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JIROの独断的日記
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2007年02月09日(金) 受験生へ。“Cry now.Play later.”(「今泣いて、後で弾け」イワン・ガラミアン=バイオリン教師)/アルビノーニ:トランペット協奏曲

◆イワン・ガラミアンというジュリアード音楽院のバイオリンの先生です。

先日、シューベルトの誕生日(1月31日)付の記事で、YouTubeの映像紹介しました。

ここでバイオリンを弾いている太った人が世界的なソリストのパールマンという人で、

となりでビオラを弾いているのは、同じくバイオリンのソリスト(バイオリニストは練習すればビオラも弾けます)でズッカーマンといいます。



この二人だけではありませんが、世界的なバイオリン・ソリストを大勢輩出した、ジュリアード音楽院のバイオリン教師がいました。

イワン・ガラミアン教授です。



怖いので有名で「イワン雷帝」(旧制ロシア帝国の皇帝。暴君として悪名高い)とあだ名を付けられていました。

とっくに故人となっていますが、レッスンの厳しさは有名だったようです。

前回のレッスンで注意されたところが直っていないと、"Leave!"(帰れ!)と来る。

この先生に習いに来るような学生は既に充分上手いのですが、

楽器の構えとか弓の使い方(運弓=うんきゅう。ボーイング。)が気に入らないと、徹底して基礎からやり直し。

曲なんか弾かせて貰えない。半年間、開放弦でボーイングの練習だけ、させられたとか。

いろいろな伝説があります。


◆「今泣いて、後で弾け」

"Cry now.Play later."(今、泣いて、あとで弾け)

とは、
「曲の練習は後で良い。基礎が出鱈目だったり、いい加減だと絶対に上手くならん。」

そして、
「基礎が身についたら、とにかく出来る限り高度なテクニックを習得しろ。今は辛いだろう。しかし今、泣くほど辛い練習に耐えれば、後でどんな曲でも弾けるのだ。」

という意味です。


◆受験勉強は、“Cry now.”なのでしょう。

学生の頃は、文化系なのに何故、物理や化学を勉強するのだ、とか理系なのに古文なんか要らないよと思うでしょう。

確かに、直ぐに必要じゃない知識もあるけれど、もし、高校で習ったことを全て覚えていたら、大変な教養人です。

後で世の中が非常に面白くなると思います。



私など環境問題について書くときには、もう少し真面目に化学・物理を勉強しておけば良かったと思うし、

金融派生商品(デリバティブ)を本当に理解するためには、数学が不可欠です。



私が学生だった頃から、

「日本の学校教育は知識偏重の『詰め込み教育』で、思考力の訓練が足りない」

と言われていたのですが、それは間違いだったと思います。

「詰め込み教育」でいいのです。「詰め込み」方がまだまだ甘かったと思います。


知識はバイオリニスト(及び演奏家一般)で言えば「テクニック」です。

テクニックが無ければ、「音楽的に表現したい」ことを音にして表現できない。

一般人なら、「知識」がなければ「思考」などできません。

知識がないと「感情」「感覚」に頼るしかない。それはしばしば、誤った結論を導きます。

合格した人は大学の専門課程のみならず、教養課程でやることをバカにしないことです。


◆私は、予備校時代に教わったことが今でも役に立っています。

今からこんな事を書くのも失礼ですが、万が一不合格の時には「浪人」ですけど、予備校に通うことは貴重な経験です。

ご両親は多少心配でしょうが、高校時代の知識を定着させる時間が出来た、と思えば良いのです。



私は一浪して「代ゼミ」に通いましたが非常に楽しかった。

全国から色々な人が集まっていて、大変ユニークだし、先生がた(今の先生は存じませんが)の教え方がものすごく上手かった。



そして直接的に「受験」に関わることではないけれど、様々な貴重なことを教えて頂きました。

英語の先生からは、同時通訳者の國弘正雄先生が提唱する「只管朗読」

(意味を理解した英文をただひたすら繰り返し、音読する)という方法の存在を教わりました。

その後大学に合格してからもずっとこれを続けたおかげで(英会話学校に行ったことは全くありません)、

後にロンドン駐在となった時、英語には困りませんでした。



国語の先生は、すごく頭の切れる人気講師でしたが、
「文章を本当に理解しようというときには、筆写してみると良い」

と、驚くほど地道な方法をアドバイスを受けて感嘆しました。



更に(今の「代ゼミ」では、あるかどうか分からないのですが)、当時は「特別教養講座」というイベントがあり、

勿体ないほど高名な先生のお話を聞くことが出来ました。どの先生も大変真摯に話してくださいました。



例えば、フランス史・フランス革命研究の権威、京大の故・桑原武夫先生。

「学者とはこういうものか」と思わずにいられないほどの学識・見識でした。



そして、平山郁夫画伯。

言うまでも日本を代表する大画家(東山魁夷、加山又造両画伯とともに、日本の「三『山』」と言われます)です。

あの平山郁夫先生が、シルクロードのスライドを映しながら、説明してくださいました。

それも素晴らしかったけれど、私は平山先生の謙虚なお人柄に感動しました。



最初、演壇に立っておられたのですが、スライドのときには、座った方が具合が良さそうだというので、

予備校の事務方の男性がが女性の事務員に椅子を持ってこさせたのです。



こういうとき、偉そうにする人が多いものです(社会に出ると良く分かります)が、

平山先生は、椅子を運んできてくれた女性事務員に

「あ、恐れ入ります。」

とおっしゃったのです。この一言で私は平山先生を尊敬するようになりました。



何だか「予備校礼賛」みたいになってしまったけど、勿論合格を目指していただきたい。

ただ、仮に浪人しても、そんなに大変な事じゃないですよ、為になるよ、と言いたかったのです。


◆音楽:アルビノーニのトランペット協奏曲(モーリスアンドレ)

つい先日、アルビノーニのオーボエ協奏曲ってのは本当に綺麗ですよ。を書いたばかりですが、

今日はトランペット協奏曲です。

何度も紹介している、不世出の名手、トランペットのモーリスアンドレが、アルビノーニのトランペット協奏曲を演奏しています。

これは原曲は多分オーボエか、バイオリンです。

アルビノーニの作品ってのはあまりよく整理されていないので、作品番号など不明なのですが、とにかく素晴らしい。



のびやかな美しい音でゆったりと旋律を歌う第一楽章です。



エンピツをお読みの方、恐縮です。こちらからお聴き下さい。


第二楽章はアレグロで「これぞ、モーリスアンドレ」と言いたくなる抜群のテクニックを披瀝しながらも、音楽的です。

非常な高音でも音の柔らかさが保たれ、「狂う」と言うことを知らないのか?といいたくなるほど、正確な音程。

ピッコロトランペットは(トランペットに限りません。管が短くなるほど音程は狂いやすい)音程が難しいのです。



エンピツをお読みの方、度々恐縮です。こちらからお聴き下さい。



非常な名演だと思います。

それでは、また。

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2005年02月09日(水) 北朝鮮とサッカーやっている場合じゃないでしょう。 郵政民営化が何故、拉致問題より上位なんだ。
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