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JIROの独断的日記
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2006年07月07日(金) 「<北朝鮮ミサイル>「基地攻撃能力は持つべき」額賀長官」←防衛庁長官、「防衛白書」を読んでいませんね?

◆記事1:<北朝鮮ミサイル>「基地攻撃能力は持つべき」額賀長官

額賀福志郎防衛庁長官は9日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け、ミサイル基地への攻撃について「独立国として憲法の範囲内で国民を守るために限定的な能力を持つのは当然」と述べ、

自衛隊が敵地への攻撃能力を持つことを議論すべきだとの考えを示した。東京都内で記者団に語った。

ただ、「こういう事態が起こってすぐに結論を出すべきものではなく、与党の中でよく議論してもらいたい」とも語り、慎重に検討すべきだとの認識を示した。

また、「現状では日米同盟があり役割分担をしている。敵地への攻撃は米軍が行う」と説明した。

麻生太郎外相も同日、NHKの番組で「今の状況を考えた場合、国民の安全を守るためには(自衛権の範囲内でのミサイル基地攻撃は)間違いなく正しい」と語った。

政府は56年、当時の鳩山一郎内閣が「我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、他に手段がない場合、必要最小限度の措置を取ること、

例えば誘導弾等の基地をたたくことは自衛の範囲で可能」との政府見解を出しており、額賀長官と麻生外相の発言は、これに沿ったものだ。 

安倍晋三官房長官は10日午前の記者会見で「日米同盟で盾(日本)と矛(米国)という役割分担があるなかにおいて、こうした理論をまとめていく必要がある」と話した。

(毎日新聞) - 7月10日12時27分更新


◆記事2:平成16年版「防衛白書」わが国の防衛政策にある解説 わが国に対する武力攻撃が発生した時点

わが国に対する武力攻撃が発生し、自衛権発動の3要件が満たされる場合には、自衛権の発動が可能である。

この場合の武力攻撃が発生した時点とは、「相手が武力攻撃に着手した時」であると考えられ、武力攻撃のおそれがあるだけでは着手と認められないが、

他方で武力攻撃による現実の侵害の結果の発生を待たなければならないというものではない。

なお、現実の事態において、どの時点で相手が武力攻撃に着手したかについては、

そのときの国際情勢、相手国の明示された意図、攻撃の手段、態様など様々な事情を勘案して判断する必要があるので、

一概には言えず、個別具体的に判断すべきものである。

いずれにせよ、政府は、従来から、未だ武力攻撃が発生していないのに武力攻撃のおそれがあると推量されるだけで他国を攻撃するいわゆる先制攻撃は許されないと説明している。


◆コメント:国連憲章が先制攻撃を認めていない。それをやったのがアメリカだろう。

つい先日、6月27日「国民は横田めぐみさん達を心配しているときに、米国大統領とはしゃいでいる内閣総理大臣」の中で、私は、「イラク戦争は何故、正しくないのか」を説明しました。

私では権威が無いので、専門家の見解を紹介します。

日本の国際法学者23人が2003年3月19日、イラク問題に関する国際法研究者の声明を当時の川口外相に手渡しています。

全文掲載しているサイトがありました。

イラク問題に関する国際法研究者の声明です。

但し、これは「しんぶん赤旗」(共産党の新聞)に掲載されているので、反戦は当たり前で、都合の良い具合に改ざんしてある、と疑われそうです。

そこで、司法試験受験予備校の先生として有名な、伊藤真氏が発行する伊藤塾|メールマガジン第35号(2003年3月29日)に、載っている要約を使わせていただきます。

力による支配ではなく法による支配を

〜イラク問題に関する国際法研究者の声明

先の18日、日本の国際法研究者40名が、イラク問題に関して声明を発表し、外務省に申し入れました。要旨は次のとおりです。

国連憲章が認める武力行使禁止原則の例外は、

 (1)武力攻撃が発生した場合、安全保障理事会が必要な措置をとるまでの間、国家に認められる個別的または集団的な自衛権の行使

 (2)平和に対する脅威、平和の破壊または侵略行為に対する集団的措置として安保理が決定する行動、

の二つだけである。


長くなるので、この後はリンク先、伊藤塾|メールマガジン第35号(2003年3月29日)を読んで下さい。

念には念をいれて、朝日新聞の決議欠く攻撃は「国際法違反」 研究者ら声明提出へにもリンクを貼っておきます。

原則として、ある情報の信頼性は、複数の情報源でクロスチェックすることにより高まるので、こういう面倒なことをしているわけです。

23人の国際法学者の主張は、私が、6月27日付で書いたことと一致しています。



先制攻撃は、国際法上、積極的な侵略の手段としては勿論ですが、自衛権の拡大解釈としても容認されません。

額賀長官はこの程度の知識もないようです。


◆「防衛白書」に、「先制攻撃は認めないのが、政府の見解だ」、と書いてある。

記事2をお読み下さい。

これは、平成16年(2004年)の防衛白書の中にある「解説」です。

因みに、北朝鮮は2002年に核兵器を開発していることを認め、2003年1月に「核拡散防止条約」から脱退した後の防衛白書です。

しつこいようですが、大文字で一番大事なセンテンスを強調します。

 いずれにせよ、政府は、従来から、未だ武力攻撃が発生していないのに武力攻撃のおそれがあると推量されるだけで他国を攻撃するいわゆる先制攻撃は許されないと説明している。


政府の公式見解は、現在でも専守防衛であり、先制攻撃を認めていない

それを、内閣府の一外局たる防衛庁の長官が、ちょっと北朝鮮がミサイルを撃ったからという理由で、日本国の防衛に関する基本政策を変えるべきだ、と発言している。

立場をわきまえなさい。


◆これも「きな臭い」けど、とりあえず、ミサイル「防衛」構想が先でしょ?

平成15年12月19日付の「弾道ミサイル防衛システムの整備等について」に関する内閣官房長官談話

防衛白書の資料として掲載されています。

MD(Missile Defense ミサイル防衛)構想、つまり、弾道ミサイルが飛んできたときにこれを迎撃するシステムを開発するぞ、と小泉内閣は決めたのです。



小泉内閣の歴代の閣僚の発言から見て、小泉内閣は将来的には、憲法を改正して自衛隊を軍隊として、

徴兵制を施行して、集団的自衛権の行使も可能にしたがっていることは明らかです。

余談ですが、そういう政権を支持する国民が多いということは、皆さんそんなに戦争がしたいのでしょうか。まあ、それは、今はいいや。



要するに、ミサイル防衛構想も、将来、積極的な武力行使を行うことを念頭に入れていることは見え透いているけれど、

まだ、このときの公式の内閣官房長官声明は、ミサイル防衛システムは専守防衛だと言っている。

建前としては専守防衛なんです。内閣の公式声明が。

まず、迎撃ミサイルだと。こちらから攻撃するとは官房長官声明ですら、述べていない。

それを防衛庁長官ごときが軽々しく、「攻撃能力」などと言う言葉を口にするべきではない。



あのね。やはり若い諸君はなるべく海外の新聞、雑誌を読んで欲しいね。

ワシントンポスト、LAタイムズ、The Economist、Financial Times、The Times(Timeじゃない。英国の新聞の The Times)、皆、折に触れて書いている。

「日本は憲法によって武力の行使を禁止されている。そして日本はその規定を守り、戦後60年間、自衛隊を有してはいるが、ただの一度も武力行使をしていない」

とある種、畏敬の念を持って書いている。

別の云い方をすると、日本は決して武力を行使しない国、ということは「所与の条件」として、論旨を展開しているのです。


◆日本から攻撃されるまで、待っているほど金正日さんはお人好しですか。

仮定上の話として、こっちが本気で先制攻撃をかけることになったとしましょう。

そのためには、まず、憲法を改正して、そのための国民投票制度を考えて、法制化しなければなりません。

それだけで何年かかるでしょう。そして、相手を攻撃するシステムを完備します。それにも何年かかるでしょう?

いよいよ、北朝鮮が攻撃してきても大丈夫。

って、それまで金ちゃんが黙ってみているわけ無いでしょ?


◆結論

北朝鮮がミサイルを発射したのは初めてではないけれども、今回は一日、合計7発発射して、海に落っこちただけでしょ?

これから、先制攻撃態勢を準備する間に国際情勢がどのように変化するかわからないでしょ?

ベルリンの壁が崩壊したときも、ソ連がこの世から無くなることも誰も全然想像していなかったのだから。

たかが一回、首領様が挑発したからといって、60年間堅持してきた方針を変えるようなことを軽々しく、

それも文民とはいえ、事実上の軍隊(自衛隊)の親玉が口にするべきではないのです。

大体、あの自衛隊の情報流出はどうなったのだ。どうしようもないのだろうね。

北朝鮮を攻撃しようとしたら、Winnyで情報が流出し、こちらの攻撃計画を全て北朝鮮は知っていた、なんてことになりそうな気がする。


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