのは、
突然変異が起きる前、H5N1型に感染した患者の体内でのウイルスの増殖防止にタミフルが有効だ、と判断しているためです。
普通の風邪ならば、寝ていればいいのですが、H5N1型感染者は、下手をすると新型ウイルスを発生させてしまう可能性がある。
だから、タミフルを飲まないでいい、という訳にはいかないのです。
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