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2005年02月27日(日) |
堀江氏は新しいメディアの使命などということは、全く考えていないことが「江川紹子ジャーナル」で確認された |
◆江川紹子さんのblogは大変、興味深い。
江川紹子さんときて、ピンとこないような人は、駄目。
オウム真理教に世間の関心が向くようになり、その詳細まで知ることができるのは、この女性の執念の取材のおかげである。
江川さんが住んでいるマンションに、郵便受けから、何かガスを発するビンが投げ込まれたこともあり、勿論オウムの仕業だったのだが、要するに、江川さんには生命の危険すらあったのだ。
彼女はそれでもひるまず、真実を追究し、それでありながら、感情に身を任せて激昂することも無く、ひたすら客観的な報道を実践した。
この人は、日本有数の優秀なジャーナリストである。
最近まで知らなかったが、その江川紹子さんのWebサイトがある。
「江川紹子ジャーナル」というのだが、リンクを貼っていいか分からないので、検索してください。簡単に見つかります。
◆江川紹子さんが2月10日に堀江貴文氏にインタビューしている。
その江川さんが、今、日本中で一番話題に上っている個人ではないだろうか。あの堀江氏にインタビューした記録がそのまま「江川紹子ジャーナル」に載っている。
結論から述べる。
堀江氏にマスメディアの経営を任せるべきではない。
◆素人に記事を書かせて、Webに掲載し、アクセス数が多い記事だけ、新聞にするのだそうだ。
すでに、ライブドア・ニュースのページを見ると(PJニュース)という部分がある。
PJとは「パブリックジャーナリスト」だそうで、聞こえが良いが、要するに、取材とか新聞記事を書く訓練を受けたことがない、一般市民、素人である。
江川紹子さんが、堀江氏に真意をただしたところ、将来的にはこれが、ライブドアが発信するニュースの軸になるらしい。
そして、この「素人が書いた記事」の中で、アクセス数の多い順番から、紙の新聞に載せるのだそうだ。
次の一言が、すべてを物語っている。
「人気がなければ消えていく、人気が上がれば大きく扱われる。完全に市場原理。我々は、操作をせずに、読み手と書き手をマッチングさせるだけ」
◆「何を伝えるべきか」という考え方は、メディアの「思い上がり」なのだと、堀江氏は云う。
堀江氏によると、「報道の使命」なんてものはメディアの思い上がりで、ユーザーの関心の高いものだけが、新聞への掲載の基準となるのだそうだ。
きっと、毎日、芸能、スポーツ、せいぜい株価だけが記事になるね。
堀江氏の考え方にのっとってマスメディアを運営したら、どういうことになるか。
きっと、イラクで戦争があり、まだ武力衝突が続いていることも、アメリカの大統領が誰なのかということも、国民は知らない、という世の中になるだろう。
憲法が改正されて、徴兵制が始まっても、政治に関心がある人はすくないから、記事にならない。したがって、何も分からない。そのうち、日本の総理大臣が交替しても、誰も知らないということになるだろう。
今なら、きっと、「あびる優」の取り調べ状況などが毎日の新聞のトップ記事になるのだろう。
◆大衆が興味が無くても伝えなければならないことがある。
一般市民は、政治なんか、興味がないから切り捨てる、と、堀江氏はいうのだが、伝えれば興味を持つ人がいるかもしれないのに、伝えなければ、興味のもちようがないではないか。
さらに、環境問題など、永久に記事にならないだろう。
私が何回も書いている地球温暖化、その対策の一つとしての京都議定書に関する情報など、人類の存亡に関わることなのに、堀江氏の方針によれば、大多数の国民はそんなこと、関心がないから、切り捨てるのだろう。
環境問題が切り捨てて良い問題だ、という考え方には、私は、絶対賛成出来ない。
◆使命感の無い人間にマスコミを任せることは危険である。
このように、ちょっと考えればわかるとおり、堀江方式で、「アクセス数の多い情報だけを大きく取り上げる」、報道は、マスコミの本来的な使命を完全に放棄している。
ニッポン放送の株の買い方に問題があったかどうか、というのは、テクニカル(技術的)な問題である。
より大きな問題は、堀江氏の思想が、マスコミの本質から逸脱している、、という事実なのだ。
以上の理由により、私は、堀江貴文氏は、マスコミに進出するべきではない。と考える。
2003年02月27日(木) やってみせ,言ってきかせて,させてみせ,ほめてやらねば,人は動かじ。 (山本五十六)