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JIROの独断的日記
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2005年09月13日(火) 選挙分析 得票数は自民47% 民主36% なのに議席数4対1! 小選挙区の最大の欠点=死票の多さ。

◆記事:衆院選 得票率、自民47%/民主36% なのに獲得議席4倍

 

 今回の衆院選小選挙区の有効投票総数のうち自民党候補の得票の占める比率は47・8%、民主党候補は36・4%であることが毎日新聞の集計で12日、分かった。

 自民党は定数300の小選挙区で7割以上にあたる219議席を獲得、民主党は4分の1以下の52議席にとどまっており、得票率以上に議席数に差がつく小選挙区制度の傾向をまざまざと映し出した形だ。

 今回の選挙の小選挙区の総有効投票数は、約6806万票。自民党の得票数は全国総計で、3251万票余り。一方、民主党は2480万票余。

 しかし、当選者が1人の小選挙区制度では、次点以下の候補者に投じられた票は、惜敗率として比例代表の復活当選に反映される以外は「死票」となる。

 当選者が2人以上の中選挙区制と比べ、得票率と獲得議席のかい離が大きくなる特徴を反映、議席数で4倍以上の差がついた。

 象徴的なのは東京都のケース。都内25小選挙区の有効投票総数のうち自民党候補は約50%、民主党候補は約36%の得票だったが、獲得議席数は「23対1」だった。毎日新聞 2005年9月12日 東京夕刊


◆お礼:皆様、メール、コメント、TB、有難うございます。

 

 はじめに申し上げます。

 ENPITU日記才人(この2つは実質同じですね)、JIROの独断的日記ココログ版JIROの独断的日記エキサイト版、それぞれの読者の皆様から数多くのメール、トラックバック、コメントを頂き、全ての方から、激励のお言葉を頂戴しました。

 個別のコメントなど返させて頂きますが、遅くなるといけませんので、まずはこの場にて

 心より、御礼申し上げます。皆様からエネルギーを頂戴いたしました。



 日記才人経由で駄文をお読み頂いている自然如様は、花鳥風月のみならず、時事風俗も巧みに和歌にお詠みになる方で、私はいつもその日本語の美しさに感嘆していますが、本日は、大変ご親切なメールと共にリンクのお申し出のみならず、恐縮にもバナーまで作って下さいました。

 有難うございます。ENPITUからではリンク出来ない(私が、技術的に。)ので、ココログから、リンクさせて頂きたいと存じます。



 これからも、ますます、小泉首相・与党のみならず、広く世間に目を向けて書いて参りたいと思います。

 音楽の話も、です(今は、毎コンの最中です。実は身内の娘がヴァイオリン部門に出ます。私は、自分が出る訳でもないのに、緊張しております。こんな事ではプロになどなれなかったのも当然です)。


◆コメント:議席獲得数の差=得票数の差ではない。錯覚だ。要するに自民対民主=5対4じゃないか。

 

 この毎日新聞記事は、なかなか、良い。

 というか、本当は、他の新聞だって政治部ならそれぐらい気がついているだろうに。書きなさいよ。各紙とも、「自民圧勝、民主惨敗」ばかり書くからうっかり見落とすところだった。

 勿論、実際に国会で効力を有するのは議席数だから、圧勝、惨敗と言うのは、間違いではない。

 しかし、昨日、自民の超地滑り的勝利(英語でいうと、Landslide victory)にショックを受けた人の多くは、

「日本人の3分の2は自民党に入れたのか!」

 という気持ちだったのではないか。

 どの新聞を見てもテレビを見ても、自民圧勝、民主惨敗と書いてあるから、つい、そのとおりだと思いこむ。

 だが、物事を一面的にとらえると、判断を誤る。とにかく、記事をよく読んで下さいよ。3分の2が自民党に投票したのではない。

 得票率は自民対民主が47%対36%。

 大雑把に言えば、5対4ではないか。


◆選挙区制の変遷。

 

 小選挙区とは一つの選挙区から1人しか当選者を出さない。つまり、議員の総定数と等しくなるように、国全体を分割する方式。

 今の衆議院総定数は480議席だが、1994年の公職選挙法改正により比例代表併用となったので、480議席のうち、300議席が小選挙区で選出される。

 その前は、中選挙区(大選挙区という云い方もあるが)制がずっと日本の選挙制度だった。

 これは一つの選挙区から3人〜5人の当選者を出す。すると同じ選挙区に同じ党から複数の候補者が出る。

 こうなると自民党派閥全盛期だったから、選挙=党内派閥争いの場、であった。

 派閥を拡大しようとして、ボスがカネをばらまく。とにかく選挙にはやたらとカネがかかる。金集めが上手い田中角栄が最大派閥になったわけである。

 実際、中選挙区だと面積が広いから、走り回らなければならず、カネがかかる。

 しかし、色々な民意を反映させることが出来る、というメリットがある。


◆小選挙区制の採用と特徴。

 

 小選挙区制を採用するようになったのは、そのほかに、中選挙区だと農村部と都市部では農村部に多くの議席を配分していたので、

 一票の価値に不平等が生じ、憲法の保障する法の下の平等に反するという判決が出たからだ。

 小選挙区だと、一つの選挙区は小さいから、さほどカネはかからない。

 だが、小選挙区の最大の欠点は死票が多くなるということだ。

 今回の選挙は、それが、もろに出た。謂わば、「小選挙区制のレバレッジ効果」。

 レバレッジは「梃子(てこ)」の意。先物取引とか、外為証拠金取引などの金融商品の分野で、この言葉をよく使う。

 私のブログには「自分も自民に入れたが、ちょっと自民が取り過ぎかな、と思った」というコメントを書いた方がいらっしゃるぐらいなのである。

 毎日新聞の記事にあるとおり、甚だしいのは、東京で、得票率では、自民対民主=50対36、なのに、議席数は23対1。


◆「圧勝、惨敗」はこの選挙制度の「特徴」なのだ。

 

 ちょっと風向きが変れば、どうなったか分からないのである。

 繰り返して書くが、得票数は自民:民主=47:36なのだ。

 今回は、小泉君というキャラがいたからいいけど、次の国政選挙にはいない。

 今回のように郵政民営化一本だけでというわけには行くまい。


◆だから、黙ってはいけないのです。

 

 ココログで、小泉圧勝を嘆く暇は無いという、大変力強いTBを頂戴した。

 太平洋戦争前は、軍部独裁を目の当たりにして、国民が黙ってしまったから、軍人がますます勢いづいたのだ、と。

 なるほど。仰るとおりだ。

 これまで通りガンガン書くぞ。昭和初期にはブログは無かった。

 今は、ある。この差は、大きい。 


2004年09月13日(月) 人にものを教えるのは専門的技術である、ということがよく分かるお話。
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