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2006年09月13日(水) |
「小泉政権経済政策検証」(第3弾) |
◆【前回までの復習】「小泉改革」の失敗を米国のシナリオで救済された可能性が非常に高い
前回までの復習をすると、小泉改革は緊縮財政と不良債権処理を柱として進めてきたが、竹中金融相が「潰れる銀行は潰す」と発言し、
それ以前、小泉首相が青木建設の倒産を「改革の効果が出てきたのではないか」などといいう、とんでもない発言を無邪気に行った結果、
株価は2001年、小泉首相就任当時の1万4千円台から、2003年には7,000円台まで下落し、りそな銀行が潰れそうになり、金融恐慌寸前までになった。
はっきり言って、小泉首相と竹中金融相は真っ青だったはずである。
そこに、預金保険法第102条第1項第1号措置を使えばいいじゃないか、という案を持ちかけたのは、多分アメリカであったいう、「仮説」が成り立つ。
◆だとすると、小泉首相にとって米国は大恩人
本来、2003年4月以降、りそなを救済しなかったら、金融恐慌に陥り、小泉内閣は総辞職だけでは済まされず、
「戦後最も愚かしい経済政策を断行した政権」として歴史に汚名を残すところだったのを、アメリカのアイデアにより救われた。
となれば、当然小泉首相にとってアメリカは「大恩人」である。
同時期、2003年3月、イラク戦争が始まった。
世界で最初にこの不法な武力行使を支持する、と発言したのは日本の小泉首相である。
この後、イラクへの自衛隊派遣の為のイラク復興支援特別措置法を強行採決し、のちに実際自衛隊を派遣したことや、
一旦は禁輸とした米国産牛肉が明らかに危険であるにもかかわらず、十分な検証もないまま輸入を再開したり、妙に行動が素早いのも頷ける。
◆責任ある当事者の責任を問わなかった、ということ。
しかしながら、現象面以外に重要なのは、りそなを救済したことにより、
経営者のみならず、それまで状態を放置したりそなの株主は責任を問われるどころではなく、逆に株価が反発したことにより利益を得る。
すなわち金融行政の根底にあるべき「責任ある当事者の責任を問う」ことを放棄したことが問題なのである。
北欧でも米国でも金融危機が訪れたことがあったが、この際政府は金融システムは守る。預金者も保護する。
しかし、処理は経営者(責任ある当事者)にとらせる、という方針を貫いている。
アメリカでは1980年代に「S&L(貯蓄貸付組合)危機」という事態が起きた。
S&Lとはsaving and loan association という住宅用不動産の抵当貸し付けを専門とするアメリカの小規模の金融機関である。
1980年代の規制緩和に乗じて、不動産関連融資やジャンクボンド債(利回りは高いが、債券としての信用性は低い債券)投資をやりすぎて、
何百というS&Lが経営危機に陥り、229社が倒産した。このときは、預金保険期間による支援合併や清算により、処理が行われたが、
この後経営者に対する刑事訴追はすさまじく、何千人という「責任ある当事者」が刑事被告人として逮捕された。
一番すごいのは、私は会社名を忘れたが、経営者が懲役二百何十年の判決を受けた。
アメリカの刑事裁判の判決で殺人などの凶悪犯罪に対して「懲役何百年」という判決が下ることがあるのは周知のとおりだが、
「金融機関(それも小規模の「信用組合」のようなもの)を破綻させた罪」に対する判決としては、極めて重い。
◆それの何処が問題なのか。
日本人は結果論に陥る傾向が強い。
「小泉改革が失敗しようが何であろうが、兎にも角にも金融危機は回避され、りそなの社員は失業せずに済み、預金者は守られ、株式市場は反転、急上昇を始めた。良いじゃないか」
という結論になってしまう。ところが、こういうことをしていると、どうなるかというと、市場参加者がタルんでしまうのである。
つまり、金融危機に陥っても国は金融システムを守るし、「責任ある当事者」の責任を厳しく追及しない(誰も追及されない訳ではなく、
りそなの場合なら経営者ら、ごく少数が「生け贄」にされて終わる)のだ、という経験則を得てしまう。
罰せられないとなると、とりあえず経済の実態はどうであれ、上がるもの(株・不動産・債券その他諸々)を買っておけ、という輩が増え、
金融機関はそのような投資に積極的に融資をし始める。これこそ、「バブル」である。
日本は、90年代以降、バブル崩壊不況を経験したばかりであるのに、ホリエモンや村上ファンドのような奴が出てきたのは、
2003年4月以降の政府の処理のやり方が直接、又は唯一の原因ではないが、一因となっていることは、間違いないと思われる(続く)。
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