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2006年08月03日(木) |
「サヴァリッシュ 管弦楽名曲集2」これは、贅沢なCDですね。 |
◆ウォルフガング・サバリッシュという指揮者。
長い間、N響を振りに毎年、日本に来てくださった名指揮者です。
何処が名指揮者か、などと私ごときが説明するのは、僭越過ぎるので、書きません。
1923年(大正12年)ドイツ・ミュンヘン生まれ。1947年(昭和22年)、アウグスブルグで「ヘンゼルとグレーテル」(というオペラ)を指揮してデビュー。
1953年(昭和28年)、史上最年少でベルリン・フィルを指揮したすごい方なのです。
N響は1964年(昭和39年)に初めて振って、3年後には、N響名誉指揮者。名誉指揮者だったのが、1967年〜1994年。
◆私にとってはずっと「サバリッシュ先生」なのです。
私が物心ついて、「オーケストラ」に魅せられ、夢中となった頃、サヴァリッシュ先生が丁度全盛期だったのだと思います。
私は、子供心に「この指揮者はただ者ではない」、と理由は分かりませんが思ったのです。
それからは、殆ど崇拝に近いです。「サヴァリッシュ先生」なのです。30年間、ずっと尊敬しています。
サヴァリッシュ先生がNHK交響楽団を毎年指揮してくださったので、私は本当の「正しい演奏」
(それは、ひとつのスタイルとは限りませんが・・・、そのことを書き出すと長くなるのでここでは割愛いたします)、
「品格のある演奏」「本物の指揮者の姿」を、知ることができたと思うのです。
その時は分からなかったけれど、後になって顧みると、そして、今だって何処まで分かっているか怪しいものですが、
サヴァリッシュ先生がいらっしゃらなかったら、これほどオーケストラを好きになったか、分かりません。
勿論、コンサートにも何度も行きました。先生の音楽をじかに聴けて幸せでした。
「でした」、と過去形で書くのは失礼ですね。
先生はご存命なのですが、3年ほど前に来日なさったとき、テレビで見ました。
かつてのあの颯爽とした、世界一美しい棒(指揮の動作が美しい、という意味です)は見る影もなく、
信じられないほど、弱っておられました。あまりにも悲しくて私は、ボロボロと泣いてしまいました。
サヴァリッシュ先生だけでなくて、当時のN響の名誉指揮者の顔ぶれはものすごいのです。
スウィトナー、マタチッチ、ホルスト・シュタインですからね。
どうしてこれほどの名指揮者を日本に呼ぶことが出来たかというと、N響と国立音大の産みの親、有馬大五郎というえらーい先生がおられたからです。
ウィーン音楽院でカラヤンと同級生で(有馬先生は、作曲を習ったそうです)完璧なドイツ語を話された、教養人です。
この方の話は長くなるので、また、改めて書きます。
(因みに、岩城宏之さんは、有馬先生を主人公にした「チンドン屋の大将になりたかった男」という小説(?)を書いています)。
◆「サヴァリッシュ 管弦楽名曲集2」楽しい音楽も、優れた指揮者と上手いオーケストラが真面目に演奏して、初めて楽しく聞こえる。
前半はちょっとしんみりしてしまったので、少し気分を変えて書きます。
本日、お薦めするCDは管弦楽名曲集2です。
1もあるのですけど、個人的な好みで管弦楽名曲集2から紹介させてください。
演奏しているのはサバリッシュ先生が音楽総監督を務めていた、バイエルン国立歌劇場管弦楽団という、押しも押されぬ超一流オーケストラです。
曲目が実に楽しい。これは、実際聴きましたけど、もう絶対楽しい。100%楽しい。
- スッペ: 《軽騎兵》 序曲
- エロルド: 《ザンパ》 序曲
- スメタナ: 《売られた花嫁》 序曲
- スッペ: 《詩人と農夫》 序曲
- オッフェンバック: 《天国と地獄》 序曲
- ヴォルフ=フェラーリ: 《マドンナの宝石》 間奏曲第1番
- ベルリオーズ: 劇的物語 《ファウストの劫罰》 〜ハンガリー行進曲
- シャブリエ: 狂詩曲 《スペイン》
サヴァリッシュ先生がこういうポピュラー名曲を演奏するのは珍しいのです。
このCDを出した後、先生は、N響で殆ど同じようなプログラムを組んでくださいましたけど、楽しかったなあ・・。
先生はこういう曲を演るときも、全然真面目なんです。
多少遊び心はあるけど、軽い曲だから手を抜くというか、詰めを甘くするというところがないのですね。
だからこそ、聴いている方も、楽しいのです。
聴くと弾くとは大違い。聴いて楽しい音楽が、演奏する側にとって易しい、という訳ではない。しばしば、その逆です。
修練と経験を積んだ指揮者とプレーヤーが真面目に演奏してくださっているからこそ、聴いている私たちが楽しくなれるのだ、
ということが分かったような気がします。私のような凡才には、それしか、書きようがありません。
ご専門の方、気分を害されたらごめんなさい。素人の戯言と思ってください。
くどくなりますけど、このCDに録れてある曲は、ただでさえ楽しい曲ばかりなのです。
それを一流の指揮者とオーケストラが音楽家が本気で演奏すると楽しすぎて感動します。
サバリッシュ先生、有難うございます。一生、聴きます。
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